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外山原取水施設/鳴沢川取水口(とやまがはら/なるさわ、栃木県日光市)

●概要
東京電力リニューアブルパワー所野第一発電所予備取水堰堤。土木遺産。
竣功:1897年  
型式:G 
目的:P
堤高:3.73m
堤頂長:26.7m
(諸元は外山原取水施設のもの)


●見学情報
駐車場:無 トイレ:無 自販機:無 天端:- 直下:-


●参考リンク・引用


●道中

東京電力リニューアブルパワー所野第一発電所。
その歴史は長く、1897年運開(下野製麻による)。
驚くべき事に、その設備の多くが当時の姿を今に残しており、
外山原取水施設、
鳴沢川取水口および
導水路、
木戸ヶ沢水路橋、
旧鉄管支台が土木遺産となっている。
水路道中には案内板も設置されており、是非とも取水堰堤~発電所まで通しで見学をオススメしたい物件となっている。
(地理院地図より)
…んだが、地図を見てみると何やら水路が複線だったり途切れていたりと、とっつきにくさがあるのも事実という事で、今回はその水路の流れを追って、見学の参考になればと。
無論、素人情報なので誤り等あればご指摘下さい🙇‍♂️
ではまず上水槽へ。右に見えるのが発電所建屋、中央左の設備へと放水され、所野第二発電所へと導水されるようだが、ここもここで複雑。今回は時間切れにつき、機会があれば第二発電所と合わせて…
(地理院地図より)
界隈高低差が無く、俯瞰は叶わずだが、2本の水路は確認できた。
上図、赤矢印付近から撮影。
2ヶ所の水路出口が確認できる。
左に見える水路出口。内部に石積が見られる。
結論から言うと、こちらは現在の予備水路であり、運開当時からの水路と思われる。
この日は工事車両の往来もあり、接近は断念。多分通常は近付ける気がする。
右水路。こちらが第二(1945)および第三発電所(1952)竣功時に新たにできたものと思われる。
右水路(本水路)、上流方向より撮影。
(Googleマップより)
この日は調整池北東水路のみに流れを確認、発電も行っているようだった。
が、末端部でその水路と調整池?を繋ぐゲートが複数設けられ、一見しただけでは何が何やら分からなかった。やはり時機を見てあちらに接近したい。
本水路、上流方向隧道出口を撮影。
地図を見る限り、ここからは赤沢発電所まで地下水路で直結されている模様。
本水路、隧道上より下流方向を撮影。
派手な倒木…と思ったら大胆にも水路が横切っていた。恐らくは灌漑用?
という事で、本水路見学はここで終わり。
続いては予備水路。ふらふら歩いていると突如構造物が姿を現す。
レンガ造を確認!調整池へと続く恐らく最後の隧道入口。
振り返ると開渠。
苔だか藻だかが茂っているが水路にもしっかりと残るレンガ。
そのすぐ先に土木遺産となっている木戸ヶ沢水路橋。
上流側。こちらは表面が補強されている。ちょっと剥がれてるけど…。
更に水路を辿ると、
土木遺産、鳴沢川取水口に到着。
(地理院地図より)
場所はこちら。恐らく、左穴が外山原から続く予備水路、右穴がこの鳴沢の注水路?
どこを切り取っても美しい。
この五芒星は社章・・・だろうか?
何となく剥がれ落ちたように見えなくもないが果てさて?
さてそのすぐ向こう鳴沢川には堰がある。
見ての通り流れが右岸に偏っている鳴沢川は、堤に沿って左岸へと流れ、
一部は右手前に見える取水口へ、残りは左側へと流れ下流に。
取水口。見辛いがこちらもしっかりとレンガ造を留める。
堤体右岸部分。
上流下流ともに藪がちながら、玉?石張りらしきを確認。
上に戻って取水口の少し上流。蓋のようなものが見えた。水路との関連は??
(地理院地図より)
という事で、ここから上流側赤丸部分は地図上で水路が途切れている。
この区間を漁るのはまた今度という事で、続いては外山原取水口に向かって上流から下っていく。
所変わって大谷川(だいや)を堰くは赤沢発電所堰堤
=直結された所野第一発電所の実質的な出発地点。
(地理院地図より)
東照宮も近い彼の地の人混みを離れ、沈砂池へ。
場所はこちら。地図で見るとなんのこっちゃ。
現地。左が赤沢発電所へ、右が赤沢発電所or余水吐へと流れる。
導水路末端。ここから赤沢発電所へは暗渠らしく、水路を辿ることはできなかった。
沈砂池下流側から。
何やら角落しで嵩上げされている。赤沢発電所停止時にはここを越流するのだろう。
沈砂池全景、下流方向から。越流した水はここを流れ、
このようなポイントへ。
多分、赤沢発電所停止かつ所野第一発電所稼働時は、左奥赤沢川方面へと流れ、外山原(赤沢川)で取水し第一発電所へ導水される。いずれも稼働停止時は右奥から大谷川へと還る。
そして右の水路は・・・何だ???💦
水路を遡るとこうなっており、
大谷川から繋がっている事が分かる。少なくとも発電取水口として現役の設備には見えないが一体・・・?
(地理院地図より)
気を取り直して、愈々外山原取水施設へ!
赤沢川。分かりにくいが中央やや右上に、赤沢発電所沈砂池からの予備水路がある。
そのすぐ下流に外山原取水施設があるという位置関係。
予備水路出口。何とも言えない茂り具合。ほぼ稼働してないというワケでもなさそう。
堰堤。1897年製とは思えない見事な姿。来る出番を待ち、普段は赤沢の水を上から下へと流す。
説明にあった通り、自然石乱積堤体に切石布積がズッシリ乗る重厚な造り。
上流面全景。川の様子に反して取水口が大きく感じた。
取水口ズーム。そこに角落し?!という多分今まで見たことがないタイプ。是非とも稼働している姿を見てみたい。
右岸から見ると力強い堤体が際立つ。
ハイ・・・という初訪問にして大満足の所野第一発電所だった。
とてもとてもボリューム満点なので、見学時は十っ分に時間を割きたい。
(所野第一発電所調整池余水路と思われる設備)
ちなみに今回の行程は・・・
所野第一発電所 →水槽(調整池) →水路橋 →鳴沢川取水口 
→赤沢発電所堰堤(大谷川) →沈砂池 →赤沢発電所 
→外山原取水施設 →所野第一発電所
といった具合、自転車と徒歩で散策して約5時間半。
この後更に日光第一第二発電所見学が控えていたので切り上げたが、それでも足りないぐらいだった。
お邪魔しました~

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