『ホオジロザメ』|怖いイメージをもつものに、寄り添ってみよう|大人も楽しめるおすすめ絵本
小さい子どもに贈る本を選ぶとき、知らない世界に触れてほしいなという気持ちが湧いてくる。
だからいろんな国の本、いろんな文化的背景を持つ作者の本、古くから伝わる民話の本などはもちろん、図鑑だったり、職業にクローズアップした本だったり、広く検討するようにしている。
そんな中で出会った本の中から、今回は1冊紹介したい。
沼口麻子さんは東京都出身の「シャークジャーナリスト」。Twitterや紹介ページで、彼女の活動が紹介されている。
絵の関俊一さんは、さまざまな生き物をモチーフに描かれている画家。同様に、Twitterや紹介ページで活動を拝見することができる。
この絵本はタイトルの通り、ホオジロザメがテーマの絵本。ホオジロザメの捕食シーンから始まり、ホオジロザメの生態や、命の繋がりが丁寧に描かれている。
捕食シーンから始まることにより、ホオジロザメの恐ろしい姿が印象付けられるのだが、その後彼らの体の特徴や生活、子どもザメまで描かれることにより、気づけばホオジロザメに惹きつけられてしまうのだ。
映画や海のドキュメンタリー映像などで、何の前提もなく悪役に設定されることが多いホオジロザメだが、この絵本では捕食シーンも、子育ても、彼らの生態も知ることができるので、良いとか悪いとかそんなことを超越してホオジロザメに向き合うことができる。
自然の生き物の世界の真剣勝負具合、食うか食われるかとは何たるかを知ることができ、またホオジロザメの命の繋がりに、命の尊さや命を守る生き物の強さを感じることができる。
写真ではなく、絵で描かれることにより、あたたかみ、恐ろしさ、命のつながりの力強さをより感じられるような気がする。
何となく怖いというイメージを持っている動物の生活を通して、どんな命にも生きる輝きを持っている。それに何となく気づいてくれたら嬉しいな、そんなふうに思いながら、この絵本を贈るのだ。
絵本についての私のnote