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答えは、監督の頭の中 1.
パン屋さんの監修であるぼくの仕事は、先述したように台本に出てくる数字やセリフにリアリティを持たせるための助言などが一つ。
また、ドラマに登場するパンを作ったり作業をしているシーンで使用する生地を用意し、どういった動作や成形にするかなどを考えるのが一つ。
他にも細かいことはあるけれど、特に後者には本当に悩まされた。
台本を拝読すると一つ二つは、えっ、これって・・・と、ページを捲る手が止まることがある。
そこに書かれているパンは当然文字なので想像をするしかなく、普段ならまず作ることのない ”ドラマ用” であることはわかるけれど、どれだけ想像してもその答えは演出をされる監督の頭の中にしかない。
「こういうときは、どういった動きをしますか?」「この場合、どこに立ち、何をしているのが良いですか?」といった演者さんの動作を現場で相談されることはあるけれど、事前に作り用意しておくパンなどは監督と直接打ち合わせることがほぼなく、間におられる助監督が監督のイメージを聴き、それをぼくに伝えてもらうことになる。
試作したものなどを助監督経由で監督に確認を取るけれど、承知したはずのものが変更になることは頻繁にあるし、撮影直前になって突然変わることまであったりする。
小道具にもよるだろうけれど、パンは作るのにもかなり時間が必要で、急に言われても用意するのも困難だし、時間経過と共に状態も変わっていくものなので、これには本当に困った。
ここまで読まれて「なぜ?」「直接、監督と打ち合わせをしたら済むんじゃないの?」と思われたそこのあなた、ぼくもまったく同感だった。
この謎のシステムのためにこれまで何度、助監督に文句や注文をつけたり、連ドラのときには何度、助監督と衝突したことか。
推測するに、監督が多忙すぎてそれどころでないのか、あるいはこの方法が助監督を鍛え育てることになると意図してのことなのか・・・
理由として前者は多少なりともありそうだけれど、どちらも本質ではないであろうことに、ぼくは気が付いた。
つづく
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