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【クリエイティブとLIFE Vol.5】ミュージシャン、経営者、大学准教授…… 3つの顔を持つ古澤彰(LOWBORN SOUNDSYSTEM)が語る“不変”の音楽遍歴「音色(おんしょく)への興味がすべて」

会社経営と並行して大学准教授を務める才人・古澤彰が、クラシック、現代音楽、そしてバンド「LBSS」で求める音楽とは?

出会ったのは10年以上前になるでしょうか。当時は新宿JAMで開催されていた「ギリギリシティ」でライブをしていたのが、古澤さん率いるLOWBORN SOUNDSYSTEM(以下LBSS)でした。テンションの高いパフォーマンス、女性コーラス隊を従え、ユーモアやアングラも飲み込んだエンターテインメント感溢れる魅せ方、そしてあけすけでポップな楽曲。一言でいうなら、カオティックで懐の深い「東京」を体現したような音楽であると感じています。
また古澤さんは、システム開発やプロモーション企画を手掛ける会社O-lineの経営に携わりながら、音楽系の大学で教鞭を執るという、濃厚なキャリアを形成しています。しかも作曲家として室内楽作品を発表したり、クラブ・ミュージックとクラシック・現代音楽との関連性についての考察を学会で発表したりと、まさに才人という言葉がぴったり。ですが、本人は主催イベントの来場者に対し、無限にドリンクを奢り続けるような気遣いの人。
ビジネス系のWEBメディアでは経営者や大学准教授としての顔を取り上げられることが多いですが、今回は、イルリメやポチョムキン、掟ポルシェなど、多数のゲストアーティストが参加したラップ曲を含む(これがカッコいい!)新作EPの発売間近ということで、ミュージシャンとしての古澤さんに迫ります!

INTERVIEW:古澤彰(LOWBORN SOUNDSYSTEM)

