寒波が生んだメデューサ
引きこもりの私は1月の夜をなめていた。
今日は17時から用事があり、
タートルネックの薄手のニットの下に
何年か着古しているヒートテック、
さらにはヒートテックの背中とお腹に
カイロを貼り付けていた。
アウターは母からプレゼントで頂いた
ちょっとモコモコしている
お気に入りのコートで気分はアゲ〜↑↑な
ハッピーコーデで家から出発し、
ニコニコで颯爽とチャリをぶっぱなした。
目的地に着き、1時間後には用事を済ませ
「あ、薬局でコスメでも見て帰ろうかしら」
なんて思いながら外へ出ると、
尋常ではない冷たさの風が
ビュービューに吹いていた。
雪が降っていないのが不思議なくらいの寒さだ。
「これは、命が危ない」
私は脳の指令に従って真っ直ぐ家に帰る事にした。
かじかむ手でチャリのハンドルを持つが
寒さに耐えられない。
私は、学生時代に誰もが挑戦するチャリの
両手離し運転ができないタイプの人間なので
ポケットに手も入れられない。
そもそもそんな事危ないからしちゃいけない。
そんな時、リュックの中に実家から拝借した
手袋が入っている事を思い出した!
助かった!ハンドル握れる!
リュックから出てきたのは、
何年も使い古した100円ショップの手袋だった。
ヒートテックにしろ手袋にしろ、
新しい物を!!!買え!!!!!!!
私はそう思った。
タートルネックを着ているとはいえ
首周りがキンキンに冷える。
身体は冷やしちゃいけないって
最近よく見るYouTuberのゆうこすが言ってたのに、
いま私は冷えに冷えきって震えている。
助けて、ゆうこす、、、
そんな時、
「あ!結んでる髪の毛をほどけば少しは温かくなるかも!」
そう思った私はシャンプーのCM並に
軽やかに艶やかな髪を下ろした。
すると、ビューーービューーーに吹いている風によって
全ての髪の毛が視界を暴れ回った。
髪を下ろしても、私がメデューサになるだけで
全然暖かくなかった。
寒さに震えながらチャリをこぎ、私は考えた。
私が20代前半のぴちぴちピッチな頃は、
ただ軽いだけで大した防寒にもならない
薄手のチェスターコートしか持っていなかったのに、
どのようにこの寒さを乗り越えていたのだろうか。
若さというものは、寒さをも跳ね除けるのか。
歳を重ねて寒さに弱くなっているのだろうか。
そうこうしてるうちに、
メデューサは無事に家に辿り着いた。
この記事はストーブの前で綴っている。
ストーブは暖かい、涙が出そうだ。
しかし私は今、屋外と屋内の気温差により
ギャンギャンに頭が痛い。
引きこもりは引きこもりらしく、
大人しく家にいようと思った。
ストーブにあたるネコ。
そういえば、あけましておめでとうございます。
では、また。