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シン・エヴァの供養をする

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映画館で見たシンエヴァをAmazonプライムで再度見直したので、また考察が止まらなくなってしまいました。

テレビ、旧/新劇、マンガ履修済み、映画前の考察動画/ネタバレから見たのであまり必要ない情報に驚かされることはなかったです。

思ったことや疑問点など好きなように書きなぐることで、ヱヴァンゲリヲンという物語を供養していきたいと思います。(悪い意味ではない)


ざっくりあらすじ

序破Qで3回のインパクトを起こし地球の浄化を終了させたゲンドウは、最後に精神の浄化を行うべく13号機をはじめとした準備を進める。

一方カヲルを失ったシンジはアンチLシステムで浄化を逃れた第三新東京村で、かつての仲間と交流し人々の強さを知る。


ヴンダーは最後の戦いのため南極に向かうが、それすらも罠でありアディショナルインパクトが開始、シンジは初号機でマイナス宇宙に向かう。

父と対面した息子は彼が何を目的に補完計画を行い、息子との会話を拒否してきたのかを知り、受け入れられた父は運命を息子に託す。


妻に出会うという目的に代わりシンジが提示したのは”エヴァのない世界”の再構築、かかわる人間の人生に終止符を打たせ一人世界に残る。

世界が消滅しようとしたその時マリが現れ、現実世界で出会ったかもしれない人々を横目に、本当の現実へと歩みだす。


全体的な感想

色々な難しい話が絡んでくるエヴァンゲリオンですが、突き詰めれば”対話を恐れた父と子が世界規模の陰謀をきっかけに対話を行う話”。

旧劇場版がBadルートだったのに対し、今回はTrueエンドだったのかなと思います。(最初はパラレルワールドかと思っていた)

カヲル君が何度もやり直しをしている描写があり、シンジもおそらく同じように記憶を失いながら何度も世界をめぐっているのでは。


今まで見た作品で言うと、最後の槍を届けるシーンはナディアの最終回付近、トップをねらえ!のあまり理屈を必要としない熱い展開。

エヴァのない世界を作るという点では円環の理になり、自分を含めたすべての魔女の存在を抹消したまどマギに共通するものを感じました。

インパクトの表現方法としては輪るピングドラムを思い出させるものがあったように思います。(あの作品は本当にわからなかった…)


表現方法としてはかなり有名作品になりアニメ初心者も見るようになったので批判も多そうですが、よく日和らないで表現したと思います。

初号機と13号機の戦闘が最もわからない人が多そうですが、今までシンジが体験した世界が概念としてあり、かつセットであるのには別の意味が。

戦闘シーンのちゃちさは当初は理解できませんでしたが、どちらもヱヴァンゲリヲンがウルトラマンのような”作品”であることを示しています。


旧劇が一番好きだけど今回も結構良かった、シンジ君相変わらず情緒不安定すぎ、アスカの使徒化設定生きてて面白かった、日常パートちょっと長すぎ?、ストーリーとしては新劇で一番理解しやすかったのではetc…


伝えたかったこと

見終わったときに感じたのは、何よりも”視聴者もシンジと一緒に現実に戻れ”という強いメッセージだったように感じます。

エヴァの視聴者はテレビ版から本作までずっとエヴァとともにあり、チルドレンたちと同じようにエヴァの呪縛にとらわれています。

ずっと子供の心をもって過ごしてきた視聴者に対し、庵野監督はシンジと同じように現実を見て大人になることを望んでいるのでは。


シンジとゲンドウとの闘いで出てきた第三新東京市のセットは、エヴァが創作物であることをはっきりと示しています。

シンジがエヴァのない世界を想像している最中も、撮影が終わりスタジオの片づけが淡々と進んでいく描写がかなり強く書かれています。

最後にマリの手を引いて駅から飛び出したシンジが実写になる表現は斬新でしたが、これも現実に戻ったというメッセージでしょう。


最後の儀式について

今までのインパクトはアダムとイブの子孫を組み合わせることで、使徒と人間の間で知恵の実と生命の実を奪い合うような儀式でした。

一方で今回ゲンドウが起こしたのはアダムとイブを組み合わせ、彼らを生み出した神に対する反逆の儀式だったと思います。

”13番目”の”神殺しの兵器”が”ゴルゴダ”オブジェクトで”聖杯”型の黒き月から生み出した”槍”で神を殺すのは、完全にキリストの処刑と一致。


通常のインパクトでできることは人類を意識の集合体にするだけですが、アディショナルインパクトでは事実の改編が可能になっています。

ゲンドウが力の勝負ではないといったのは、意志の強さが世界改変に影響を及ぼすのではないか、そしてゲンドウはその権利を放棄。


シンジは人々が作り出したエヴァとそれに関する劇(セットなど含めて)片付け、最後にアニメすら消えそうになった瞬間にマリに救われます。

線画になったシーンはその世界さえも創作物なので、完全に消える寸前であり、決して銀魂のような手抜きではないと信じています。


疑問点①マリの存在

元から疑問でしたが、もとは庵野さんとアスカの声優さん、モヨコさんのいろいろから生まれたというのが唯一の残念なところ。

アスカはシンジを拒否し、新しく表れたマリがシンジを救い出すというのは展開が突然すぎ、マンガ版も無理やり設定を加えた感じ。


シンジ君には二人の母がおり、聖母でありシンジの罪を背負うユイと、同じ聖母でありながら裏切り者を演じシンジを救い出すマリがいます。

レイがシンジの母である唯のクローンならば、アスカはシンジを救う聖母マリ(ア)のクローンであるのが自然ではないでしょうか。

マリがアスカを”姫”と呼んで大切に思っている描写はありますが、具体的な関係性については示唆されていませんでした。


マリはゲンドウと同期でありながらエヴァに搭乗でき、裏コードを使っても生きており、現実世界でシンジと一緒に年を取っています。

チルドレンですらないのになぜエヴァに乗れたのか、人間でない説を持っていた時期もありますが結局それは本作品で否定されました。


疑問点②救えなかったレイ

破の最後にニアサードを起こしながらレイを使徒から救い出したシンジですが、Qではカセットレコーダーしか復元できませんでした。

初号機の中にずっと残っている理由としては、アディショナルインパクトに必要だった、マイナス宇宙にシンジを導くためくらいしかなさそう。


前者に関してはあのときの綾波はシンジの味方だったので、ゲンドウの指示に従って残っていたのではなさそうです。

ユイが初号機に取り込まれたときに状況が似ているので、シンジのためにあえて出てこなかったという解釈がいいのかもしれません。


疑問点③その他

なぜミサトさんは懲りずにシンジに運命を託すのか

アスカの幼少期がアニメ版と一致せず違和感があった

綾”波”シリーズと式”波”シリーズで向こう側を強調したか

”渚”は海と陸の境目だが、”碇”はむしろ海側ではないのか


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