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大切なことは、気づくこと

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

店で使う機器などが故障するときというのは、不思議と同じようなタイミングで次々と故障しはじめる。
1つ修理してもらうと間を開けずに、また別のものが故障するといった具合。
機器はどれも耐用年数が似たようなものだから、同時期に購入したものが不具合を起こすというのもそれほど不思議なことでないのかもしれない。
そう考えるとそんなものかとも思うけれど、なぜか店の照明が切れるタイミングも続くことが多い。これもよく考えてみれば、店の電球はかなり数が多いから確率的に重なるのかもしれない。

もう一つ、不思議なことがある。
電球が切れたとき、いつもそれに気づくのは、ぼくだということ。
それは京都も新宿も渋谷も。
電球が1つ切れているだけでも、ぼくは違和感を覚えるのだけれど・・・
なんか、いつもと違うって。

これは、ぼく自身の店だからみんなより敏感になるといったこともきっとある。
今ならぼくがいるタイミングで偶然切れただけなのかなとも思うし、みんなは目の前の仕事に集中しているせいかなとも考える。
けれど、ぼくがずっと厨房で働いていた頃もそうだった。
店内に近い窯担当の子よりも店内にいる販売スタッフの子よりも、一番奥で仕込みをしていたぼくがいつも最初に気がついた。

「なんか、いつもより店内が暗い気がする。電球が切れてない?」と販売スタッフの子に声をかけると、たいてい店内のいずれかの電球が切れていた。

店にはスポットライトやダウンライトが多いこともあるけれど、先日の京都では店内の電球が4つも切れているのに、誰も気づいていないなんてこともあった。

きっと気づかないんじゃなくて、気にしていない。
気にしていないから気づかない。

電球だけならLEDにすれば済むわけで、ぼくがここで伝えたいのは、何をするにしても違和感ってとても大切だということ。
最低限のルールやマニュアルは必要だけれど、みんなが違和感に気づいてくれれば無駄なマニュアルも要らなくなる。それが足りないからマニュアルだけが増えつづけ、結果的には形骸化することになる。
「出勤したら電球が切れていないか確認する」なんてことまでマニュアルにしていたら、きっとそんなもの誰も読まなくなるし、マニュアルをつくること自体が仕事になり本来の目的と手段が倒錯することになる。
マニュアルは最低必要限度のものがあって、あとはシンプルであればあるほどいい。

気にする、違和感を持つ、それに少し想像することを加えるだけで、おそらくたいていのトラブルも未然に防げるようになるし、きっとその方が現場のみんなも楽になる。

「大切なことは、気づくこと」

これが、一番シンプルで万能なマニュアルだと思う。
一昨日、渋谷の店の電球が2つ切れていることに気づいたのは、やはりぼくだった。

良くないことは、連鎖しないでね。


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