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話題を戻そうかと思ったけれど、(前回の)その後が気になる方もおられると思うので、蛇足かもしれないけれど少しそこにも触れておこうと思う。
そう、そう、19歳の時、あれほど欲しがっていた車をぼくが初めて買ったのは、それから20年もの時を経た39歳の時。それも2軒目の店を始めるにあたり、パンや生地を運ぶため必要に迫られ買った軽ワゴンの商用車だった。
結果的にこれで良かったと思うし、選ばなかった人生を考えたところで仕方がない。何かを得るためには、必ず代償はつきものということなんだと思う。
さて、いよいよ店を始めたものの、最初の4年を過ぎるくらいまでは、残念ながらスタッフが胸を張れるような給与を出してあげることができなかった。
なんせ、その間は赤字で店が潰れそうになるほど追い詰められていたため、気持ちはあってもそもそも利益がちゃんと出ていなかった。
それでも紆余曲折ありながら店が軌道にのって以降は、いわゆる街場にある食べもの屋さん、パン屋さんの相場とされていたもの(給与額)はまったく参考にせず、いつもぼくが意識していたのは、大手企業の給与設定だった(その頃のことは、下記のリンクにある「やってみなはれ、やらなわからしまへんで 4.」で述べています)。
賞与も最初は出せなかったけれど、これも出すことが可能になると税理士先生に相談し、決算賞与として出せる限りの額をすべて出してきた。
もちろんぼくがこだわったのは、あくまでも月給でなく年収(一見、給与が高く見えるけれど、年収にするとそうでもないところが結構あったから)。
昔、ぼくはスタッフや近しい同業者に、よくこんな話をしていた。
自分でお店なり事業を始め、それが流行りそれなりに売れるようになれば、オーナーの年収1000万円というのは、それほど難しいことでもない。まして、「修業」と言ってスタッフの給与を抑えるのなら容易とさえ思う。
そうでなく、職人仕事であっても雇われているスタッフの中から年収1000万円プレイヤーが出てこないと夢がない。もちろん特定の人だけでなく、その時にはスタッフみんなの年収が、それまでから相対的に上がっている必要がある。
結果的に、ぼくの残念な経営能力ではそこまで力及ばなかったけれど、惜しいところまでいったスタッフはいた。
このご時世なら、パン屋さんなどの職人仕事であっても、それくらい稼げる人がいても何ら不思議でもないと思っている。
しかし今だと年収が1000万円だとしても、手取りは700万円を少し超えるくらいか・・・
それにしてもこの国の政府は盗人猛々しいというか、やる気に水を差して萎えさせるなぁ
ぼくが経営をしていた時、どこまでできたかは、受け取る側がどう感じるかがすべてなので、正直ぼくにはわからない。ただ、その都度できるだけのことはやってきたつもりでいる。
会社を譲渡する際、ぼくは先方に「これは守ってほしい」と先んじてお願いをし、約束してもらったことがあった。それは、「必ず、スタッフたちの給与を現在(ぼくが経営していた時点)よりも高くしてください」というもの。
もちろん利益が出ていることが前提ではあるけれど、その後、その約束がちゃんと守られたことをスタッフから聞いたぼくは、譲渡先の会社に感謝した。
また、会社を譲渡後ほどなくして襲来したコロナ禍という未曾有の難境の際にも(緊急事態宣言)、ぼくが経営していたら到底できなかったスタッフへの手厚い保障もしていただいた。
そういった面でも、ぼくは今でもベイクルーズさんにとても感謝をしている。
つづく