みんなで作るプレミアリーグ通信簿 〜サウサンプトン編〜
はじめに
Glindaです。#プレミアリーグ通信簿 サウサンプトン編を担当させて頂きます。Dan(小津 那)さん、お誘いいただきありがとうございます。
選手各個人の通信簿をつける前にチーム全体及び監督の評価を述べさせて頂きたいと思います。
昨シーズン途中から就任したハーゼンヒュットル監督2年目のシーズン。セインツにとって大きなターニングポイントとなったのは、第10節ホームレスターシティ戦、及びコロナ禍によるリーグ戦中断(第29節)です。
第10節レスターシティ戦は0-9。プレミアリーグのホーム最多失点の不名誉な記録を作ることとなってしまいました。セインツファンの方は見るのを控えましょう。検索すればレスター公式YouTubeで21分間の修業が出来ます。レスター戦を含めそれまでの戦績としては2勝2分6敗。勝ち点は6でした。
この試合以降、ハーゼンヒュットル監督はフォーメーション変更を決断しました。(正GKの変更・3バックから4バックへの変更)またチームの方針として守備的なチーム作りから脱却し、攻撃面に重きを置くチーム作りをしました。第5節シェフィールド戦以降8戦未勝利でしたが、この采配が功を奏し、第14節のワトフォード戦で10試合ぶりの勝ち点3を獲得。この試合以降コロナウイルスによるリーグ中断(29節)まで、6勝6敗1分。チェルシー、トッテナムにも勝利を収め、調子が良かっただけにリーグ中断というのは非常に残念でありました。
リーグ戦が中断した段階の29試合消化時点で勝ち点34。順位は14。リーグ戦再開後はさらに調子をあげます。破竹の勢いを見せ、9試合で5勝3分1敗。特にフォーメーションを変更したわけでもなければ、大きな戦力の補強をしたわけではありません。(カイル・ウォーカー・ピーターズがトッテナムから加入のみ)逆に吉田麻也(現サンプドリア)、セドリック(現アーセナル)が放出となり、戦力面でいえばダウンしたといえるでしょう。
しかしながら、このような結果を残せたことは監督・コーチ陣の手腕であります。
順位を3つ上げ11位で今シーズンを終えることとなりました。一時は降格も覚悟し、不名誉な記録を作ってしまった今シーズン、中位で終わることは上出来です。
結論として、チーム全体及び監督の評価はA
レスターシティ戦以降の戦術変更は大きなリスクがありましたが、見事にチームを立て直し、近年残留争いをするシーズンが多かったセインツを11位にしたことは評価できます。ですが、開幕戦から4バックでしたら、一桁順位、またEL出場権獲得も十分に狙うことは出来たと思います。
前置きが長くなり、申し訳ございません。選手の通信簿をつけていきましょう。
評価としては、他クラブの通信簿と同じです。
S チームの要としての活躍した選手
A 素晴らしい活躍をした選手
B 及第点の選手
C もっとできるはずの選手
D あまり振るわなかった選手
出場試合が少ない選手は評価していません。特に若手選手で出場機会が少ない選手、怪我での離脱が多かった選手はコメントだけ書いておきました。またシーズン途中に移籍した吉田麻也、セドリックに関しても評価の対象外です。
採点の基準としては出場機会数、結果、シーズン開始前の期待値との差です。また戦術面及びチーム方針の大幅な変更でスタメンを獲得した選手もいます。逆に言えば出場機会を奪われた選手もいます。その点も加味して読んでいただけると幸いです。
基本的に甘口採点、甘口講評です。若手にはさらに甘いです。
ではGKから始めていきましょう。
GK
アンガス・ガン
評価:C
今シーズンのプレミアリーグ出場数は10。2勝6敗2分、クリーンシート2回。若手に出場機会を与えるハーゼンヒュットル監督の方針のもと、第10節のレスターシティ戦までスターティングメンバーでしたが、ベテランのマッカーシーに明け渡しました。
GKを10試合だけで判断することはどうかと思いますが、戦績が悪い以上、彼だけのせいではないとは言え、厳しい評価をつけざるを得ません。GKという経験が最も求められるポジションにおいては、これからの活躍が大いに期待できる選手です。イングランド代表歴もあるので、クラブ、代表でも注目をしてもらいたい選手の一人です。
アレックス・マッカーシー
評価:A
レスター戦以降の正GK シーズン途中で正キーパーが変わることは決して良い傾向とは言えません。しかし、レスター戦以降、マッカーシーにとってはチャンスが巡ってきたといえます。そのチャンスを見事につかみました。特にリーグ戦再開後のマンチェスターシティ戦では神セーブを連発。ボール支配率26%対74%、シュート数は7対25で圧倒的に押されていた展開でしたが、前半16分のアダムスの虎の子の一点を守り切り、勝利をつかみ取りました。まさに守護神という名の活躍です。
