秋川渓谷に出会い、尊ぶ静謐な空間から織りなされる世界観 デザイナー 高橋敏彦さん
あきる野の匠の一人であるデザインの匠、高橋敏彦さんは味のある筆文字と墨絵で構成されたデザインで、あきる野市をPRするポスターや公共施設・店舗名をはじめ、都内の店舗や建築のデザイン設計を数多く手掛けてきた。1987年には旧五日市町の観光ポスターで4枚組の四季「秋川渓谷」が日本観光協会ポスターコンクールで金賞を受賞した。
高橋さんは札幌のご出身。書は中学1年生の時からはじめ担任だった小川昭三先生に見てもらい、励まされながら続けていた。のちに英国、米国他多くの国々の美術館、博物館で作品が収蔵されている、小川東州という世界的な書家になられた方だった事を知って驚き、幸運だったと感じた。
高橋さんが高校生の時から憧れ、レイアウトや色彩を真似ていたという日本を代表するデザイナーの田中一光氏。高校卒業後は田中氏が講師を勤める、専門学校桑沢デザイン研究所に入学し、直接指導・薫陶を受けたという。卒業後は音響・映像・建築などデザインに関わる学びを続け、平面から立体のデザインと、総合的なデザインに取り組んだ。
代々木を拠点に数年仕事をした後、50年ほど前に自然の中で静かに仕事が出来る環境を1年間探した。秋川渓谷に出会い、あきる野市に来たから表現できたことがあるという。
普段から様々な本や画集を読んでいる高橋さんはスマートフォンを持たず、車の運転もしない。文明の利器を利用しないのはなぜですかと尋ねると「地球は交通機関だけでなく、インターネットやソーシャルメディアによってすごく小さくなっている。間に合わせでない自分の仕事をしようとしたら、それだけで時間はかかる。そして、ゆっくり進めることで見えてくるものがあるはず」そう高橋さんは言う。
自身のデザインについて「言葉や歌が絵を説明するためではなく、見る人が新たなイメージを自由に醸し出し、ふくらませてもらえたら良いことだ」と話す。ヨルイチのポスターも外部の人々を呼び込むだけのものではなく
市民を鼓舞するためのもの、希望の火を燃えたたせるものでもあるという。
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