第3回詭弁会議
20230523
火曜日
朝の打ち合わせ。
ボス「明日出荷の進み具合に寄るんだけど、ミーティング今日やるか、25日やるかなんだけど……どんな感じ?それ次第だよね」
ベッキー「ゴックン」
ベッキーの生唾を飲む音が聞こえた。喉の準備。ヤる気だ。
N「ベッキーさんポニテさん、環境調査2人に1、2件渡すからやってみよう。もうそろそろやらないといけないので」
ベッキー&ポニテ「……」
ヤらない気だ。
解散。
ミーティング(第3回詭弁大会)
ボス「ベッキーさんにはH社はどうかと言ってたけど、やることがないと(苦笑)」
ベッキー「うん」
ボスの苦笑いの理由は、前回のミーティングでベッキーにH社の業務をやってよとお願いをすると、
「私がH社ですか?やっても良いですけど、すぐ終わらせちゃいますよ?余った時間どうするかちゃんと考えてますか?私、パートさんの仕事取っちゃいますけど?私だってそんなことはしたくないんです」
と、自分の実力に見合わないという新技を繰り出して来たので、またややこしい事になったからだ。
これはおそらくだけど、請け負う自信がない不安から、こんな言い回しをしているんだと思われる。
私には能力があるけどどうしますか?って不安の出し方が独特よな。
ボス「前回ね、ということを言われて、じゃあシール部門に異動したいって動きもあったんだけど、実際ベッキーさんが今のチームから抜けると加工が回らないだろうってNさん(上司)にも確認したので、やっぱりベッキーさんは加工の方でお願いしたいということでよろしいですかね?
で、H社はポニテさんでどう?」
ポニテ「……」
O「H社はシステムで簡単に確認出来るようになってるから」
ボス「うん、大丈夫だと思うから。
ベッキーさんがそのままで、ヤレバさんが快速急行社。で、Nさんがだいぶ楽になると思うから、どこまでやってほしいのかってところ」
昨日、ベッキー達が言っていた疑問をピンポイントで突いてきたボス。
つまり、このミーティングの前に「Nさんがどうしたいのか聞いてください」と根回しがあったんだろう。
「私は(仕事の幅を広げられるくらいなら)シール部門に異動したいって言ったけど(あのままじゃ仕事の幅広げられる流れだったからただの勢いで言っただけで、本当は行きたくない)、
しかし上司のNさんはどう思ってるんでしょう?会社からの要求は分かる。でもNさんは私に抜けられると困るんじゃないですかね?
私は自分の仕事を日々責任を持ってこなしているので、私が抜けた穴は大きいですよ?
それを踏まえて、Nさんがどうしたいのか分からない。それをミーティングで聞いて欲しい」
きっとこんなような話を事前に……いや、内容はもちろん妄想ですがな。
ベッキーは根回しが上手い。
その計画性をNに分けてあげて差し上げて。
N「基本的にと言うか、実際にやってて、みんなに手配とかお願いすると、現場に何が動いてるのとかが分からないというのが現実。
で、いつ上がっているとか把握してないのが現状。
見るようにはしてるんだけど、そこまで体が動いてなかったというのはあるし、慣れてないし分かってなかったのでへ〜んな動きになってたってことはあるのかなって」
一拍ずつ置いて「実際、現実、現状」を強調したので、韻を踏みたいのかと思った。
それはさておき、Nにもミーティング前に予告があった模様。
準備した言葉だったけど、土壇場でなんか格好良さを付け足そうとして何言ってるのか分からなくなるいつもの癖が出たっぽい。
Nの弱点は、こういう無計画そうな面がちゃんと出ちゃっているところ。ベッキーとは真逆。
喧嘩になるのが嫌だから〜という理由で発信力も無いというかすごく嫌がるので、ベッキーが追求したいNの"上司らしさ"という理想は分からんでもない。
でも人って変わらんから。
健康な人が不摂生を始めたら簡単に変わるけど。
N「全部お願いするのか、一部だけお願いするのか……うん」
結局答えを委ねたいN。
ボス「で、Nさんはどうして欲しいの?」
最後まで言わせたいボス。
N「手配を全部任せると、あたしが営業に聞かれても答えられない。
そういう動きでも良いのか、そこが中途半端になっちゃって」
ボス「反対にベッキーさんはどうしたいの?」
ベッキー「ん〜?私にできるのかわからないし、把握できないっていうのは、逆もしかりで、Nさんが全部やっちゃって、すると私たちが把握できないんです。
で、私達は私達の責任で、納期を守ろうと加工をやってるけど、いつなにがあるのか全く見えてないので、Nさんが今のままが良いって言うなら、もう少し情報を出してほしい。共有していただかないとスムーズに動かないので、そのどっちかだと思います」
N「あたしも、逆の立場もそうだなと思ったの。でも社員としてそれでいいのかっていうのもあるし」
予告されてたっぽいのに何も決まらない。