古澤彰:熊本県出身。LOWBORN SOUNDSYSTEMリーダーで、作詞・作曲・編曲を手掛ける。写真:タイコウクニヨシ

ハウスやヒップホップのリスナーからはじまった

  経営者、大学教員、そしてバンド・イベント運営者という3つの顔を持つ古澤さんですが、今回はバンド・LBSSのリーダーとしての顔に迫りたいと思っています。
古澤  よろしくお願いします。
  バンド結成は2005年ということで、もうすぐ20周年ですね。
古澤  前身となるグループを結成したのが学生時代で、他のメンバーが卒業・就職のタイミングで大幅なメンバーチェンジがありました。だったら名前を変えよう、という流れで生まれたのがLBSSです。今でもライブで歌っている「たかが朝まで数時間」は、前身グループの時代に作った曲でもあります。
森   学生時代というのは、大学時代ですか?
古澤  いや、高校を卒業して入学した音楽系の専門学校ですね。そこでレコーディングとミキシングを専攻しました。大学はその後、音楽系の大学で改めて作曲と音響学を学んで、それから大学院にも進学して、メディア領域の研究をしていたという流れです。
 なるほど、濃密な経歴ですね。少し時計の針を戻し、古澤さんの音楽遍歴を伺っていこうかと思うのですが、幼少の頃から音楽が身近にある環境だったのでしょうか?
古澤  幼稚園の頃にバイオリン、小学校入学後にピアノを習いはじめました。だけど、自発的に音楽をはじめたと言えるのは高校生のときで、自分で機材を買って打ち込みを始めたんです。まだパソコンが高かったから、最初はオールインワンシンセだけで打ち込みをやっていて、上京後にサンプラーやシンセサイザーも買い足し、本格的にトラックメイキングに取り組んだ感じです。
  子どもの頃から、ミュージシャンや音楽業界への憧れはあったんですか?
古澤  ミュージシャンを志していた、というわけではなかったですね。バイオリンやピアノを習っていたけれど、クラシックの演奏家になる想像はまったくつかなかった。
  バイオリンやピアノは、親御さんの希望で?
古澤   そう。好きというよりも習い事の延長という感じだった。だけど高校の頃はシンセでの作曲とDJに夢中になっていて、リスナーとしても、弟と一緒に大阪までクラブに行ったこともある。ECSTASY BOYSのメンバーだった、天宮志狼のDJプレイを見るために。
 天宮志狼!(※日本のハウス・シーンにおけるパイオニア。2009年没)
古澤  熊本出身なので、地元にはなかなかそういう人がこなかった。東京から大御所が来たライブで特に印象的だったのは、まだ人数が多い頃のMICROPHONE PAGERが、初めて熊本に来た時かな。ライブはすごくかっこよかったけど、一曲しか演奏しなかった(笑)。観に行った自分たちが盛り上がりだした直後にお開きになったのを覚えている。それでも十分、その経験がその後の自分の音楽経験において糧になってはいますね。それから数ヶ月後に、今度はライムスターが初めて熊本に来た時に観たライブが、自分の転換期になった。ターンテーブルとマイクだけでも、これだけ完成された長尺のショーケースができるんだという感銘を受けたことで、自分自身でも初めて演者になろうと思いました。
  早い段階からクラブ・カルチャーやテクノ、ヒップホップには触れていたんですね。
古澤  中学・高校くらいのときかな。ユーロビート、ハウスやヒップホップが流行りだした頃で、Dead or Aliveから聴き始めて、Bomb The BassやM/A/R/R/Sを数年後に後追いで聴いて、リアルタイムではORBITALの2nd(93年)がリリースされたような時代。あの頃の短期間で急激に進化していった音をリアルタイムで経験できた体験が、自身の音楽歴の中では大きい。あとはトッド・テリーとか、あの辺のクロスオーバーしたハウスも好きだった。DJピエールとかも。
  ひとつのジャンルに絞るというよりは、幅広くというか。
古澤  あんまりジャンルの縛りは気にしてなかった。純粋に、自分にピンと来るかどうかの軸で考えていましたね。だから、「クラブ・カルチャーが~」とか、「このシーンがすごい」とか、そういう文脈みたいなものは他の人よりも重視していないと思う。

中野MOON STEPでのライブ
中野MOON STEPでのライブ

「何か足りない」を補完するために音楽を作る

   カルチャーやシーンよりも、音楽そのものが自分にフィットするかどうかだったと。そして進学を機に上京されていますが、それはより音楽に触れる場所、やれる場所を探してという感じですか?
古澤  そうですね。当時の環境だと、年に何回か上京して、CISCOにレコードを買いにいくか、もしくはレコード屋の通販しかなかった。当時の通販って、お店から届くリストの中からセレクトするしかなかったから、視聴ができないし、(レコ屋の)コメントだけで判断するしかない。それで自分の勘がハズれたときのフラストレーションがすごかった(笑)。かといって、毎回東京へ買いに行くのはお金も時間もかかるから大変だし、だったら住みたいなと。
  古澤さんが上京した頃は、まさに宇田川町界隈のレコード文化がひとつのムーブメントを起こしていたときですよね。
古澤 ただ、後から聞いた話だと、上京する数年前のタイミングがクラブシーン的には一番コアな盛り上がりを見せていた時期で、自分が上京して音楽をはじめたときはやっぱり遅かった感覚はあったかな。その頃は、どちらかと言うと商業ベースになり始めたので。
   そんな中でDJやソロではなく、バンドを組んだきっかけは?
古澤  そもそものモチベーションとしては、何かを訴えたいというよりも、いろんな音楽を聴いていて「何か足りないなぁ」という部分を自分で補完するためにやっていて。
  なるほど。自分が聴きたいサウンドを作る。
古澤  エレクトロやテクノのフォーマットを使って何か自分でできないか、というところかな。これは大学や大学院で器楽曲の作曲を専攻をしたからだけど、個人名義でインストゥルメンタルの室内楽を作ったとして、ライブでの一体感はゼロになるんです。なぜなら自分が演奏するのではなくて、楽譜を演奏者に渡せば作曲者の役目はそこで終わりだから。それはそれで、自分が作曲した曲の音がどう聴こえるかが面白いからやっているんだけど、自分が演奏することを考えて作っているわけではない。器楽曲を作曲する場合は、演奏を突き詰めた人間に任せることを前提に考えながら作曲しているので。
  それとは別に、自分で演奏するものとして作りたいものもあると。
古澤  そうそう。自分でライブをやることを前提に考えたとき、どういう曲だったらテンションが上がるか。
   古澤さんにとってのテンションが上がる音楽がLBSSだと。
古澤  その一面もあるかもしれない。アウトプットされているサウンドは時代の傾向や機材の進化と共に変化した部分もあるけれど、トラックメイキングはシンセサイザーで打ち込みを始めた頃と、ほとんど変わっていないしね。

