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心癒される、橋から眺め見る絶景

今から20年も前のことだが、就職1年目、無理をし過ぎてGW前に疲労から声が出なくなってしまった。沈んだ気持ちでいた私に「気分転換に行こう!」とドライブに連れ出してくれたのは、当時付き合っていた、今は亡き夫だ。行き先は、秋川渓谷。何処から川に下りたのか、何橋を渡ったのかは、すっかり記憶に無いのだが、澄んだ川の流れ、瞳に優しい新緑、柔らかい空気にすっかり癒されて、満たされた気持ちで帰途に着いた。


その後、五日市に引っ越してみて驚いたのは、大小様々な数多くの橋があり、そこから眺め見る光景は、一つとして同じでない絶景であること。四季折々の木々の様子、川の色彩、吹く風、香り…橋の上で感じる自然の姿は本当に素晴らしい。

私の一番のお気に入りは高尾橋。夫が亡くなって3か月が経った頃、涙ばかりの日々に、高尾橋に立ったことがある。「寂しいよ」と呟くと、温かい風にふわっと包まれた。きっと夫が降りてきて、肩を抱いてくれたに違いないと思った。幸せな体験だった。

藤原 景子:子育てを機に五日市に暮らし始めて10年。2020年2月に最愛の夫をがんで亡くすが、五日市の豊かな自然、暮らす人々の温かな心、滋味深い食べ物などに癒されながら、長男、次男、柴犬(オス)と共に暮らしている。


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