ボス「うんうん、ん?まぁ、どう?」
ベッキー「全体の話に関わると思うんですけど、社員さんと準社員の仕事の境目が曖昧すぎて」
わたし「給料が違うだけ。時給か月給かの違いだけ」
ボス「そうそうそう」
ベッキーは仕事内容に差があるべきだという方向で話をつけたかったのだろうけど、すまんが法律にも会社のルールにもそんな差の記載はない。多分。
正社員は長期に働くという前提でどっぷり任せられるというだけ。
あとはもちろん何かあった時は責任を取る。
今隣に座っているので言えないが、ランボーは正社員だけど単純作業しか任されていない。
パートの方が最終検査など、負担の多い仕事をしている。しかし給料はランボーの方が高い。
ランボーはできないから仕方がないというのをパートも分かっているので文句は出ない。ランボーの面倒を見ている同じ社員からは不満続出だけど。
他にも、大雑把な仕事をする人にはそれなりの仕事しか振り分けられない。
ベッキー達も平等を活用して、日頃から程良く雑に仕事をしていればもっと楽だったろうにと思う。真面目な性格がそれを許さないだろうが。
ベッキー「快速急行社(ヤレバの所属チーム)や一般(ベッキーの所属チーム)に限って言えば、加工をやってほしいんだろうなって凄く感じる」
快速急行社チームも一般チームもNが担当。上司。
ベッキー「会社は手配をやれって言ってるけど、Nさんは加工を進めてよって思ってて、そこがすれ違っちゃってて。
こっちは言われてるからやらなきゃって思うけど、Nさんは多分違う。ここは明確にしてほしい」
Nの方もベッキー達がどの範囲の仕事なら承諾するかで違ってくる。お互いに言わせたい。
このまま話が平行線なら当初の予定通り、ベッキーはH社やるってことでもいいじゃん?
レベルに見合わないけど、出来るって言ってるんだからそれで。
ベッキー「正社員にならないのは、家庭の方を優先したいから、責任は取れない。いつ休むかわからないからっていうのもあってこの立場にいる。それが丸々任されちゃうと、家族に不幸がってなった時にどうしようってなっちゃうし」
定時後の井戸端会議にはいくらでも時間を使えるのにね。
なんて意地悪は言わんけど、いつ何があるのか分からないのはみんなそうで、
実際にNがそうなった時に散々文句言ってたのがベッキー達。
自分達はNから何も聞かされてないから分からないってすこぶる怒ってた。
だからそういう時のために引き継ぎやりましょう、って話でもあるんだけど、自分の身にいつ何があるか分からないから引き継ぐのは無理だと言う話。トンチか?
ちなみにベッキーのお子さんは末っ子がそろそろ成人するくらいの年齢なので、子どもが理由で休むことは滅多にない。
ベッキー「それこそ、プレスがいつ仕上げてくるかなんて、Nさんを差し置いて聞けない」
聞ける聞ける。電話一本で済む話。
スムーズに仕事したいけど、それをやるのは自分ではないってことか?
わたし「怒られるの?」
馬鹿みたいにあえて聞いてます。
ヤレバ「対パートさんにしても、あたし達の立ち位置が微妙なだけに、やってること一緒なくせに上からだなとか、思われたりとか」
ボス「それはないでしょー?」
ヤレバ「わかんないですけど」
わたし「それで喧嘩をふっかけてくるような人がいるならそれはそのパートさんの方に問題があるだけ」
ボス「うんうん」
ヤレバ「喧嘩にはならないけど、腹に一物抱えられてもっていう」
わたし「それは(起こってないことを気にしたところで)しょうがない」
わたしは一物抱えているけど、ヤレバ大丈夫じゃん。態度に出す人がアレなのであって。
ヤレバ達もパートの好き嫌いで挨拶返す返さないを決めてるようだけど、問題起きてないじゃない。
ベッキー「パートさんからして見れば中途半端な立場だと思うので」
わたし「パートさん納得させなくてもね」
先に社長を納得させてよ。
ベッキー「今の現状で言えば、ヤレバさん忙しそうに動いてるし、自分達とはちょっと違う事やってんだなーって理解してくださってるとは思うし、
あたしがいて先輩パートさんは大変助かってるって言ってもらってる。あたしが加工進めているから。
そういう意味では理解してくれてると思うけど、会社がどこまで求めてて……云々カンヌン」
わたし「Nさんがどこまでやってほしいってのをハッキリさせるといいんですよね」
もうNがゴール決めるしかない。覚悟を決めろ。
ゴール小さいけど、行けるよね?(無茶振り)
ボス「そうそうそうそう」
ベッキー「Nさん次第なんですよあたし達は。仕事が変わってきちゃうから。会社が言ってることは感じるけど、実際にはその指示が下りてこないから、どっちだって言う」
Nもそう。ベッキー達が最初から承諾していたらその動きになっていた。
Nは会社からの指示に文句は言えど逆らう気概はない。
ベッキー「Nさんがどう考えていらっしゃるのか」
なんにも。