※日本リズム学会で発表された古澤さんの研究レポート
第40回大会「デトロイトテクノにおけるブラックミュージックの系譜」
第59回例会「クラブDJのプレイ中における思考と技巧の考察」

第40回大会 http://www.japaninstituteofrhythm.cho88.com/taikai/taikai2023.htm
第59例回 http://www.japaninstituteofrhythm.cho88.com/reikai/reikai59.htm

バンドはあくまで、ライブをやったときにどう客と対話できるか

  音楽活動で言えば、主催のライブイベント「ギリギリシティ」が2006年からスタートして、次回で144回目を迎えます。続けることで生まれるインスピレーションはありますか?
古澤  う~ん、音楽そのものに対してはあまりないかな。現場は自分の中にある何かしらの感情を表現する場というか。もちろん、対バンするアーティストやDJは、自分が気に入った要素があるから出てもらっているけれど。
 「ギリギリシティ」の魅力を古澤さんが説明するとしたら?
古澤 ライブとDJ、その間にお笑いをやるようなイベントって、はじめた当時はほとんどなくて。一度に全部見られた方がお得だしエンタメだなっていう感覚でやっていました。初期はプラスして飲み放題にしていたんだけど、そのシステムも当時はあんまりなかったんです。あれはレギュラーでイベントを打っていたからできたこと。
  お笑いと言えば、今もレギュラー出演者であるギブ↑大久保さんが『水曜日のダウンタウン』に出演し、一躍テレビスターになったり。
古澤  そういう人を生で見る機会としてはちょうど良いと思いますね(笑)。それこそチャンス大城さんにも出てもらっていましたから。
   最近、気に入っているアーティストっているんですか?
古澤  気に入っているというか、DJをしているから、自分のプレイのパーツとして使えそうなものは常に探しているイメージですね。好きなもの自体は、中学や高校生のときに固まった感じがあるんです。新しいものを知りたいというよりも、フレーズも音色も、自分の好みに近しいものがあればと思って聴いていますね。
  なるほど。
古澤  例えば、自分が60分でDJするとして、その中で流れを作る必要があるから。起承転結の4パターンに合わせて数十曲、どれにつなげるかの引き出しは作らなきゃならない。そのために音楽観をアップデートしている感じかな。
  そういった要素がバンドに還元されることも?
古澤  いや、自分のDJで取り入れることはあっても、楽曲の演奏として還元されることはないかな。そこも意外と切り分けられていて。バンドはあくまで、ライブをやったときにどう客と対話できるか。客が盛り上がるような構成だったりを考えるということですね。
  そして古澤さんと言えば、古澤彰名義で室内楽やオーケストラといった器楽曲の作曲も行い、またリズム学会の理事として論文や研究レポートも定期的に発表しています。ちなみに前回の発表テーマは「クラブDJのプレイ中における思考と技巧の考察」ということで、これまで培ってきた経験をフルに活かされた内容ですね。
古澤  周囲の人たちに「幅が広い」とよく言われるけれど、純粋に自分が好きなことをやってるだけなんだよね。音色や手法も自分自身で打ち込みで作曲を始めた頃からそんなに変わっているわけでもないし、演奏する形態や発表する場といった環境に合わせてアウトプットする内容が変わっているだけの話で。
  音楽やメディア領域を学ぶために慶応大学大学院に進学されていますが、何か理由はあったんですか?
古澤  そこで出来る領域に興味があったのと、それまでの延長でより面白いことも経験できるかなという面もあった。ちょっと話は遡るけれど、音楽以外でも小学校から高校までずっと書道を続けていて、特に高校時代は書道部の部長を務めていたし、自分自身が書道での受賞歴も多かったら、その実績で大学に行くこともできた。だけど、書道は人前で披露するというより、個人でコツコツと作品を作るものなので。もちろん、作曲も同じく1人でコツコツ作る作業で、それが好きだから曲作りを今でも続けている面もある。加えて音楽の場合はライブで演奏も出来る。だったら、音楽の方が売れていようがなかろうが人を集めてライブができるし、一緒に盛り上がることができればテンションも上がるから、今もライブイベントを続けているのかもしれない。

