3 ボア・ストロークはどう決まるのか?
ボアとストロークの値で円筒の体積を計算することでエンジンの排気量は算出できる。
同じ排気量でもボアの大きいエンジンや、ストロークが大きいエンジンがある。
ボア:ピストンの直径
ストローク:ピストンが上下する範囲(クランクの直径)
ボアの大きいエンジン、ストロークの長いエンジンは何を狙ってそのような設計になっているのか。
ショートストローク(ボア大)の利点
・ボアが大きいとストロークは短くて済み、ピストンの往復距離が短くなる。つまりエンジン回転数に対するピストン速度が小さくなる。
ピストンの摩擦によるエネルギーロスはピストン速度が増すと指数関数的に増加する。そのためピストン速度はエンジン回転数の限界を決める一つの指標となる。
従って、ショートストロークにすることでより高回転高出力のエンジンにできる。
・一方、高回転化する事で、ピストンの慣性質量が問題になる。簡単に言えば、高速で動くものは軽く無いと都合が悪い。
ピストンを軽くする必要がある→強度に限界がある→高負荷に耐えられない。
となるため、高過給化はしづらい。
・ガソリンエンジンの場合、ボアが大きすぎるとノッキングが避けにくい
ロングストローク(ボア小)の利点
・熱効率が良くなる傾向。圧縮上死点付近の容積に対する比表面積(SV比)が小さく、熱損失が小さくなる。
スクエア
・ボアとストロークが同じ場合をスクエアと呼ぶ。
86mm✕86mm(500cc)は気筒数を変えることで横展開がしやすく、BMWなどでは好まれている。
まとめると。
・高回転高出力型のエンジンにはショートストロークが好まれる。(バイクやスポーツカー)
・高負荷、高効率のエンジンにはロングストロークが好まれる(ディーゼルエンジン、商用車)
・バランスのとれたスクエアエンジン、特に
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