ベッキー「結局あたしは抜けたところだけやれば良いって話じゃないですよね?こっちに山ほどあるんだから!一般さんがこっちに!こっちの加工を今まで通りしながら、業務もしなきゃいけない」
不安でしょ?そうそう。
その上でちゃんと全体を見ろとNに突っかかってるのよ君達は。
「あたし達がNさんのフォローですか?いやいや、こっちが指摘する前に気付くべき。上司であるからには完璧でいるべき」って。
「べきべきべきべき」と人には言うてるのよ。
自分が完璧にやれる自信がないから不安になってるんだと思うけど、
ともかく机上の空論をしてないで実行してくれってやつ。
N「だからあたしもどうしていいのか分からないのよ」
ボス「でも全くやらないと分かんなくなるよね」
ベッキー「分かんなくなる。……Nさんがいないときに代わりに出来るっていう体制はできるかもしれないけど、常にやってる訳ではないので、自分の中では完璧というものではないので、不安はあります。
今の状態で、業務もってなるとどうなるかは分からない」
ボス「聞いててどう?」
O「どこまでお願いして良いのか」
間。
進まぬ。
わたし「何はNGなの?何はやらせちゃいけないの?」
また馬鹿みたいに聞いてみた。
ボス「いや?殿は別にやってもらえればなんでもいいの」
N「とりあえず、お願いすると、負担が増える」
ボス「そこだけの業務、そこだけの加工だったら十分に出来るけど、その他があるじゃん。
快速急行社の量だと手配だけで終わる日もあれば、前倒しで終わる日もある。でも加工をやらないといけないし、それに付随する材料のあーだこーだがあるから、今度加工が出来なくなるっていうところで、だよね?
反対に、こういう切れ方のほうがいいとかある?」
………………
長い沈黙。
ベッキー「まぁでも、さっきの話で言うと、逆に言えば、あたしが手配すると量が分かるので、先輩パートさんに共有することができる。
Nさんが手配してると、ギリギリになってこんなの上がって来てっていうのがある。
どっちがいいだろうって意味では、ボリュームのあるものが上がってくる場合は、実際に作業するあたしが目を通しておいたほうがスムーズだと思います。
予定が立てやすい。Nさんが立ててくれるわけではないので」
結果、ベッキーはちゃんと加工ができるように、時々注文が来る2社をNから引き受けた。Nがちゃんと目を通すという条件付き。
ボス「あとはやってみて、不都合が出たら連携とって。
で、あとは、快速急行社」
わたし「終わりじゃないの?」
この場にいるだけでどっと疲れた。
ヤレバ「快速急行社の予定表、毎回お願いしてたのに出てこないので、私達の方で、作りました」
Nに対する超嫌味(笑)
ヤレバ「私達でやるしかないねって言って、仕方ないねって」
腹に一物もニ物も抱えておる。
ボス「え?Excelのでいいならあるよ?月ごとの。それで良かったらあげる」
ヤレバ「まぁ本当は書いてほしかったんですけど、そこは難しいのかなって」
三物も四物も抱えておる。
ボス「で、快速急行社の手配はヤレバちゃんどんな感じで?」
ヤレバ「こないだなんとな〜〜〜く、なんとな〜〜〜くこんな感じですかね〜って」
N「話してみたんだけどね」
ボス「やらないと分からないでしょ」
快速急行社の方はNは考えていて、手間になる手配はNが、そうじゃないものはヤレバがということに。すんなり決まった。
ベッキー「すると、ヤレバさんの加工に入る時間は短くなるんですか?」
すんなりいかなかった。
ボス「手配毎日はないでしょ?今日も4件だし、でもどさっと来る日もあるよ?」
N「まとめるから100件とかになっちゃうのよ」
ヤレバ「溜めずにマメにやればいいんであって」
ボス「そう」
ベッキー「どこが忙しいんですか?」
終わらねぇな。
ベッキー「その情報がパートさんにない。
今日暇だったけど翌日は忙しかったとか、その情報は共用できないのかなーって。
パートさんの中でも、何よ昨日は暇だったのに、とかあるから」
ベッキーがこう言うのは、ヤレバが所属してる快速急行社チームが毎度出荷量が多くて、他チームの手を借りないと熟せないから。
ベッキー「この間プチさんに言われたのが、『え、忙しいなら言って?大丈夫だと思って先のだけど自分の仕事を進めちゃってるよ』って。
みんな何かやってるから暇なのか分からない。パートさんも分からないと思う」
ボス「なるほどね」
毎度毎度手伝いが必要となるので、快速急行社チームは他チームのことをよく観察している。
ベッキーは快速急行社チームではないが、上司が同じNなので、半分快速急行社チームのようなもの。
ベッキーとはわたしも仕事中によく目が合う。本当に周囲をよく見ている。
ガラス越しに異様に目が合うんだもの。
そんなに見てて手元大丈夫なの?って心配が過るほどこっちを(周囲を?)見ている。
……暇なの?
