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押入れから海へ行ったことがある


これは幼少の頃の記憶で、多分小学校へ上がる前だったので、

5歳くらいの頃の出来事である。


私は押入れから海へ行った。


何を言っているか分からない、

と思うかもしれないが、

私は昔、親に隠れて押入れの中に入って遊んでいると、

押入れの奥に小さな光と隠し通路を発見し、

その通路を追っていくと何と海へと到着したのである。


やったー海だー!とか、

えーなんで?!

とか思うより先に、私は最初に、

「えらいものを発見してしまった・・・・・・」

と思った。


幼心ながら、

「押入れ」と「海」という遠いものが自分の家の中で繋がっているという事実は、

「これは、とても秘密にしなきゃいけないやつだ・・・・・・」

という気がした。


幼少の頃、私は押入れにこもって遊ぶのが好きで、

しょっちゅう押入れの中にこもって遊んでいた。

押入れのものを勝手に出して、

押入れの中を小さな自分の部屋にしたこともある。


その日私が遊んでいたのは、

お布団がたくさんしまってある、

あんまり入っても楽しくない押入れだった。

なんせたくさん布団が積み重なっているだけなので、

夜に出して敷いて寝て、朝起きるとそこに全布団が収納されてしまうので、

入っても楽しくないというより、布団が邪魔で入れなかったのだ。


しかしその日なぜか私は、

「しまわれているお布団の奥が見てみたい」

という欲求に駆られて、

お布団の入っている押入れに無理やり潜り込むことにした。


調査の結果、お布団が積み重なってしまわれている奥には微妙にスペースがあるようで、

わたしはぐいぐいとそのスペースに潜り込んでいくと、初めて入った暗くてじめっとした場所に、なんだかとてもワクワクした。

高く積もったお布団の奥は、こんな風になっていたのか。

暗いながらもなんとか見える押入れの奥のスペースをなんとなく観察していると、

私は押入れの隅のほうに、光が漏れている箇所があるのを発見した。

その箇所を覗くと、どうやらその先にはお外が見えるようだった。

自分のおうちはぼろぼろだとは思っていたけれど、

押入れに穴が空いていてお外が見えるほどぼろぼろだったんだなあ、と思った。


そしてその箇所を、一体どうしたんだったかの記憶はあやふやだが、

その光が漏れている箇所が広がって私がハイハイすれば通れるくらいの大きさになった。

私は迷わずハイハイしてその道を進んでいった。

そして気付けば、

海に到着していたのである。



なんということだ。

家の押入れから海へ来てしまった。

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