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不思議の国の厚労省
前回、「企業が社会保険料を肩代わりをしてくれる」のも詭弁で、厚生年金の適用拡大、強制加入は被雇用者(パート・アルバイトさん)にとっても、おめでたい話ではないと述べたので、今回は雇用主側の視点で考えてみる。
こちらは中小零細企業側にとって、もう述べるまでもなくとても負担が重い。
いや、重いどころじゃない。
厚労省的には、要するに「わかりました。じゃあ106万円の壁もなくしましょう。その代わりに増税します」と。彼ら的には、井上尚弥選手ばりの鮮やかなカウンターパンチを決めたつもりだろうけれど、よくもまぁ次から次へとこれだけ狡賢い愚策を思いつくものだし、それにしてもこういった仕事は早いんだな。
厚労省の役人は、せっかくの優れた頭脳の使い方を間違っているんじゃないか。
中小企業の倒産件数が11月の時点で2015年以降最多になっていること、またデータに現れない飲食店など零細企業の倒産、廃業まで加えると実際にはもっと多いことも当然、役人はわかっているでしょう。
ただでさえ円安やインフレ、人材不足で中小零細企業が苦しむこの状況の中、「毎年、最低賃金を上げて1500円を目指せ」というだけでも、かなりのむちゃ振りだと経済音痴すぎる政治屋や役人は認識した方がいい。そこへ追い打ちをかける厚生年金の適用拡大に加え、”企業が社会保険料を肩代わり” って・・・
これは ”社会主義国・日本” の罰ゲームなのか?
これほどまで理不尽なことをされて、それでも中小零細企業が頑張ろうと思えるインセンティブは、どこにあるのか?
少なくとも厚労省の解体、無駄な国会議員の定数削減くらいはやってくれるのか?(やらないわなぁ)
「霞ヶ関(役所)の常識は世間の非常識」という認識はあるけれど、それにしてもどれほど偏狭な価値観を持てば、こんな愚策を発想できるのかと呆れる。
本当に、ぽか〜んってなるわ。
しかし、厚労省がパート・アルバイトさんの社会保険料を企業に肩代わりをさせてまで厚生年金の適用拡大に邁進するのは、なぜなのか?
「そうすることで、短時間労働の人(パート・アルバイトさん)も将来受け取れる年金が増える」
まぁこう説明されるけれど、これも役人と、その広報に成り下がったマスゴミの詭弁だと思うな。
厚労省がこれほどまでして徴収をしたいのは、先に述べたようにそれが ”社会保険料” という名の ”税金” だからに他ならない。だから「将来受け取れる年金が」とはよく話題にされるけれど、会社負担が増えることについては、ほとんど触れられることがない。こう考える方が腑に落ちるし、そう思うと政府が確実に税収を徴収するために、いかに取りっぱぐれのない社会保険料をあてにしてきたかということもよーくわかると思う。
つまりこの法案は、本当に苦しい中小零細企業やそこで働く人たちへの大増税でしかない。
事業主がリスクを取ってまで経営し、従業員が頑張って働き、企業が社会貢献ともいえる雇用を増やすと懲罰のように税金を取る、というまったく意味不明な社会主義国・日本。そして、そんな「不思議の国の厚労省」
すべての国民が納得する制度はないだろうけれど、「頑張って働くと負け」「雇用を生むと負け」という制度はいかがなものか。
ウルトラ・スーパー賢いはずの人たちが何十年もこんなことばかりしてきたから、日本はここまで凋落したんじゃないの。
つづく