ひとつ、ふたつ、みっつ数える前に /じゃがたら「タンゴ」
2019年3月16日、
TOKYO SOY SOURCEが復活する。
86〜88年に開催されていた伝説的イベント。
82年生まれだから、当時の現場には間に合わなかった。
あの頃の熱量を体感することができなかったわけで、
今回、復活すると言っても、
まったく同じムードやエネルギーを
感じられるわけではないだろう。
個人的な気持ちとしても、
過去のイベントやブームに対し、
当時体験できなかったことを羨ましいとは思えど、
「生まれた時代を間違った」とは思いたくない。
それは現在の自分や環境を
否定することになるのだから、シャクだ。
そして様々な証言や資料、
音源などでまとめられている
過去のアレコレというのは、
多少なりとも「尾ひれ」がついているはず。
現場よりも若干の嘘や誇張、齟齬
といったものは絶対に含まれてしまう。
人はひとりとして同じものを同じようには見ていない。
(だが一方で、
集合知に近い形で生まれるカオスな文化こそ、
愛すべきものである)。
そうはいっても、
TOKYO SOY SOURCEだけは別格。
それは単純にMUTEBEAT、じゃがたらが参加していることが大きい。
あのリズム、ビートを体感できたら、
どれだけ解放された気持ちに
なるだろうか。それが例え一瞬であっても。
と、ずっと考えていた。
また、プリミティブなのに都会的、
クールすぎずホットすぎず、
ダサくもなくオシャレすぎもしない、
そんな絶妙なバランスも魅力だ。
さて、私もアラフォー36歳、
じゃがたらの代表曲である
「タンゴ」がより身に沁みるようになった。
昔は「裸の王様」とか「みちくさ」とか「BIGDOOR」とか
派手目な曲が好きだったけれど、
どんどん沁みてくるのはやはり「タンゴ」だ。
ゴミの街に埋もれた、食いかけのハンバーグだ。
「都市生活者の夜」もそうだが、
アスファルトに這いつくばって
見える景色の虚しさときらびやかさ、
そこに潜む一縷のロマンみたいなものがある。
そんな想いが得られる音楽を、ずっと追い求めている。
それは、「タンゴ」に受けた影響の大きさかもしれない。
シティポップスとも四畳半フォークとも
ヒップホップとも違う形で、
ストリートにへばりついた
濁りも痛みも掬い上げた一曲。
ひとつ、ふたつ、みっつ数える前に
↑TOKYO SOY SOURCE発起人であるS-KENさんの著書。当時のイベントについても回想されている。とにかく名著。
↑あらかじめ決まられた恋人たちへ「今日」。僕たちの時代の都市生活者の夜。ライナーにも「都市生活者の夜」からフレーズを引用している。池永さんと話すようになったのはじゃがたらの話ができたのも大きかった。
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