近代的なモーダルインターチェンジを使用したソロギター曲(一部解説あり)
今回は近代的なモーダルインターチェンジを使用したソロギター曲を作って演奏しました。
こちらの演奏になります。
いつもはTAB譜に加えてテキストベースの解説をメインに記事を執筆させていただいておりますが、今回は上記の演奏曲のTAB譜のみのご紹介になります。(※解説追記しました2023/4/17)
それではこちらがTAB譜になります。「無限階段の向こう側」というタイトルの曲です。
PDFはこちらになります。
ご興味のある方はぜひチャレンジしてみてください!
また、ご不明な点やご質問などをコメントなどで質問いただけましたら、簡潔な内容でよければ時間に余裕のあるときにコメントで回答していきたいです。もしくは記事へ追記していきたいと思っております。
※2023/4/17
5〜12小節の範囲について、ご質問をいただきましたので加筆いたします。
いただいたご質問の趣旨としては、
「各コードのモーダルインターチェンジ等の仕組みはどのようになっているのか」ということだと思いますので、そこについてご説明していきたいと思います。
まず、今回の曲のキーはDマイナーです。
そして8〜12小節目に裏コードやモーダルインターチェンジを使用しています。
以下、5〜12小節の各コードの解説となります。
・5小節目 B♭M7(♯11)
DマイナーキーのダイアトニックコードのB♭M7にテンション♯11thを加えたコードです。
B♭M7はDマイナーキーにおいて♭Ⅵ M7にあたるため、テンションは♯11thが使えます。
・5小節目 Cadd9
DマイナーキーのダイアトニックコードのCメジャートライアドに9thを加えたコードです。
CメジャートライアドはDマイナーキーにおいて♭Ⅶのコードであるため9thを使用することができます。
・6小節目 Csus4/A
Csus4/AはDマイナーキーのダイアトニックコードのAm7を変化させたコードです。
具体的な変化の内容としては、
Am7のコードトーンである
ラ(Root)、ド(m3rd)、ミ(P5th)、ソ(♭7th)
のうちの「ミ(P5th)」を半音上の音である「ファ(♯5)」に変化させて、
ラ(Root)、ド(m3rd)、ファ(♯5th)、ソ(♭7th)
としました。
ですので、コード名は正しくはAm7(♯5)となりますが、多くの人に伝わりやすいコードネームとしてCsus4/Aと表記しました。
変化させたかった理由としては、
今回はメロディが「ファ」の音を強調しているタイミングでAm7を演奏したかったのですが、
Am7のコードトーンである「ミ」の音とメロディーの「ファ」の音は同時に鳴らすと、半音同士でぶつかってしまい、サウンドが濁りやすくなってしまうからです。
・6小節目 Dm/A
Dマイナーキーのトニックマイナー、Dmです。
Dmの第2転回形のオープンボイシング「ラ、ファ、レ」を演奏しましたが、
これをそのまま譜面に表記した関係で、コード名はDm/Aとなっています。
・7小節目 Gm9
DマイナーキーのダイアトニックコードのGm7にテンション9thを加えたコードです。
Gm7はDマイナーキーにおいて、Ⅳm7であるため、テンション9thを使用することができます。
・7小節目 Am7
DマイナーキーのダイアトニックコードのⅤm7のAm7です。
Gm9からAm7へと順次進行で上がっていくことにより、次のコードへの期待感を高めています。
・8小節目 E♭9(♯11)
DマイナーキーのドミナントであるA7の裏コード、E♭7です。
そこからE♭7にテンション9thと♯11thを加えました。
(裏のセブンスコードでは、ほとんどの場合で9th、♯11th、13thが使えます。)
・9小節目 Bm9
モーダルインターチェンジです。
同主調であるDメジャーキーのダイアトニックコードから借用しました。
DメジャーからみてⅥm7であるBm7にテンション9thを加えたコードです。
・9小節目 C♯m7(♯5)
モーダルインターチェンジです。
Dメジャーキーのダイアトニックコードからの借用和音、C♯m7(♭5)の変化形です。
C♯m7(♭5)の構成音は
ド♯、ミ、ソ、シ
です。
ここから♭5thの「ソ」を、♯5thの「ラ」に変えて、
ド♯、ミ、ラ、シ
から構成されるC♯m7(♯5)としました。
(「ラ」はDメジャースケールの構成音に含まれているので使用が可能です。)
C♯m7(♯5)と記譜しましたが、Aadd9/C♯と構成音は同じです。
・10小節目 Dm7
このDm7でDマイナーキーにもどります。
・11小節目 F♯m7
モーダルインターチェンジです。
Dメジャーキーのダイアトニックコードからの借用しました。
DメジャーからみてⅢm7になっています。
・11小節目 G♯m7(♯5)
モーダルインターチェンジです。
Bメジャーキーのダイアトニックコードからの借用和音、G♯m7の変化形です。
G♯m7の構成音の「レ♯」を半音上の「ミ」へと変更して、G♯m7(♯5)としました。
(「ミ」はBメジャースケールの構成音に含まれているので使用可能です。)
Bメジャーキーへのモーダルインターチェンジが突然のように感じるかもしれませんが、
同じ小節内の1〜2拍目、F♯m7をDメジャーキーではなく平行調のBマイナーキーだと捉えると
Bマイナーキー → Bメジャーキー
という、同主調のモーダルインターチェンジが可能になります。
・12小節目 A7
ここでDマイナーキーのドミナントであるA7にもどります。
A7はBマイナーキーのダイアニックコードとしても機能しますので、11小節目の3〜4拍目のBメジャーキーからは同主調のモーダルインターチェンジと捉えることもできます。
・まとめ
今回ご質問いただいた5〜12小節の解説は以上となります。
各小節ごとに、短い解説しか書くことが出来ませんでしたが、
モーダルインターチェンジなどの転調を伴うようなコードチェンジは、ボイシングやトップノート、ベースノートの接続がとても重要になります。
またそのあたりについても、いつか解説できたらと思います。
今回もnote記事をご覧くださりありがとうございました!
(打ち間違いや誤字などがないか、何度か読み直してチェックしておりますが、もしお気づきの箇所やご不明な点がございましたらコメントなどで教えていただけると嬉しく思います。)