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第28回(令和6年度)業務用加工食品ヒット賞レビュー【後編】
後編です! 前編はこちら!
【はじめに】
さすがにこれだけ紹介する商品が多いと、自社商品を紹介している可能性があるので、この手のレビュー記事はPR記事ということにします。
商品画像は各社HPから引用しております。
8.まんまるキャベツ包(大冷)
大冷さん、多分聞いたことある方は少ないのではないかなと思いますが、業務用の冷凍食品がメインのメーカーです。
個人的には魚のイメージが強かったので、こんなのも販売してるんだーと思ったり。凍ったまま焼ける魚とか売ってるんですよね。
で、今回のまんまるキャベツ包。
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ロールキャベツなんですが、キャベツを皮ではなく角切りにして使ってるんですね。角切りキャベツをグルコマンナンで固めた外皮なので繊維感がなく、柔らかく食べられるというところに特長があります。
なんといってもパッケージに燦然と輝くユニバーサルデザインフードのマーク。こちらの商品は「容易にかめる」を取得しています。
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ロールキャベツ、野菜も肉も取れていいメニューですけど、どんだけ茹でても茎の部分の繊維感って抜けないんですよね。それを「そもそも茎使わなければいいんじゃね?」って発想が素晴らしいです。
学校給食とか介護施設なんかでも出しやすいアイテムですよね。
大冷、ファブレスメーカーなんで自社工場はないんですけど、開発が優秀なんでしょう。どこの工場で作ってるんだろうなーこれ。
9.燻製鴨かつ(ニチレイフーズ)
冷凍食品といえば我らがニチレイフーズ。しかし鴨カツ。あんまり考えたことないメニューっすねぇ……。
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合鴨はやっぱりパストラミで食べることが多いと思うのですが、それを揚げちゃおうっていう発想が面白いですよね。
ただ合理的な理由はあるようで、鴨の脂って他の肉よりも融点低いらしいんですよ。なので、くちどけが良く冷めても美味しいと。
もうなんか、ただただ新しいメニューでワクワクしますね。定食屋とか居酒屋とか行って「鴨かつ」と書いてあったら「おお!?」ってなるじゃないですか。なりませんか?
なんか普通に半分の量で家庭用で売ってもそれなりに売れそうなんですが、まだ認知を高めたりする段階なんですかね。
……でも難しいかな、家庭用って謎メニューに手を出しにくいもんな……。
残念ながらまだ鴨かつに出会えてないので、もし出会った方いたらぜひ情報をください! 拡散します!
10.ピロー容器食用油(日清オイリオ)
スゴイ商品名www
初めて見た時笑ってしまった。
食品の包材は色々ありますが、ピローというのは容器と書いてありますがぶっちゃけただの袋です。これもう商品見てもらった方が早いな。
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ちなみになぜピローというかというと、枕(pillow)に似てるからです。余談でした。
さてなぜこの商品が業務用加工食品ヒット賞を受賞できたのか。それをお答えするには、まずそもそも一般的な業務用の油がどういうものかを知る必要があります。こんなんです。
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ちょっと小さくて見づらいかもしれませんが、「NET 16.5kg」と書かれています。クソデカクソ重。
外食はとにかく油を使うのですが、もちろんここから直で鍋に投入はしないにしても(フライヤーなら直投入するかもだけど)、小分けするのも一苦労です。ただでさえ人手不足の折、こまめにこれを空けて分けるのめちゃ不便ですよね。
もちろん缶である理由はあるのです。そもそも量をめっちゃ使うし、缶だと酸化劣化も少ない。流通もこれ自体で積むことが出来るし、保存性も抜群。
ただまぁ、やっぱりいかんせん重いし多すぎるケースもあるのです。この量まではいらない、けど家庭用の量だと少なすぎる……みたいなケースに、この商品はハマったのでしょう。
この商品、個人的にすごいなと思うのは2点。
1つ目は、よくこれ破れないなということ。ちょっと厚めの袋を採用しているとは思いますが、袋とカートンなのでね……ピンホールとか破袋のリスクはあるはずです。もちろんそんなことは百も承知だと思うので、テストした結果行けるという判断が出たのでしょうね。
2つ目は、これ酸化防止どうなってるの? ということ。油の一番の敵はなんといっても酸化です。基本的にピローはそこまで酸素バリア性の高い資材ではないので、なんか特殊なフィルムなのかなぁとか。ぜひ組成を知りたいですね。まぁ、4kgなら酸化しきる前に使ってしまうやろ精神かもしれませんが、油って結構在庫しておくアイテムですしね。
袋だと使い切った後もごみ袋にグルグルポイできますし、色々使い勝手が良いのは間違いないです。同じ食品でも容器によって売れ具合が違うという良い例でしょう。
11.お湯でひと煮立ちカレーソースの素(ハウスギャバン)
なんか家庭用っぽい商品名が来ました。
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この商品はフレークになっていて、沸騰させたお湯に溶かして沸騰後1分で完成、それでいて本格的なカレーの味が出来るというものです。ポイントはやはりその手軽さと完成度の高さ、そして量の調節がきくということ。
レトルトはレトルトで洗い物が出ないとか具材が入ってるとか良いこともあるのですが、サイズがパウチで決まっちゃうんですよね。でもこの商品ならフレークなので、小容量にも大容量にも対応できる。具材は事前に用意しておけばよいしね。
そして何よりかさばらない。これ1kgで4.5~5kg出来るということですから、ざっと1食150gとすると30杯分以上になります。
なんとなくですが、ネットカフェとかそういうところにハマりそうな気がしますね。もちろんこの商品、完成度が高いといってもちゃんと作ったカレーとはかなり差があると思うのですが、そういう本格的な味を求められないシーンで人手の足りないところ、すぐ食事を出さなければいけないところにはとてもありがたい商品なのでは、と思います。
本格的な味を求められないシーンでもある程度のおいしさを求められてしまうのが食品業界の難しさではありますが、どのマーケットにどういう商品がハマるかを考えるのは楽しいですよね。知らず知らずもう食べてそう。
12.サクッとかる~いごぼうチップス(マルハニチロ)
マルハニチロにごぼうのイメージがないのですが。びっくり。
業務用はマジで「このメーカーからこんな商品出てるの!?」の宝庫ですなぁ……。
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こちらの商品、揚げると簡単にごぼうチップスが出来るという商品です。以上ッ、第三部完ッ!