特に、至近距離からのシュートに強いです。マッカーシーがいなければ、11位という結果は出なかったでしょう。来シーズンのスタメンは確約されているといっても過言ではありません。セーブ集があったので張っておきます。
DF
ヤニク・ヴェステルゴーア
評価:C
身長199センチのDFです。高さを活かして競り合いセットプレーには強いです。今シーズン、レスター戦以前はスタメンでしたが、4バックへの変更後、後述の2選手に明け渡し、バックアッパーとしてシーズンの大半を過ごすこととなります。原因としては遅さがあるでしょう。3バック時では裏を取られても、他の選手が追いつき、カバーリングが出来ますが、4バックでは出来ません。ですから、実力はありながらもスタメンにすることは難しいと監督は判断したと思われます。ベドナレクに変わりスタメンの機会を得た最終節シェフィールド・ユナイテッド戦でも、カウンターからビッグチャンスを与えてしまいました。結果としてマッカーシーのセーブが光り、失点とはならずに済みましたが、弱点を露呈した形となってしまいました。やはり4バックのフォーメーションではスタメンとしての起用は難しいと思われます。遅さを克服するか、フォーメーションの変更がない限り、来シーズンも厳しいシーズンになるのではないでしょうか。
ヤン・ベドナレク
評価:S
ロシアW杯グループリーグ3戦目の日本戦でゴールを決めた選手。日本が決められたゴールの中で一番影が薄いでしょう。
前監督ヒューズ時代には出場機会に恵まれていませんでしたが、昨年、ハーゼンヒュットル就任以降、出場機会を増やし3バック時も4バック時もスタメンを守っています。時折、とんでもないやらかしをします(特にロシアW杯ポーランド代表VSセネガル代表でのやらかしは絶句です。見たい人は検索してください)チーム状況が悪い中でもディフェンスリーダーとして、クラブでは安定感のある守備を見せています。インターセプトは特に強く、プレミアリーグ全選手で3位。(77回)今シーズンは34試合先発出場しフル稼働のシーズンであったといえます。フォーメーションの大幅な変更があり、CB陣の中で唯一ポジションを守り切った同選手には高い評価をつけたいと思います。何年後かに移籍しそうな選手No1です。
ジャック・スティーブンス
評価:A
スティーブンスとベドナレクが4バック変更後のディフェンスのファーストチョイスとなりました。もともとは第4DFでしたが、4バック変更時にスタメンに名を連ねています。彼の魅力は、高い精度のロングボールと、最終ラインからのドリブルにあります。ですから、ハーゼンヒュットル監督としては、ベドナレクがディフェンスリーダー、スティーブンスが攻撃への一歩目という組み合わせが最適解であると結論が出たようです。攻撃の起点として十分な役割を担っているといえるでしょう。来シーズンは開幕戦から一年通しての出場できる選手であると思います。
ヤン・ヴァレリー
評価:-
今シーズンは怪我に泣かされ11試合の出場止まり。第3節のアウェイ、ブライトン戦でのアンドネの悪質なファールにより、調子を落とし、ベンチ入りはするものの、昨年スタメンの座を奪ったセドリックにもう一度でとってかわられるという不運なシーズンを送ることとなりました。それでも11試合の出場ですから、来シーズンでの完全復活、また新加入であるカイルウォーカーピーターズとのハイレベルなスタメン争いを期待したいと思います。試合数が少ないので今回は評価なし。
ライアン・バートランド
評価:A
左サイドで躍動する、ベテランプレイヤー。開幕数試合はダンソにスタメンを譲っていましたが、それ以外はほぼフル出場。計算できる左サイドバックは彼しかいません。3バック時、4バック時でも与えられた役割を以上のこと出来たシーズンとなりました。ハードワーカーとしてサイドでの攻防、主にレドモンドが明けたスペースへのカバーリング、そしてクロス。どれをとっても非常に良いクオリティをシーズン通して、見せてくれていました。(9失点したレスターシティ戦では前半途中に一発退場のやらかしをしていますが)
来シーズンもこの調子でいってほしいところですが、懸念点が一つ。今年31歳になり、円熟の域に達したといえます。ですがやはり体力面や怪我のリスクも考えて、バックアッパーとなる選手が欲しいところです。
カイル・ウォーカー・ピータース
評価:-
トッテナムからローン移籍で冬にやってきました。トッテナムでスタメンを張ってた気がします。出場試合が少ないので今回は評価なし。移籍の噂として、現時点ではローンですが、ホイビュルクとのトレードという形で来シーズンの完全移籍が噂されています。(ホイビュルクは移籍決定)どうなるかは知りません。決定したらまた書きなおします。
ケヴィン・ダンソ
(オーストリア 21歳 背番号38)
