はじまりは4年前、、、 |いつだれkitchen物語 #02
いつだれkitchen誕生物語①
いつだれkitchen(略して「いつだれ」)note、第2話です。
今日は、いつだれが出来るはるか前の、ほんとにホントの始まりの話をしたいと思います。
いつだれキッチンは、昨年、2019年の4月にオープンしました。
今日の話は2016年4月頃のことなので、オープンから3年前、今から4年前のことになります。
トップの写真は、2016年のもの。(スマホの中、探しまくったぜ)
右手前、白いシャツの女性が「中崎」。いつだれの主宰です。
左奥、緑の服が「吉田」。カッコよく言うと、いつだれのフロアマネジャーw
二人の男性も、「いつだれ」の協力者のお二人。
紹介が遅れました、この文章を書いてる私は、イガリと申します。
今回は、後に主宰となる中崎、吉田、そして、イガリの3人が出会うところから始まります。
困った、こまった、プンプン会議
イガリは、福島県いわき市役所の公務員。2016年に、キャリア初の「福祉」の部署に異動となります。右も左も分からないので、右往左往は当たり前、前にも後ろにも、縦にも横にも、とにかく、いろんな所に顔を出しました。そんな中、一つの会議(?)のようなものに、着任早々の4月か5月にたまたま参加することになりました。
会議と言っても、世のビジネスパーソンが思い描くような会議ではなくて、ある一人の女性について話し合う(フクシ的)会議。
その女性、当時、70歳。
とある施設に暮らしていましたが、彼女の問題行動に、
施設の方も、役所も、近所の方も、福祉関係者も、みんな困っていて、どうしたらいいんだろっていう会議でした。
福祉デビューのイガリは、何の経験も、知見も、モノサシも持ち合わせていないので、ただただ、耳を傾けるばかり。
彼女は、軽度の知的障がいがあるとのこと。でも、会話は至って、スムーズ。
体もすこぶる良好。
問題は、善悪の判断が難しいということと、人のもの、他人の畑のもの、お店のものを、無断で取ってしまうこと。
コンビニやスーパーで取ってはパトカーが出動し、ご近所の畑から取っては区長さんにクレームが行く始末。で、その全てが、彼女が入所している施設に行くもんだから、施設の人も困った、困ったという話。
吉田は、当時、「包括支援センター」という高齢者のよろず相談窓口のリーダー。
イガリは、福祉ちんぷんかんぷんの遅れてきたルーキー。
施設の人は困った、
地域の人は(ぷんぷん)怒った。
みたいな(雰囲気悪めな)座組みの中で、
「すいません、遅れましたー」
と、一人の女性が入ってきました。
そう、中崎です。
当時から、障がいの事業所と介護の事業所を運営していて、渦中の彼女も、中崎の運営する事業所に週一回通っていたので、中崎も、彼女を取り巻く関係者の一人として会議に呼ばれていたというわけ。
とはいえ、会議の重々しさは変わらず、「もう、彼女にはこの地域から出て行ってもらおう」なんて発言まで飛び出す始末。施設側も、行政も、打開策や代替案を提示することもできずに、
「うわー、福祉デビューしたてで、いきなり重めのケースに出会っちゃったー。これ、どうなっちゃうんだろ」と思っていました。
「それって、何曜日ですか?」
誰もが「もう、しょうがないか」と思っていた時、
「あの〜、彼女が何かを取る時って、何曜日が多いですか?」と、突然、わけの分からない呪文のような声が飛んできました。中崎です。
全員、きょとんです。
「曜日なんてねぇだろ、取りたいと思った時に、取っちゃうんじゃないの」と思いましたし、多分、他の人も同じように思ってたはずです。
「私の事業所に、毎週木曜来てるんですが、来る時に、いつも何か持ってくるんです。で、うちのスタッフに渡してるんです。」
えっ?”!
「多分、彼女は、うちの事業所に”手ぶら”で来るのは悪い、何かを持って行きたいと思ってるんじゃないでしょうか。でも、お金があるわけじゃない。だから、取ってしまってるのかもしれない。」
「彼女、自分のために、自分が飲んだり食べたりするために、取ってるんじゃないんだと思います」
えっ?!
その一言で、会議の雰囲気が、一気にガラッと変わりました。
一番怒ってた地元の方が、
「そういうことなら、話は全然違ってくるぞ。俺は、近所の人に、彼女はこういう思いで取ってるのかもしれないと伝えるよ。」と。
施設の代表も、
「我々も、木曜日は、彼女と一緒に朝、散歩するようにします。彼女が欲しいと思ったものがあったら、勝手に取らないように。」と。
文章で伝える力がないので表現しきれませんが、本当に、漫画やドラマのように、文字通り”ガラっ”と会議は180度変わり、ギスギスしていた参加者同士が、どう協力していって、彼女と彼女を取り巻く状況を支えていくかという、超いい感じの建設的な話し合いになったのです。
会議のあと、純粋に「スゲーな」と思い、中崎に挨拶しました。そこに、吉田も自然に加わり、三人でちょっと話すことに。
話の中で、
彼女は70歳。年齢的には”介護”の領域に該当。
でも、軽度の知的”障がい”。だけど、障がいの資格手帳は持っていない。
70歳を過ぎてから、”障がい”の手帳取得→サービス利用は、(当時)あまり前例がない。
とはいえ、体は元気で、何でも自分でできる。会話も問題なし。どこをどう見ても”介護”の必要はなし。
そう、彼女は、”障がい”と”介護”の制度のはざまにいたんです。
”あっ、そうなんだ、そういうことなんだ”で、おなかいっぱいですが、まだ話は終わりません。中崎が畳みかけます。
「でも、障がいとか介護の問題じゃないの。どちらかのサービスに彼女を押しつけたって、問題の解決にはならないし、彼女のハッピーにはつながらないと思うの。」
「彼女に必要なのは、どちらかのサービスに彼女を押し込めるんじゃなくて、誰かが彼女と一緒にいながら、彼女のできる仕事と彼女の居場所を作ることだと思うの」と。
すごく長くなりましたし、これが「いつだれ」と何の関係があるのと思われるかもしれませんが、今のいつだれを「せせらぎ」に例えると、今回は、その一番最初の「一滴」目のしずくのような話でした。ではまた。
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