みんなで作るプレミアリーグ通信簿 〜アストン・ヴィラ編~
はじめに
実は面識も無かったのですが、不思議なご縁があり、Dan.(小津 那)さんからお誘いを受けまして、アストンヴィラを担当することになりましたyutaです。
こういう記事を書いたのは初めてなので、駄文、拙文かと思いますので、温かい眼で呼んで頂けたら幸いです。
昨シーズンチャンピオンシップ5位から、プレーオフを突破し、シーズンオフには1億ポンドを超える大型補強で15~16シーズン以来3年振りのトップディビジョンに挑戦した我がらヴィラ。
内容はそんなヴィラの『プレミアリーグ通信簿』ということで各選手を独断と偏見をメインに、少しのデータも参考にして評価してみました。
評価段階は以下の通り
S これ以上ないほどの素晴らしい活躍をした選手
A 素晴らしい活躍をした選手
B+ ある程度及第点を上回る活躍を見せた選手
B 期待値通りの及第点の活躍をした選手
B- 活躍もあったが、期待値にはいくらか及ばず下回った選手
C 大きく期待を下回った活躍に甘んじた選手
D 残念なパフォーマンスに終始した選手
以上の7段階で評価、
元々の期待値をベースに評価を付けたので、チームの中では相対的に見たら活躍していても、期待値から見たらもう一つと思えば厳し目の評価を付け、元々の期待値が低かった場合は、そこまでの活躍でもある程度の評価を付けさせて貰いました。
その中でも良くも悪くも特に印象に残った選手には別にMVP、GREAT、GOOD、BAD、WORSTの評価をつけてあります。
なお、記事内のスタッツは、プレミアリーグ公式サイト、WhoScored.com、 transfermarktの3サイトを参考にさせてもらいました。
GK
トム・ヒートン
評価:B
バーンリーから800万ポンドと云われる移籍金で加入した実績充分のイングランド代表キーパー。
昨シーズン一昨シーズンと怪我もあり、出場機会が減っていたことや、キーパーと云うポジションでこそあるものの34歳とベテランであり、昨シーズン後半レギュラーだったスティアーで良いのでは?という気持ちもあって、結構個人的にはこの獲得には懐疑的だったが、全くの杞憂であった。
開幕戦で早速デビュー、キックの精度やビルドアップの技術はいかにもオールドスタイルの英国のキーパーと云う感じであるが、その圧倒的反応でのシュートストップで安定感の欠いたヴィラDF陣を後ろから支えた。
21節古巣バーンリー戦、終了間際に負傷すると、そのままシーズン終了。
怪我で欠場した12節ウルヴス戦を除く20試合に出場35失点、クリンシートは4つと数字だけ見るとあまり評価出来なそうではあるが、リーグワースト2位の失点数と崩壊気味のヴィラDF陣に足を引っ張られての数字であることは忘れられない。
評価をB+としたのは、本人には不可抗力とは云え怪我でシーズンの半分程度しか出場出来なかった面を考慮しての評価。
怪我無くシーズン通して出場出来ていれば間違いなくS無いしAの評価だったであろう。
エルヤン・ニーラン
評価:B
2018年夏からヴィラに所属するノルウェー代表キーパー。
昨シーズンは開幕時こそレギュラーだったものの、その後はポジションを失い、今シーズン開幕戦ではベンチ入りも出来ず、彼に与えられた立場は3rdキーパー。
ポジションが1つしかないキーパーという特殊なポジションで、3番手となれば、全くプレイする姿を見ないでシーズンを終えることも珍しくない。しかし、21節のバーンリー戦でヒートンがシーズン終了の大怪我を負うと、2番手キーパーであったスティアーも負傷離脱中だった為に出番が回ってくる、結果的に途中出場2試合を含めて、リーグ戦7試合ゴールマウスを守った。
中でも10年振りのEFLカップ決勝進出に貢献したプレイは無視できない。準決勝レスター戦セカンドレグでは、シュート数20本を超えるレスターの猛攻を浴びるも、ファインセーブの連発でチームを決勝に導いた。
シーズン通して見ると、安定感の欠ける危なっかしいプレイも目につき、ハッキリ言えばプレミアリーグのレベルに達していないキーパーであるが、3番手キーパーにそこまでのプレイを求めるのは酷だろう。3rdキーパーとしては悪くない活躍だと判断してB評価とした。
