母への手紙
昨日も新米のオーダーしちゃった。
ついでに畑で採れたジャガイモも。おいしいからすぐなくなったよ。って伝えたら
「でしょう、今帰っていったお客さんもうちのジャガイモは美味しいって。土が違うんかね〜」って嬉しそうに笑ったね。
「玉ねぎも一緒に入れる?」っていつもたくさん入れるから玉ねぎはまだあるよ。
「玉ねぎはうんと体にいいからたくさん食べな」
うんうん、知ってる。血液さらさらになるしね。
この前ちょっとだけ腹立たしいことがあったんよ。
今さ、時間がないじゃん。あ、ちょっと前ね。時間なかったでしょ私。
時間ないけど頑張って墨をすって習字の教室行ったんだよ。
大きな紙に書く日だからたくさん多めに擦ったの。知っての通り、しっかり墨をするのって大変じゃん。久しぶりだと筋肉痛になるじゃん。
でも大きな紙に書くし、昇段試験の課題書くから頑張って擦ったの。
それで意気揚々と教室に行ったわけ。
先生がお手本書いてくれるんだよ。
もっと上の先生だとお手本代として1枚2000円なんだって。
でもうちの先生はなんと1枚200円でいいよって、課題が5個だったからお手本代として1000円払ったの。
で、そのお手本を見ながらうちで書いたのをみてもらったわけ。そしたらありがたいことに先生がその場で書いてくれることになったの。
まあ出来が悪いから、「私が書くのをみて、それで何かを掴んでね」ってことだと思う。
ところがさ、先生疲れてたんだと思うんだけど、何回も何回も書き直して、申し訳ないからって紙は先生が自分のを使ったの。いや、紙は私の使ってくださいって言ったのに、いいからって。
でね、何回も書き直して、結局頑張って擦っていった墨がなくなったの。
どちらかと言うと紙はいいから、墨がさ、今は時間ないなか擦ったからさ。
先生も忙しい中、わざわざ書いてくださるからありがたいことなんだけどさ。
小学生の頃、墨を擦るのを手伝ってもらうのは当たり前に思っていたけど、
ほんとはそんなことなかったね。
仕事で疲れて帰ってきて、ご飯の支度をして、そのほかの家事をして、おばあさんに嫌味を言われながらテレビの前にも座らずに。
おばあさんが自分の部屋に引っ込んでようやく茶の間にやってきて、そして墨を擦るのを手伝ってくれたね。
毎日毎日何枚も書くから、毎日毎日擦ったよね。
あの頃私は墨を擦るのあまり億劫ではなかったんだよ。腕が痛いって思ったこともないし、疲れた感じもなかった。
でも今は違うんだよね。墨を擦ってる時間がもったいないほど時間がない。腕もチョー疲れる。
あ。
そうか、墨を擦ってる時間がもったいないと感じる「いま」がちょっと違ってるってことか。
墨をたくさん擦ってくれたね、ってお礼の手紙を書こうと思っていたけど、
書いてみたら、いまの実情こそ違うんじゃない?って気づいたよ。
ゆっくりじっくり、書にむかう時間を大切に、自分に戻れる時間を作ろう、作れるからって習字再会したのに、いつの間にか目的がちがっていたみたい。
なにはともあれ、お米とじゃがいも待ってるね。
追伸)
こんな手紙を書けるようになったのは驚きです。
だって、ほんとは私はお母さんがあんまり好きではなかったから。
おばあさんと一緒に寝てたから洗脳されていたとは全く気づかず、お母さんはダメだよね、って本気で思ってた。
確かに変なとこあるしね。思い込みが激しかったり、言葉遣いが変だったり、言われた人がどれだけ傷つくか考えずに平気でひどいこと言ったり。
でも何年も前、「ごめんなさい」と「ありがとう」を伝えようと意を決して電話した。次女が生まれて間も無くだから30年も前だね。
あの時けっきょく私はことばにできなかった。音にならない二つの言葉を、空気から感じてくれたお母さんは電話のむこうで涙を流してた。
あの電話のことは、そのあと一度も話題に上ったことはないけれど、間違いなくあそこから変わったよね。
Aって言ったことがAってまっすぐ伝わるようになった。
Aって言ったのにaって伝わってもAだよって言い直すことができるようになった。ほんの些細なことだけど、言い直すことができるようになったら、急に風通しがよくなったよね。
話しやすくなったし、なにを話しても大丈夫っていう安心が生まれた。
私が感じているまま、そのまんまぢゃーちゃんも感じてるよねきっと。
小さなことかもしれないけど、何かとお礼が言えてなくてごめんね。
心から感謝してます。生んでもらったこと、いつも受け入れてくれてること。
そう言えば、最大の危機、命の危険さえ感じるほどの状態で逃げて帰ったときも、すんでのところで手を引っ張って「早く家の中に入って」って矢面に立ってくれてた。小さい体なのに、大きな男の前に凛と立ちはだかった。
あっちが痛いとか、こっちが痛いとか。
検討違いな愚痴を聞かされる率も高いけど、もう少しこまめに電話するね。ごめんだよ。
ぢゃーちゃんへ
あなたの大好きな娘より
(母は私のことが大好きです、タブン。)
追伸の追伸の)
もとい。
勘違いの愚痴を聞くじゃない。お互いに言い合うの間違いだった💦😅
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うたさんの手紙コンテスト気になってました。でもなんだかな、書けるかな、恥ずかしいよねぜったいに、ってうっちゃってました。
>うたさん、ごめんなさい。なかなか勇気はでないものです。
と、諦めていたら今日こちらの記事を拝見しました。
やすこさんの記事から何かをいただくことが多いなあ。。。。
>やすこさん、なんだかね、
いつも勝手に受け取らせていただいてます。
書いてみたら書けました。ありがとうございますm(_ _)m
>うたさん、書けました!恥ずかしいけど書いちゃいました。
きっかけをありがとうございました!!