再三再四の願い事【短編小説】700文字
今日は大晦日。
4年前から彼と毎年の終わりと始まりは一緒にいて、初詣をしている。
待ち合わせはいつも地元で有名な学問の神様がいる神社前。
高校3年生の体育祭後から付き合いはじめ、お互い大学を目指していたからわざわざ出かけるようなデートは初詣が初めてだった。
23時半に待ち合わせ。5分前に着いたけどもう寒くって。髪の毛が海風で荒々しくなびいて、ダッフルコートの帽子を被ろうかと思ったぐらい。
すぐ来るだろうからと思って我慢してたのに、彼が来たのは0時5分前。
その時は彼の方が家が遠いからと思っていたけど、結局あれから毎年待ち合わせ時間を守ったためしがない。
普段のデートでも遅れてくる。
だからわざと待ち合わせの時間を早く伝えているけど、私が遅れて行っても彼が待っていたことはなく、10分は遅れてくる。
何回か注意したことはあったけど慣れてしまって、というか、諦めてしまった。
なので、今では約束の時間を早めに設定して私が時間調整するようになっている。
私との待ち合わせだけじゃなくて、友達ともそんな感じらしい。
社会人になったら大丈夫なのか?
春に大学を卒業したらお互い社会人。
私は待ち合わせの時間を23時45分にした。
大晦日は寒波で寒いらしいから、お参りしたら彼の車でスーパー銭湯に行く計画にしている。
今は23時55分。さすがに0時を過ぎたことはないのでもうそろそろかと思っているところにLINEが届く。
LINEを開かずともわかる通知に表示された短文。
『酒飲んじゃってたから行けない。』
既読にはせずに1人で神様に新年の挨拶をする。
密かな願い事は『今年こそ時間を守る彼氏ができますように。』
気持ち新たに、よいお年を!
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