……で終わらせるわけにもいかないのですが。
ごぼうチップス、想像の通り汎用性めちゃ高そうですよね。ちょっとおしゃれな皿に盛り付ければそれだけで一品メニューになるし、サラダとか麺とかそういうのに合わせても良い。
結構薄くスライスしてあるところもポイントで、揚げ時間はわずか1分30秒。薄いけどごぼうの硬さでボリューム感は出る。なんかお菓子ではたくさん見かけるので、業務用商材としてもどっかのメーカーから先に出てそうですけど、なかったんでしょうなぁ。
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決して主役ではないけど、コンスタントに売れ続けそうな商品。こういう商品、地味に利益稼いでくれるのでありがたいですよね。マーケティングの勝利。
13.三角クラフトコーラ(ヤマサ醤油)
お前そんなん作ってたんかーいシリーズ第2弾。ヤマサ醤油のクラフトコーラの素。
日本でのクラフトコーラの火付け役は伊良コーラだと思いますが、クラフトコーラはタピオカみたいにしっちゃかめっちゃかなブームになることもなく、じわじわと広がっていて上手に浸透したなという印象です。伊良コーラもだいぶ手に取りやすくなりました。
ただクラフトコーラ、家庭で作られた方もいるとは思うんですが、スパイスめっちゃ用意したり煮詰めたりするの、結構面倒くさいんですよね。業務用ではなおさらです。
そこで業務用のクラフトコーラのベースとして発売されたのが、この三角クラフトコーラですね。
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これは濃縮タイプで、濃度は自分で調節可能(推奨5倍)。炭酸水で割ってもいいですし、ウイスキーと炭酸水を使えばクラフト感を残したハイボールにもできます。
三角という名前、ヤマサが作った日本初のソース「ミカドソース」が由来で、レシピもこのソースを参考にしているのだとか。それもあってか、隠し味に使われているのはなんと醤油。スパイスとしては結構(クラフトコーラとしては)ベーシックなチョイスですが、醤油が入っているのはヤマサらしさを感じますね。
飲料カテゴリーでは34年ぶりの新商品とのことで、多分社内にそんなの知る人いないのではというところですが、それがヒットにつながったのだからとても素晴らしい取り組みだと思います。これは名前出してお店で出しているところもありそうなので、ぜひ飲んでみたいですね。
14.海のおかずシリーズ(ヤヨイサンフーズ)
スゲー名前を聞くんですが、まだ合併してからは10年のヤヨイサンフーズ。個人的には大豆ミートとかゼリーとかで見かけることが多いです。
それはさておき、海のおかずシリーズ。水産物が苦手な子供でも食べられるようにした学校給食向けの商品で、「国産マグロカツ」「国産カツオカツ」「海老カツ」「イカメンチカツ」「三陸産茎わかめカツ」の5品がラインナップされています。学校給食向けということで、カルシウムと鉄を強化しています。結構学校給食向けだとありがち。
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同じタンパク質なら肉より魚の方が健康にはいいだろうと思う方は多いと思うのですが、残念ながら水産物の消費量というのは減少し続けているのが現実です。2011年度には肉類の消費が魚介類の消費量を上回ってしまいました。
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理由はいくつかあるとは思いますが、やはり手軽かつ美味しく調理できるメニューが肉類には多いのでしょう。そういう点で、カツにしてしまえば子供は喜んで食べるというのは、お子さんをお持ちの方は体感でよくわかるのではないでしょうか。とりあえずから揚げにすりゃ野菜も食べる(個人の見解です)。
そういう食文化的な意味でもこういう商品がヒット賞を受賞するのは良いことだなと思いました。「イカメンチカツ」や「三陸産茎わかめカツ」は食感を重視して、「よく噛んで食べること」を意識したそう。食育という言葉が広まって少し経ちましたが、こうして体感で食を理解できる商品、必要だと思いますね。
さいごに
以上、第28回(令和6年度)業務用加工食品ヒット賞レビューでした!
なかなか普段意識されることはないと思うのですが、業務用商品というのは家庭用商品とそん色ないレベルで展開されており、そしてその多くが意識されることなく消費されています。
今回紹介した商品も、もしかしたら皆さん知らず知らずのうちに召し上がられているかもしれません。外食をしたとき、ホテルで朝食を食べるとき「これってもしかしたら業務用商品なのか?」と意識してみると新たな世界が見えるかもしれませんね。
今回のnote書いてて改めて思ったこと
— いつき@食品メーカーの中のひと (@itsuki26_labo) September 22, 2024
①業務用でも外食向けと加工メーカー向けはまたさらに異なる(今回は外食向け)
②外食向け商品のヒット商品は「手作り感」と「常温保存(流通)」
③市販用との違いは「生理機能」より「物性機能」 https://t.co/S3mgnfcrY1
それでは、また来年!
家庭用は来年2月に更新します!(下は2023年度版)