制作ではすべてのパートを自分でハンドリングしたい

   LBSSの話に戻ると、2008年に1stアルバム『卑しい生まれの音響装置』がリリースされていますね。
古澤  当時は私がトラックを作って、あとは週一回、メンバーと一緒にスタジオへ入って、セッションしながら仕上げていくパターンでした。通常のレコーディングはだいたい自分の家だったけど、アルバムのときは山中湖のスタジオで合宿してレコーディングをしたんです。
   わりとメンバーと一緒に作っていくやり方だったんですね。
古澤  録音本番では1~2テイクくらいでOKになるくらいには、リハを重ねて演奏を仕上げていて。フレーズとかも、私がアドリブで弾いたものを起点にセッションしながら、メンバーが被せるパートを考えてもらうみたいなこともあった。
  ある程度は自分で作って。
古澤  それも結局、自分がバシっと来るかどうかが大事で。高校の頃に始めてから今まで打ち込みをメインにしているのは、頭の中にすでに完成形があるから、すべてのパートを自分でハンドリングした方が、頭の中にある理想に近づいていく。だからミックスも自分自身でやることが多い。ただ、渡部高士さん(1stアルバムのミックスも担当)みたいに、その道のプロが手を加えたら、想定以上にすごく良くなるときもあるから、そこはレコーディング作業の楽しみでもありますね。
  それでも一応、バンドとしての形態は保っておきたいという気持ちもある?
古澤 ライブをやりたいというのがあるから。自分がリスナー側として考えたときに、弾き語りや黙々とPCを見つめながらやるパフォーマンスにはあまり興味が沸かなくて。どうせ生でやるんだったら、テンションが上がるものをやりたいって思うんです。だから自分が演者側の立場だったとしても、どうしてもそう考えていますね。
  アルバムを世に問うことで、納得した部分や課題が生まれたりもしたんじゃないですか?
古澤  そうですね……当時はまだメンバーで意見を出し合いながら制作していて。結果的にメンバーも変わって、今のメンバーになってからは全部自分がやる体制になりました。その方がやりやすいと思う一方で、もうちょっとアイデア出して欲しいなと思うときもあるにはある(笑)。

