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ロキノンソニック初日を堪能する

幕張メッセで毎年開催されている年末フェス「CDJ」のセットと飲食スペースをほぼそのまま流用して、市場としてはかなりシュリンクしてしまった感のある洋楽ロックにスポットを当てたフェス。タイムテーブルが被らないスムーズな2ステージ制、目玉は27年ぶり来日のPULP。ほかにもプライマル・スクリームやST.VINCENT、JEWといった実力派に、WEDNESDAYなどの新鋭も含めた良きラインナップ。チケットもかなり抑えめな値段だったのが功を奏してか、予想していたよりも若い人が多く、それでいてトイレや飲食もほとんど混まない快適な塩梅に。ただあと5000人くらいは入らないと採算的には厳しいかもしれない(COSMOステージの収容人数を考えれば、今回の人数でちょうど良かったと思う)。

メッセはそんなに音響が良いイメージがないけれど、この日はかなり良かった。フレンドリー・ファイアーズのような同期ありきのダンス・ロックもローやボーカルがはっきりと出た綺麗なバランス。一昨年のアルバムと昨年の来日ライブが素晴らしかったWEDNESDAYはもっと大きな音で聴きたかったが、ラップ・スティールギターとカントリーテイストを活かすとなるとあれくらいが限度なのかも。とはいえ素晴らしいライブを最前に近い場所で見られたのはありがたい。いまや要注目シンガーソングライターとなったMJレンダーマンのノイズ・ギターも素敵だったし、穏やかカントリーソングも、ラストのハードコア曲もテンション高くて持っていかれたな。

プライマル・スクリームは前半新譜、後半ヒット・ソングの組み立てで、ソニックマニアの深夜らしいドープな感じに比べるとかなりロック寄り。スパンコールが散りばめられた演歌調スーツを華麗に着こなすボビーは相変わらずの優男スター感満載だったが、演出上「静かに」といったあとに歓声を挙げた客に対して「首切り」ポーズをするところにらしさを感じるなど。

ST.VINCENTはドラム神マーク・ジュリアナどころかBECKでもおなじみジェイソン・フォークナーもいて、さらにベースもビジュアル含めて存在感ありあり。オルタナ~アート路線だけどダイナミズムがあって心地よいサウンドでした。その中でST.VINCENTの麗しさはひとつも曇らないのが素晴らしい。丸くならず、パリっとしていてこちらも背筋が伸びるというか。

PULPは「DISCO2000」「Common People」といった大ヒットアンセムが生で聴けた上に、ジャーヴィスの老成してるんだか尖ったままなのかわからないクネクネしたアクションにも盛り上がった。思った以上にバンドは仕上がっていて、「SUNRISE」みたいなスペーシーな曲も、ネオアコ曲「Babies」もバッチリ。スローな曲だとジャーヴィスはオベーションを弾く。アンコールラストに持ってきた「Common People」の大団円感は、もれなく初日のクライマックスとなった。この瞬間のために本イベントはあったのか、と思わせるほど。

2ステージを行き来する時間は普通に歩いて5分以内、黒幕を使った仕切りや導線がよく練られていてさすがはロキノン印のイベント。トイレは常設だけでなく仮設も充実していて無駄な時間ロスもなかった。ただ2ステージを行き来してすべて見てしまうと飲食をする時間はないので、誰かを犠牲にする必要がある。贅沢な悩みよ~

二日目も楽しみ。果たしてメリーチェインはあの謎の女性ボーカルを連れてくるのか? 個人的な目玉はCigarettes After Sex! 妖艶で深淵なる音の海に溺れたいと思います。

各所にロキノンの表紙が。OASIS VS BLURもさることながら、価格の上の「総決起死闘号」という見出しに時代を感じる
フレンドリー・ファイアーズのマイク2本使い
スクリームがほんとにエモいWEDNESDAY
マラカスが似合う男ボビー・ギレスピー
シルエットだけでも格好良いPULP

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