今季ローン移籍で加入。公式ではDF。WikipediaではMF。ヤフーではFW。試合に出ている回数が少ないのでどこのポジションを得意としているかはわかりません。少なからずユーティリティプレイヤーであることは間違いないようです。アウグスブルクではいい活躍をしていたようですが、プレミアリーグでは特にこれといった活躍はしていません。来シーズンはブンデス2部のクラブにローンさせることが決定したようです。試合数が少ないので評価なし。
MF
オリオル・ロメウ
評価:C
中盤の守備職人。今シーズン前半戦の出場機会は多く、スタメンに名を連ねていましたが、レスター戦以降のフォーメーション変更により、スタメンから外れることが多くなりました。ですが、ホイビュルクの移籍報道が加熱したとき以降、変わってもう一度スタメンに復帰をしました。シーズン通して、守備的ミッドフィルダーでは3番手になります。チーム方針として攻撃に重きを置くようになるとロメウの良さは発揮する機会が減ります。中盤の選手として計算できる選手ではありながらも、出場機会は少なく、終盤の守備固め要因になりました。今シーズンは納得のいくシーズンではなかったといえるでしょう。
ジェームズ・ウォード・プラウズ
評価:S
サウサンプトンファンに彼に期待していない人はいないでしょう。サウサンプトンユース生え抜き、新キャプテンのプラウズは、今シーズン全試合フル出場。ハーゼンヒュットル監督の戦術に非常にマッチしています。プレミアリーグの公式スタッツでは、全選手の中で、総クロス数4位、インターセプト数13位。攻撃面、守備面でも大活躍であったといえます。また中盤でのプレスもさることながら、キーパーが弾いたボールを押し込むというゴールが多かった印象です。また精度の高いキックでチャンスを演出しています。特にペナルティアーク付近からの直接FKを得意としており、だいたい決まります。最近五年契約にサインし、2025年まで契約を延長。これからも移籍せずにレジェンドになってほしい選手です。最近公式からベストプレー集が出てましたので是非見てください。
ピエール・エメリク・ホイビュルク
評価:B
来シーズンからトッテナムへ移籍します。写真もトッテナム仕様です。シーズン途中から移籍する気満々でした。そのため終盤戦は干されています。新天地での活躍を期待したいと思います。
プレーでは評価A。若しくはそれ以上の評価をつけるべき選手です。しかしながら、シーズン途中での移籍論争はチーム全体としての士気に影響します。さらにゲームキャプテンです。そのため評価Bとさせて頂きました。
トッテナムサポーターの方々の為に、特徴を述べさせていただきます。攻守の切り替えがよく、アグレッシブなプレイヤーです。そのためプラウズとの相性も良く、お互いに足りないところを補完しあっている印象を受けます。ダブルボランチの一角としてプレーすることが考えられますので、コンビを組むとしたら、ダイアー、エンドンベレといったところでしょうか。(トッテナムのチーム事情はよく分からないですが、、、)サウサンプトン出身の選手は総じて優秀ですので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
あと、ミドルレンジからのシュートも多いです。(決まるとは言ってない。)
ステュアート・アームストロング
評価:A
この選手はレスターシティ戦以降のフォーメーションの変更で得をした選手です。それ以前はスタメン出場がなく、バックアッパーとしてのベンチを温める機会が多かったです。今シーズン初スタメンは11節マンチェスターシティ戦。それ以降は右サイドハーフとしてコンスタントにスタメン出場を続けています。今シーズンは5ゴール。印象的なゴールとしてはアウェイ、レスターシティ戦の一点目。0-9で負けた相手に対してのリベンジマッチです。ですから私自身印象に残っている試合であります。リンクを張っておきます。個人的にですが、他のMFに比べて、速さはないですが、シュートがうまい印象を受けます。ハーゼンヒュットル体制では長く使われる選手ではないでしょうか。
ムサ・ジェネポ
評価:B
一人で突破するテクニック、ミドルレンジからのシュートがあり、典型的なドリブラーといえます。それを象徴した試合があります。シェフィールド戦です。けがから復帰したジェネポは後半途中から出場、ディフェンスラインを一人で突破し、決勝ゴールとなる先制点を決めました。怪我が非常に多いので、計算しにくい選手ではあります。出場機会が少ないながら印象的な活躍をしましたので、評価Bをつけておきます。シェフィールド戦のリンクです。
ソフィアン・ブファル
評価:D | WORST |
ドリブル成功率欧州フットボールプレイヤーNo.1です。見ていて非常にエキサイティングな選手ですが、ハーゼンヒュットル監督の好みには合わず、終盤のジョーカーとしての起用が多いシーズンとなってしまいました。ステップアップを望むのであれば、利己的なプレーだけでなく、他選手とのチームプレーが必要となることでしょう。評価は低いですが、十分なポテンシャルは秘めていると見受けられます。(このように言われながらも、くすぶっている選手はどのリーグを見ても非常に多いですが、、、)スキル集見てると興奮する選手No1ですので、それのリンクを張っておきます。
