〜昔と変わらない、懐かしくほっとする場所〜36年続けてきた『駄菓子むらの』
檜原街道沿いにある『駄菓子むらの』。小さな店内に並んでいる駄菓子や玩具等は約100種類。子どもが自分の手で取りやすいような高さで商品が陳列されている。壁には玩具や、くじ引きの景品が吊り下げてある。
店主の村野さんはご主人を亡くした後、子ども相手が良いなとの思いで自宅の一室で駄菓子屋を始めた。始めた数年は別の仕事をしながら勤めが終わった後や、仕事がない日に開けてお店を続けてきた。息子さんが小学校1年生から店番を手伝ってくれたそうだ。外で働きながらお店を続けてきたのは「色々な人と話すのは楽しいし、お客さんに長くやってほしいと言われるから」と村野さんは話す。
60歳をすぎてからは、駄菓子屋メインで早朝からお店を開けている。商品の値段はすべて覚えていて、会計も暗算でするのでボケ防止になっていると言う。お客さんは地域の子どもが多いのですかと聞くと、子どもの時に来ていた子が大人になって、自分の子どもを連れて来たり、懐かしがって寄っていく大人が多いそうだ。
また36年駄菓子屋を営んできて、昔と今の変化を尋ねると、駄菓子をあまり知らない世代が増えてきた、お金の価値観も変わってきていると村野さんは話す。今も八王子の卸売場に仕入れに行っているが、物価高の影響で駄菓子の価格も上がっている。開店当初から変わらない値段だった物も影響を受けている。
村野さんはお客さんが来ない時間は時代小説を読んだり、頂いた毛糸で手袋や帽子を編んだりしている。人が集まりお茶をしながら、お喋りをして過ごす時もある。最後に「主人を亡くしてから、地域の人にお世話になり、守られながら続けている。朝早く来てくれる常連のお客さんがいたので、今も早く開けている。夜は街道沿いで明るい場所があれば、防犯になるかと思い開けている」と地域への想いを話してくれた。