見出し画像

貧すれば鈍する


「ガイアの夜明け」の番組後半では、経済産業省の大臣が ”中小企業M&Aガイドライン改訂” の発表をやっていたけれど、「呼びかけ」とか「事案の性質によっては社名公表もあり得る」だの、なんだかぬるいことを言っていた。

あれだけM&Aを推進してきたのは経産省なんだから、責任を持ってもっと迅速に規制など対応するべきと思うけれど。彼らは本当に必要な現状認識ができているのかな。社名公表程度では制度の穴を突く悪質な仲介会社は減らないだろうし、きっとセンシュー化学のような被害を受ける会社がまだまだ現れるに違いない。

M&Aは昔からあるけれど、中小企業の実施件数が右肩上がりで増加し始めたのが2012年からだから、現在は過渡期にあるのかもしれない。
大企業はともかく中小零細企業にとって不慣れなこの手の話には、思わぬ落とし穴が潜んでいる可能性があると心得ておいた方がいい気がする。
本件の仲介会社のウェブサイトを覗きにいくと、次のような文言があるんだから。


私たちは、誠意と愛情をもって関わるすべての人が幸せになるM&Aを目指します。企業はオーナー様のものであると同時に、社会の財産でもあります。だから私たちは1つ1つの会社、そしてそこに関わる一人ひとりの未来を真剣に考え、最良の答えを導くお手伝いをしたいと考えています。


呆れてものも言えないけれど、これが上場企業だと思えば、信用してしまう人も多いんだろうなぁ

しかし、3億円もの債務保証を解除されないという憂き目を見たあの元社長さん、大丈夫かな。
騙されたことは忸怩たる思いだろうし、もちろん悪いのはルシアンとそんな会社を仲介したペアキャピタルなのは述べるまでもない。けれど、あの元社長さんも会社を早く売却したいあまり拙速に過ぎたんじゃないかな。そしてこの手(詐欺とか)の話は悔いても後の祭りで、おそらく取り返すことも難しい。
元社長さんには失礼かもしれないけれど、人は貧すれば鈍するものなんだな、と改めて感じた一件だった。

法的な拘束力はないし金融機関との交渉、その判断次第になるけれど、「経営者保証に関するガイドライン」というのがあるので、あの元社長さんは金融機関に相談をしてみてほしいな。
差し押さえは避けられないだろうけれど、ある程度の債務残額は免除されるだろうし、生活費に相当する現預金は残すこともできるはずだから。
何より、自己破産という事態は回避出来ると思う。

「ガイアの夜明け」の話はこれで終了だけれど、この話題つながりで述べておきたいことがあるので、その話を次回。


いいなと思ったら応援しよう!