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NETFLIX 「極悪女王」

長い間、経済の話題ばかりになっているのと、この手の話は止まらない、終わりがないので今日は違う話題にしてみる。

ドゥドゥーン(デデーンかな)ということで、Netflixの作品。

配信開始と同時に全話一気観した「極悪女王」と「地面師たち」
いや〜、どちらも良かった。配信のある時代に生きてて良かったよ。
Netflixさん、ありがとう。

配信ドラマは全5話や7話でも「続きは、また来週〜」でなく、一気に見られるのがいいな。
また、現在のテレビドラマみたいに過度なコンプラがないのもいい。今の地上波じゃ「地面師たち」も無理なんじゃないかな。

期待以上のおもしろさだった「地面師たち」は、トヨエツ演じるハリソン山中が怖すぎるし、小池栄子さんもとても良かった。どの役者さんも素晴らしかったけれど、個人的には特に山本耕史さんがめっちゃ良かったので、私的助演男優賞は彼に決定だな。

さて、今日の本題は「極悪女王」

主演のダンプ松本役にゆりやんレトリィバァ、長与千種役に唐田えりか、ライオネス飛鳥役に剛力彩芽(敬称を省略させていただきます)。

これまでゆりやんのお笑いを気にして見たこともなかったし、何かとお騒がせな女優さんお二人か・・・こちらは見なくてもいいかなぁ、くらいに思っていた。
ところが、「監督・白石和彌」と知ると見ないわけにはいかない。
白石監督は、「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」「孤狼の血」「孤狼の血 LEVEL2」といった好きな作品の監督である。

それともう一つ、ぼくが「極悪女王」に俄然、興味を覚える理由があった。

最終話で、クライマックスとして1985年8月に大阪城ホールで開催された「長与千種 vs ダンプ松本 敗者髪切りデスマッチ」が描かれていることを知ったから。
ぼくは、この大会を実は会場で見ている。もちろんこの作品のエキストラでなく、当時本当にあった試合を2階席から見ていた。あの1万1000人の大観衆のうち、4人は高校生だったぼくと同級生の友人だった。

80年代初頭、プロレス界にスーパースターの初代タイガーマスクが登場して以来、空前のプロレスブームが起きる。
高校生になったぼくらは、京都府立体育館や大阪城ホールで大会があると稼いだアルバイト代でチケットを買い、よく観戦に行った。
高校を卒業し京都市内で暮らすようになるまでは会場が遠かったため、大会がある日は決まって学校を早退するか、休んで行ったものだった。

特に大阪城ホールのような大きな会場の時には、テレビ中継も入るし試合のカードも豪華になる。
「長与千種 vs ダンプ松本」が開催された同じ8月の初め、「長州力 vs ジャンボ鶴田」という夢のカードが大阪城ホールで実現することになった。
ぼくらはためらうことなくチケットを取り、その日を待ち焦がれ、当日はもちろん学校を休んで小躍りしながら会場へと向かった。

なのに・・・

当日になってジャンボ鶴田が手術のため緊急入院したとかで、この対戦カードは延期になった(ちなみにこの3か月後、大阪城ホールで遂に「長州力 vs ジャンボ鶴田」は実現し、ぼくらは観戦に行った)。
メインイベント終了後には、長州の呼びかけに応じ、そこにいないはずのスーパーストロングマシンがリングに登場したりと、それなりに盛り上がりを見せた。
けれど、なけなしのアルバイト代でチケット代と交通費を費やし ”夢の対戦カード” を見たくて来ていたぼくらは、やはり消化不良だった。

そんな時、長与千種とダンプ松本が敗者髪切りデスマッチをやると知った。

当時、大ブームだったのは女子プロレスも同様で、その中心にいたのが長与千種とライオネス飛鳥のクラッシュ・ギャルズという認識はあったけれど、ぼくらは正直、ほぼ興味がなかった。
”ストロングスタイル” を標榜するアントニオ猪木率いる新日本プロレスこそ最強と信じて疑わなかったぼくらからすれば、女子プロレスは相手選手の髪を掴んで「コノヤロー」と叫びながらぶん投げたり、悪徳レフリーなんてのがいたりと、あまりにもショーアップされ過ぎているようでしらけた。

それでも

負けたら本当に髪を切るんか?

アイドルのような長与千種(当時は本当に可愛かった)が髪を切ることはないだろうから、ダンプ松本の負けで決まりやな

でも、もしかして、もしかしたら・・・

「長州 vs 鶴田」見れなかったし、行くか

よし、行こう

こうして、ぼくらは最初で最後となる女子プロレス観戦へ行くことになった。

チケットを取るのが出遅れたことや、同月に二度目の大阪城ホールということで懐事情もあり2階席になったけれど、ぼくらのすぐ斜め前の席には某女性タレントさんもおられ、その試合の関心の高さがうかがえた。

メインイベントの「長与千種 vs ダンプ松本」以外は、もうまったく記憶に残っていないけれど、あの時の異様な雰囲気と後味の悪さだけは今でもよく覚えている。
あれから、もう39年にもなるのか・・・

そんなわけで、この作品は絶対に見なきゃ、という気持ちになった。

本作は、今では許されないようなことも含め、良くも悪くも ”昭和” が詰まっている。また、物語や構成そのもののシンプルさも良い意味でとても昭和っぽい。
凝っていて今っぽく、誰の目にもおもしろいのは「地面師たち」だと思うし、「極悪女王」は見る人を選びそうだけれど、あの時代を知っているおじさんやおばさん(クラッシュ・ギャルズは女の子たちからの人気がすごかった)には間違いなく刺さる作品だと思うな。

お騒がせ女優さんたちの ”後がない感” といった危機感も良い形で演技に現れていた気がするし、これ、ゆりやんさんも唐田さん、剛力さんも評価が爆上がりじゃないかな。
ぼくは別段彼女たちのファンでもなければ、どらかといえばやはり好感は抱いていなかったけれど、この作品を見終わる頃には、三人とも今後も俳優業を頑張ってほしいなぁ、と応援したい気持ちになった。

そして「極悪女王」に映し出されていたのは紛れもなく、当時のダンプ松本さんであり、長与千種さんであり、ライオネス飛鳥さん、その人たちだった。

やっぱり俳優さんって、すごいわ。


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