ペペ・レイナ
評価:A | GREAT |
守護神のヒートン、控えキーパーのスティアーが負傷という緊急事態を受けて、冬にACミランからレンタル移籍で獲得した、説明不要の元スペイン代表の名手レイナ。
前所属のミランでは控えの立場だったので試合勘の不安はあったものの、加入直後の23節ブライトン戦で早速デビュー、0-4で敗れた29節レスター戦では、飛び出しの判断を誤り、バーンズに先制点を許したシーンなんかは試合勘の欠如からのミスだったが、セービングは勿論、ヒートンやニーランには圧倒的に欠如していた錆びない足下の技術の高さを見せつけ、今まで見ていたキーパーからのビルドアップとはなんだったのだ...と教えてくれる衰えないパフォーマンスを披露した。
全体を通して見ればリーグ戦12試合出場20失点クリンシートは2つ、数字だけだとイマイチに見えなくもないが、リーグワースト2位の失点数のDF陣での数字であり、出場試合ごとの失点数は1.66失点で、レイナ以外の試合ごとの数字は1.74失点と誤差の範囲ではあるものの失点数を減らした。
シーズン途中の難しいタイミングでの加入ながら、終盤の大逆転残留はレイナの力無しではあり得なかっただろう、文句なしのA評価だ。
DF
フレデリック・ギルベール
評価:B+
今夏カーンから加入したフランス人右サイドバック(移籍自体は昨冬に決まるも半年はヴィラからのローンの形でカーンに残留)
開幕戦こそスタメンの座をエルモハマディに譲るも、3節のエバートン戦で初メンバー入りしスタメンでデビュー、今シーズンのリーグ初勝利に貢献すると右サイドバックのレギュラーに定着した。
終盤はコンサを右サイドバックに起用したこともあり欠場することもあったが、リーグ戦で25試合出場スタメン22試合2アシストを記録した。
ギルベールの特徴はまずなんと云ってもその運動量、労を惜しまない献身的な上下動で報われなくても走り切る姿は、見ていて応援したくなるプレイスタイルだ。
クロスの精度はお世辞にも高いとは言えないが、献身さでお釣りが来る。
スタッツを見るとタックル数74回はチームトップであり、タックル数1試合平均3回というのはプレミア全体でも7位、インターセプト数49回はチーム2位で、1試合平均だとリーグ12位と守備面で大きな活躍を見せた。
その武闘派なプレイスタイルもあり、イエローカードが7枚と出場試合数の割りには多めで、たまに怖いシーンがあるのは欠点か。
終盤若干信頼度が落ちたのか起用されなかった点や、もう少し良いクロスを上げれればなという面から少し評価を落としてB+とした。
アーメド・エルモハマディ
評価:C
プレミアでの実績も充分なエジプト代表の右サイドバック。
ヴィラに所属して3シーズン目であり、昨シーズンは右サイドバックのレギュラーとしてチームの昇格に貢献したが、今シーズンはあまり評価出来ないシーズンだった。
開幕戦こそスタメンで出場するも、3節からギルベールにポジションを明け渡すと、今シーズンはバックアッパーとしての出場がメインとなり、リーグ戦18試合出場、スタメン11試合、途中出場7試合の出場に留まった。
クロスの精度の高さを中心に攻撃面に関して見ればギルベールよりも高い能力を有してることは間違いないが、押し込まれる展開の少なくない今シーズンのヴィラでは彼の攻撃力の高さよりも、守備面の不味さの方が目立つシーズンだった。
そんな中でも終盤の31節ニューカッスル戦では途中出場すると、コーナーキックから貴重な同点ゴールとなるヘディングを決め、結果的に残留に大きく貢献するゴールとなった。
ただ総合して見るとあまり高い評価は出来ないかなという印象でC評価とした。
マット・ターゲット
評価:A | GOOD |
サウサンプトンから今シーズン加入した元年代別イングランド代表左サイドバック。
EFLカップのクルー・アレクサンドラ戦でスタメン出場し、ヴィラデビューを果たすも、その試合でハムストリングの負傷で離脱。