ネイサン・レドモンド
評価:A
サウサンプトンの左サイドは長らくこの選手です。左サイドのブファル、ジェネポとのウィンガー枠争いに勝ち、4シーズン目となる今季もスタメンで31試合に出場。主力選手としてディフェンダーのバートランドと共に、強力な左サイドを形成しています。チーム内最多の4アシスト、特に大きな怪我もなく監督から求められた仕事をこなしています。勿論テクニック、シュートは一級品ですがチーム戦術のプレスに関しても、相手の攻撃の起点を止める回数は非常に多い印象です。
FW
ダニー・イングス
評価:S | MVP |
リバプールサポーターの方にとってはおなじみの選手かと思います。今シーズン、プレミアリーグ得点ランキング2位(22得点)。(一位はレスターのヴァーディ―、同率2位でアーセナルのオーバメヤン)これだけでS評価、MVPに値すると思います。ちなみに放出したリバプールの得点トップはサラーの19点。放出は間違いだったということを結果で証明しました。この選手の特徴として、高い得点力は勿論のこと、加えてプレッシングが挙げられます。ハーゼンヒュットル監督のハイプレスを基調とするチーム作りには、常に前線からプレスをかけることができる選手が必要となります。イングスはこの戦術に非常にマッチしました。
今シーズンのリンクを張っておきます。5分で、今シーズンの全ゴールを見れますので是非ご覧ください。
来シーズンも””セインツ””でゴールを量産してほしいです。
チェ・アダムス
評価:D
前半シーズン、特に1節から6節まで先発出場ながらもゴールなし。FWとしての役割を全く果たせず、期待外れな選手の一人でありました。ですが、リーグ戦再開後(29節以降)、突然才能を開花させました。リーグ戦再開後だけで4ゴール。特にマンチェスターシティ戦では、前に出ていたGKエデルソンの頭上を越えるセンターサークル付近からループシュート。ルーニー、ベッカムを思い起こさせるゴールでした。この覚醒がなかったら圧倒的にワーストプレイヤーです。下書きにもそう書いてました。この調子のままで来シーズンも突き進んでいき、ベストプレイヤーになってほしいです。ですがリーグ戦再開後までが酷いので評価はD
マンチェスターシティ戦のリンクです。
シェーン・ロング
評価:B
今季で6シーズンとなったベテランFW。2トップ採用時には絶好調のイングスとのペアとしてのシーズンとなりました。レスター優勝時の岡崎のような役割で、泥臭くまた相手の嫌なところをつくプレーが好印象です。しかしながら今シーズンは2得点のみ、出場機会が25試合、うちスタメンが15試合ですからもう少し得点力があれば評価は高かったと思います。
マイケル・オバフェミ
評価:A
今シーズンの先発出場は8試合、途中出場は12試合。3ゴール。20歳にして十分すぎる経験を積みました。来期の活躍が非常に期待できます。アウェイのチェルシー戦のゴールが印象的です。イングスがスタメンから外れ、アダムスとの2トップで挑みました。前半31分、右サイドでボールを受けそのまま反転、ドリブルでシュートコースを開け、ケパの守るゴールをこじ開けました。これが決勝点となり勝ち点3を獲得。リンク張っておきます。またマンチェスターユナイテッド戦でも後半ロスタイムに同点弾を決め、勝ち点1を獲得。シーズン開始前の期待値以上の活躍を見せてくれました。出場機会は少ないですが、若手激甘採点により評価A。
FW陣全体としては各選手が、特にレスターシティ戦以降、それぞれの役割を果たし、結果としてチーム総得点は51得点(20クラブ中9位)前半シーズンからは考えられない得点力です。攻撃に重心をシフトした成果が出ています。しかしながら、約半分の得点がイングスによるものですから、全体としての得点力の底上げ、イングス依存のからの脱却は必要かと思われます。勿論、イングスを手放すとヤバいです。フロントは頑張ってほしいです。
おわりに
以上が選手の通信簿となります。
youtubeのリンクを大量に張ってますが、公式チャンネルが有能すぎますので、頼らずにはいられませんでした。チャンネル登録よろしくお願いします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。興味を持った方々は、ハイライト、ゴール集からでもサウサンプトンFCの試合を見て頂ければ幸いです。
以上。
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次回はトッテナム編!!
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