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短期では急落、長期では押し目

「放ったらかしにしてても(大丈夫)」

これは新NISA、特に積立NISAを勧める人たちの常套句、あるいはそれに近い言葉だと思う。もちろん長期投資を前提に株式投資を考えるのなら、新NISA云々を抜きにしてもおそらく正しい。
「おそらく」なのは、投資がリスクを含むものである以上「絶対」はなく、個人的には「大丈夫」というのも言っちゃいけないんじゃないか、と思っている。

ここで、2000年〜直近までの世界最強指数S&P500の推移を。

米国株式インデックス(S&P500)
(月足をラインチャートにしたもの)

ニュースで大きく取り上げられる〇〇ショックが何年かごとに起こり、浮き沈みや停滞している期間はあるけれど、それでも右肩上がりなのがわかると思う。
だから極端にいえば、チャートの左の方でS&P500に投資をし、その後一切株価を見ず、いわゆるガチホをして今日に至れば20年、30年後に見た資産は驚くほど増加していたことになる。
実際には、自分の大切なお金を投資して株価の変動が気にならない人や見ない人は、いないだろうけれど。

例えば先日の日米株価下落の日経平均を見ると1日で約-3.3%も下落したから急落に違いないけれど、こういった長い視点で見ると、まだ「暴落」と呼ぶほどではない気がする。

ちなみに東日本大震災の時、日経平均の下落率は2日間で約-16%、コロナ・ショックの時は25日間で-30.6%、 リーマン・ショックの時が185日間で約-51%だった。もちろん今回の急落がズルズルと下がり続ければ、振り返った時に「暴落だった」となる可能性はあるけれど。
S&P500であれ日経平均株価であれ、調整といった浮き沈みなしに一直線で株価が上がり続けるなんてことはない。

きっと長期投資家の人たちは、今回のような下落は1年の間に何度かあると想定しているし誤差の範囲程度に思われている。むしろ投資の上手い人なら、株を安く買える押し目がきたくらいに思われているに違いない。
つまり、世界中の経済に大きな影響を及ぼしたリーマン・ショックやコロナ・ショックでさえ、超長期目線の投資家からすれば「押し目」に過ぎない。
そしてその人たちは、これからも浮き沈みはあれど経済は伸びていくと考えている。

そもそも新NISAを、特に積立で始めた人の目的は老後資金であったり、長期保有が前提じゃなかったのかな。

積立NISAの人は、おそらくS&P500かオルカンを選んだ人が多い。
日経平均株価が急落したあの日、S&P500も同じように急落したから解約だ、損切りだ、という人たちがいたのだろうけれど(それが本当なら)、それだと短期投資目線ですよ、と。

それに新NISAが始まったのが今年の1月だからまだ7か月しか経っていないし、S&P500の場合だと新NISAの開始からやっていた人であれば、今回の急落を差し引いても20%以上の上昇なんだけれど。

日経平均株価
(4時間足をラインチャートにしたもの)

先述のようにぼくは新NISAをやっていなければ、こういったインデックスファンドもやっていないけれど、投資は結局どの時間軸で考えるか、捉えるかで変わってくる。だから長期投資と決めて始めたのであれば、これくらいで慌てて狼狽売りはしない方が良いんじゃないかなぁ、と思う。

とはいえ、最近になって新NISAを始め、日経平均やS&P500を直近高値付近で買ってしまった人は含み損を抱えてキツイと思うけれど、ぼくなら解約や損切りをせずに放置する。
それでも半導体をはじめ、ハイテク企業や米国経済がオワッタと自分で判断をするなら損切りや解約をすればいいと思うけれど。

リスクを伴う投資をぼくが勧めることはないし、「ぼくなら」とは書いても「絶対にこうした方がいい」と言ったり書くことも、もちろんない。

「絶対」はない世界なんだから。

そういえば急落の後、Xの「楽天証券のマネ活応援」というアカウントが、こんな投稿を固定にしていた。

【つみたて投資をしているみなさんへ】

株価が急落して、こわいけど、
がまんして持ち続けましょう!

いや、いや、いや、言わんとすることはわかるけれど、証券会社の公式アカウントがこんなこと書いたらあかんでしょ、楽天さん。
大丈夫なんかな。

それから、新NISAが始まってから投資を始めた人もかなり多いと思うけれど、その間S&P500は右肩上がりで上昇し続けたことに加え、日本人は円建てで投資をしているから円安も手伝って信じられないようなパフォーマンスを出し続けた。
けれど投資のリスクとリターンは表裏一体なので、逆に進めば今度は円高の分、下落の幅も大きくなるので、長期投資以外をされている人はお気をつけて。

つづく


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