ヤレバ「昨日本当はもっと進めたかったけど、他のチームの動きがわからないし、
私昨日言いましたよね?検査もっと進めたいんですけどって」
ありゃ。
ベッキー「私達の立場では言えないから」
わたし「アナウンスできるとしたらNさんだけど、あんまり要請するとパートさんもこっちも忙しいのに何言ってんのよってなっちゃうけど、
昨日はSOSを言ったの何時ですか?」
ヤレバ「お昼。午後には検査したいですって言ったと思うけど。
手が空いた人にお願いしたいって言ったと思うんですけど」
ベッキー「口でアナウンスするしかないと思うんです」
ボス「そうなんだ。あたしそうとは知らずにムードちゃんに他のやってって言っちゃったよ(笑)
ムードちゃんやる気満々で行ったよ(笑)」
唯一の管理者が早々に判断ミスを白状し、責められにくい空気を作った。
そんなことせんでもボスの事はスルーすると思う。
O「こっちも全部はちょっと見れないから」
ペーペー社員はあれやれこれやれと言われるとイライラしてしまう。
今でもやることが多いので、簡単には言われたくないのだ。
わたし「お昼の時点ならその時に『目標が出来ましたー、検査進めたいので手が空いたらお願いしまーす』って発信しとけば、あとは各自の判断で15時から空くなーとかはお任せで、その一瞬声を出せば良い話です」
NとOは発信するのを嫌がる。
だから「一瞬だけ」を強調したつもりだったが、まぁやらんだろうな。
ボス「ヤレバさん的には計画を立ててたんだけどってところね」
ヤレバ「あたしは判断が出来ない、立場的に無理だから」
無理ではないが。立場をわきまえてないってやつか。
でももう10年以上の付き合いのある関係でそんな立場を弁えろとか、うるさいこと言うパートはいないと思うが。
信頼関係があれなのか、わたしがそういうのに鈍感なだけなのか。大丈夫だと思うんだけどなー?
これだけ警戒しているということは、パート達との関係がすでに微妙なのかもしれないなと、ふと思った。
ベッキー達と他のパートは入社時からグループが別なのだ。雰囲気も違う。
ベッキー達はひたすら文句を言っているようなグループなので、グループを抜けた人もいた。
他のパート達はヒソヒソ話しているベッキー達を気にしないようにスルーしている感じで、ベッキー達は他の先輩パートを怖がっているように見える。
ベッキー「社員さんの方から言ってもらって、『誰々さんが手伝い入って』って指示してくれれば、あたし達が言うと、おかしな事になる」
何度かこのテーマやってるけど、Nはやらない。発信しないよ。
理由は知らんが無理無理。
気になっちゃう人が自分で動いた方が早い。
風で石を削るのが無理なくらい無理だから。
とりあえず今日決まったことは、ベッキー達は今まで通り加工を中心に担当するということ。
手配業務を一部引き受けたが、Nの発信力がないことでまだまだ問題は噴出するということ。
Nはマネジメント能力が本当にあれな人。
向いていない。本人も自覚しているんじゃないかと思う。
それに一部業務を手放せたが、完全に手放したわけではない。
Nの行動は今までと大して変わらないように思う。まだまだ“発信ができない"言い訳が作れてしまう。
部下の立場は大変だとは思うが、Nは変わらないので、別の道をそろそろ見つけて欲しいと思う。まじで。
周りをよく見ているベッキー達から指示を出してもらって、昼で遅れが出ていたらこうするとかいうルールをNの名で作っておいて、
「今こうだからこう指示しますよ!?」って最後のGO出しだけNにやらせ……してもらって、やりたいようにした方が早いと思う……と、そう言ってみたけど、やっぱりベッキー達は"Nが発信する"ということに強くこだわっている。
Nの発信力のなさも面倒臭いが、ベッキー達の信念?ルール?も非常に面倒臭い。
人は変わらないってこういうこと。