1stALBUM『卑しい生まれの音響装置』

音色への探究心は、「Rockit」からはじまっている

  現メンバーが固定されてから、けっこう長くなりましたね。
古澤  少しずつメンバーチェンジしながら走ってきた感覚で。ビジュアルやキャラクターで魅せる方向でどこまでできるかなというのはある。(神無月)ひろちゃんはトークができるし、声も通る。レコーディングでもその声質の良さは活かしたいなと思うし、椿(かおり)さんとのバランスも取れているから。hajirockさんはギタリストなんで、ライブではやっぱり存在感が出るよね。
  ドラムに関しては生では入れていませんね。
古澤  ドラムの各音色をコントロールしながら楽曲を作らないと、自分が面白いと感じない面が強いんだと思う。もちろんライブとかで、生のドラムとセッションしたりするのは楽しかった経験もあるんだけど、それと音源のレコーディングとは、また別の話になるので。
  リズムマシンやビートへのそうした執着はどこから来たんですか?
古澤   そうですね――大きなきっかけになっているとするなら、小学生のときに祖父が亡くなったことかな。そのときの形見でもらったラジカセでFMラジオを聴くようになって、聴いていたラジオ番組のジングルが、たまたまハービー・ハンコックの「Rockit」だった。曲名はあとから知ることになったけれど、ずっと「あのドラムとスクラッチの音色はどうやって出しているんだろう」と気になっていて。だから自分の音楽や音色への探究心は、「Rockit」からはじまっているといえるかもしれない。その感覚が今でも変わっていない。
   今でもそうした音色への追求は続いているんですか?
古澤   というよりも、これはクラシックは除いて、ポピュラーの楽曲を聴く時の話に限定されるけど――物心ついた頃からずっと音楽の三大要素(旋律、ハーモニー、リズム)よりも、音色おんしょくを重視して音楽を聴いているところがあるんですよ。幼い頃から圧倒的に音色重視なんだよね。歌メロや歌詞の内容はあんまり重視してないし、リズムに関しても譜割よりはドラムの各パーツの音色が「重いかどうか」を聴いている。それはスピードがゆっくりという意味でもなく、テンションが上がる重さ。ちゃんと刻んでいて、ドシンと来るかどうか。つまり、TR-909みたいな重いドラムの音色で、かつ16分で刻まれているかどうか。

その日の気分で聴くジャンルや音楽を変えたい、そのバランスを意識している

  2021年には、現メンバーになってからの初音源となるEP「LAST GAME」はリリースされました。iTunesのエレクトロニックチャートでは、ビッグネームを抑えて3位にチャートインしたりもしましたし、Youtubeにアップされたミュージックビデオは、海外でも大きな反響を呼びましたね。
古澤  それもフシギな感覚があって。元々ユーロビートやエレクトロの音色を好んで聴く国で、その本場であるイタリアではバンドのパンクっぽい曲の方が受けて、むしろエレクトロっぽい曲の方はインドネシアで受けているという。
  決して狙っていたわけじゃないと。
古澤  てっきりイタリアではエレクトロっぽい音が受けると思っていたんだけど。でもインドネシアだと、ファンコットとかが流行ったから、そういう関係なのかも知れない。人口分布的にも20~30代が多いらしいから、そういう世代的な影響も含めて。
  「LAST GAME」では、リミキサーに池永さん(池永正二。DUBユニット「あらかじめ決められた恋人たちへ」バンマス)もリミックスで参加していますね。
古澤  正二くんも十数年前に共通の知り合いから紹介されて。年齢も近いし、聴いてきた音楽も近いからその辺で話が合って。あのリミックスに関しては「ポップ・グループをイメージした」と説明されました(笑)。

