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チップを期待したホテルスタッフが、ドアの前で待ち構えている|インド旅行2日目

インドにはチップ文化がある(?)ようだ。少なくとも観光客を相手にするインド人労働者は、チップがあるものとして働いている。つまり、隠すことなく要求してくる。

チップを渡すことはいいのだ。他の国でもチップを渡したことはあるし、その国の文化なのであればそれはそれだ。

だが、インドの、特にホテルスタッフのチップ要求度合いは驚くべきものがあった。

※あくまで私の体験である

まず、ホテルチェックイン時に、タクシーから降りてホテルへ入った私のスーツケースを問答無用で手に取り、ここで見ててあげるからチェックインしてていいよと言ってくる。

私はホテルスタッフであっても、その国への信頼度が高くない限り自分の荷物は誰にも触らせたくないので、内心気が気ではないのだが、返してくれないので仕方ない。

チラチラと目をやりながらチェックインを済ませると、そのホテルスタッフが私のスーツケースを別のスタッフに渡し、私に対して手を出しチップを要求してくる。

チップを渡すとナマステと言って手を合わせるものの、 流れ作業感が非常に強い。それはご愛嬌だし海外なので仕方ないが、問題は私のスーツケースである。部屋へ向かう私の後を先ほどのスーツケースを受け取ったスタッフがついてくる形だ。スーツケースを渡してほしいと言っても絶対に手から離さない。要はチップが欲しいのだ。

部屋へ着くと、先ほどのスタッフ同様手を出してチップを待っている。チップを渡すと意気揚々と帰っていく。

※参考まで、私が予約したホテルは時期にもよるだろうが10,000〜1,5000円くらいの宿泊費のもの

無理やり感があるものの、ホテルスタッフとして働くモチベーションはチップにあるのかなあと思いつつ、その日は疲れもあって早く寝た。

そして次の日、私はツアーがあったので朝5時には部屋を離れた。夜8時頃ホテルに戻り、シャワーを済ませ寝支度をしていた9時頃、ドアがノックされた。開けるとホテルスタッフだった。

「何か困っていることはないですか」と単語ベースの英語で聞いてくる。特にないしもう寝たいのでと伝えるも、明日の朝ごはんはどうするのかと聞いてくる。近所のカフェで食べると伝えると、おすすめのカフェを教えてくれた。

不自然な会話や、突然の来訪に戸惑いつつもありがとうと伝えると、なんと彼は手を出してチップを要求してきたのだ。正直笑ってしまった。なんと現金なことだろう。これはチップを渡さないと帰らないなと感じ、チップを渡しつつ、もう部屋には来ないで欲しいと伝え、ドアを閉めた。

私はその時確信した。

私はインドでは安心して暮らせない。

ホテルの部屋の中にいて、自分一人でのんびり時間を過ごしていても、きゅうにホテルスタッフが訪れてきて、こじつけでチップを要求される。

チップ自体は少額なのでものすごく辛いとかそう言うことではなく、気持ちが落ち着かないのだ。路上で物乞いに声をかけられることと、ホテルの部屋をノックされ、謎の会話からチップを要求されることでは、私の心理的負担はそんなに変わらない。

チップを諦めず、くらいついて取りに行こうとする姿勢はあっぱれだが、旅行者としてはたまったものではない。少なくとも私は、安心と安全を見出すことはできなかった。

そもそもチップは心遣いや丁寧なサービスに対しての対価である。

勝手に人のスーツケースを強い力で引っ張って持って行き、部屋まで持って行ったのだからよこせと言うものではないはずだ。お持ちしますか?という心遣いから発生するものであって欲しい。それは要求しすぎだろうか。

お持ちしますか?と言われればスーツケースを渡しただろうし、少なくとも気持ちよくチップを渡せたはずだ。

そして、部屋にふらっとやってきて、カフェについて教えてあげたからチップちょうだいという要求はあまりにも横暴すぎた。そしてインドのホテルスタッフはほぼ男性である。ホテルスタッフとはいえ男性が部屋をノックしてくることは、あまり心地いいものではない。

その日はもやもやとした気持ちのまま眠りにつき、明日も急にノックされるのだろうかという不安は消えなかった。


その翌日の滞在3日目、私は10日を予定していた旅程を諦め、帰国を決意することになる。

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