EP「LAST GAME」


  そして今回リリースされる新作も、EPになるそうで。
古澤  じつは前回のEPをリリースしたときに、すでにフルアルバムができるくらいの持ち曲はあったんですよ。まぁ、それはもうちょっと時期を見て出したいというのがあって。
  実際、今回収録予定の楽曲も、古いものだと7~8年前からある曲ですよね。
古澤  レコーディングしたのはその頃の曲もありますね。
  作品のコンセプトはあるのでしょうか?
古澤  作品自体のテーマやコンセプトといったメッセージ性に関してはあまり考えていなくて、どちらかと言えばどのように配信するかを考えていて。今は、3回くらいに分けて配信したいと思っています。CDのように十数曲入って1枚の作品というよりは、もう少しコンパクトにして、逆にリリースのスパンを短くしたい。そこに、長年ストックしている曲だけじゃなくて、新しく作った曲も入れたいと思っています。
  配信ならではのフットワークの軽さというか。
古澤  そもそも自分自身が同じジャンルの曲をずっと聴くタイプではなくて、その日の気分で聴くジャンルや音楽を変えたい人間なので。だから作品を作るとしても、そういうバランスは意識していますね。
  ゲストも豪華ですよね。イルリメ、ポチョムキン(餓鬼レンジャー)、掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)、サイプレス上野など。
古澤 あとは私がたまにトラックを作ったり、ライブの時にバックDJをやっているZIGHT(ex.Night Camp Click)とか。基本的には知り合いとか、年代が近くて気が合う人たちばかりですね。
  新作はどれくらい完成しているのでしょうか?
古澤  以前にレコーディングした4~5曲に、新曲を追加する形にして、そこにリミックスも加えようと思っています。全部で10曲を超えるんじゃないかな。
  楽しみですね。今後もLBSSも、ソロでの室内楽の作曲も並行して続けていく予定ですか。
古澤  そうですね。日本リズム学会の理事にしても、好きで楽しみながらやっているし、その辺の活動を行うために東京にいるところもあるから。10/28にはEPリリース記念の「ギリギリシティ」があるので、ぜひ遊びに来てほしいです!
【聞き手/森樹(こーもり)】
 


●Profile
古澤彰
熊本県出身。LOWBORN SOUNDSYSTEM(ローボーンサウンドシステム)リーダーで、作詞・作曲・編曲を手掛ける。音響系の専門学校を卒業後、尚美学園大学にて作曲と音響学を学ぶ。その後、慶応大学大学院にて政策メディア研究科修士課程を修了。2016年からは、日本リズム学会の理事に着任。現在は株式会社O-lineの取締役COO、さらに尚美学園大学の准教授として、映像リテラシー/モバイルメディア研究/映像音響論などの講義を担当している。

↑経営者、准教授としての顔はこちらから。
 

LOWBORN SOUNDSYSTEM
2005年結成、現メンバーは、古澤彰(Vo,G, Programming)、hajirock(G)、椿かおり(Vo)、神無月ひろ(Vo)の4名。テクノ、エレクトロ~ヒップホップを主体としたダンス・サウンドと、大胆な引用も組み込んだメロディー、古澤とふたりの女性ボーカルによる掛け合いが魅力。ライブでは、ディスコ~パンクに接近した熱いパフォーマンスが特徴。現ラインナップでの作品はEP「LAST GAME」(2021年)で、iTunesエレクトロニックチャート3位を記録。また収録曲のMusicVideoはヨーロッパや東南アジアなど、海外からの高評価を獲得した。

ローボーンサウンドシステム公式サイト:

公式YouTubeチャンネル:

左から神無月ひろ、hajirock、古澤彰、椿かおり 写真:タイコウクニヨシ

ギリギリシティ
2006年からスタートした主催イベント。打ち込み系グループによるLIVE、DJ、お笑いをシームレスに繋いだエンターテインメント・パーティー。LBSSのライブのほか、お笑いライブでは『水曜日のダウンタウン』で話題となったギブ↑大久保などが参加。次回パーティーは、2024年10月28日(月)@中野MOON STEPにて開催。通算144回目というから驚き!

【LIVE INFO】ギリギリシティVol.144
10月28日(月)中野MOON STEP
OPEN&START 19:00
チャージ1,000円(1ドリンク付)
(LIVE)
LOWBORN SOUNDSYSTEM
CrazyRomantic
ブラウスブラザーズ
たぬとわ
(DJ)
OCCHIII
古澤彰(LOWBORN SOUNDSYSTEM)
Takashi Furusawa
(お笑い)
ギブ↑大久保

NEW EPは2024年11月に配信予定! 

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