1か月後のEFLカップブライトン戦で復帰すると、直後の7節バーンリー戦で今季リーグ戦初出場すると、左サイドバックのレギュラーに定着しリーグ戦28試合に出場した。
ターゲットの持ち味はやはり攻撃力、数字こそ2アシストに留まったが、左足のキックの質は高精度、1列前のジャック・グリーリッシュとのコンビは共に何シーズンもプレイしてきたかのような息の合った連携で、シーズン中盤以降大きな武器となった。
守備はお世辞にも上手いとは言えないものの、インターセプト数はチームトップの56回を記録し、1試合平均のインターセプト数もリーグ10位の成績を残した。
見た目に似合わず、激しいタックルを厭わないプレイスタイルで、危険なタックルを定期的に見せるのがマイナス。
1番のハイライトは9節ブライトン戦、後半終了間際に左サイドから仕掛けたグリーリッシュからラストパスをエリア内で受けると左足一閃、逆転ゴールを決めチームを勝利に導いた。
左サイドバックは近年ヴィラのウィークポイントであり、守備の危なっかしさや、小さなケガで何度か離脱したマイナスもあるが、チームには不可欠なピースとして活躍を見せたのでA評価とした。
ニール・テイラー
評価:C
選手の入れ替わりが激しいチームの中で、4シーズン目を迎えた、古参ウェールズ代表左サイドバック。
開幕戦こそスタメンで出場するも、衰えからか不味い守備が目につき、その後も出場を続けるも相手チームから狙われる低調なパフォーマンスに終始した。
その後はターゲットにポジションを奪われ、バックアッパーとしてシーズン14試合(先発11試合)の出場に留まった。
今シーズンの守備のクオリティはプレミアレベルでは厳しいプレイであり、とてもじゃないが評価出来ないプレイに終始したのでC評価とした。
タイロン・ミングス
評価:B+
昨シーズン冬にボーンマスからレンタル移籍で加入すると、センターバックのレギュラーとしてプレミア昇格に貢献。今夏推定2000万ポンド超の移籍金で完全移籍加入した。
今シーズンは開幕時は4バッグの左センターバッグ、中盤以降3バッグにシステムを変更してからは3バッグの真ん中として不動のレギュラーとしてプレイ。
負傷離脱した17節からの4試合と、出場停止だったスパーズ戦を除くリーグ戦33試合にスタメン出場した。
活躍はスタッツにも現れており、ブロック数48はリーグトップ、クリア数189はリーグ3位の記録(裏を返せば押し込まれる展開が多い証拠とも言えそうだが...)。
ミングスが欠場した5試合は1勝4敗、11失点を喫してしまったところからも、彼の存在の大きさが分かるだろう。
イングランド代表にも召集され、2試合出場するなど、大きな飛躍を遂げたシーズンだった。
ここまで読むと、なぜB+評価に甘んじたのか不思議に思われるだろう。
DFの中心としてチーム残留に導いたのは間違いないが、リーグワースト2位の失点数を記録した点は見過ごせない。
元々サイドバックの選手だったこともあり、攻め上がることを好み、そのプレイから大きなピンチを迎えたシーンも少なくなく、14節ユナイテッド戦ではセーフティにクリアしても良さそうな場面で、無理に繋いだ結果ピンチを迎え、そこで与えたコーナーから失点。
集中力の欠如からか、8節ノリッジ戦では中途半端なバックパスで失点、終盤はかなり減ったが、どうしようもないミスで失点したシーンもDFとしては頂けない。
期待値が高いからこそ、この程度の活躍で高評価を与えたくなく、もっと出来るだろうという気持ちを込めてこの評価とした。
ビョルン・エンゲルス
評価:C
フランスのスタッド・ランスから今期新加入したベルギー人センターバック。
開幕戦で先発出場すると、その後もミングスの相方として11節まで先発出場を果たし、序盤は出場機会を大きく得るも、負傷もあり徐々に出場機会を減らす。
ミングスの出場停止により26節トッテナム戦で18節サウサンプトン戦以来の先発出場を果たすと、高い集中力と気合の入ったプレイを披露、53分にはコーナーキックから同点ゴールを決めスタメン抜擢に応えたかと思われたが、後半終了間際に何でもないパスをトラップミスするとソンフンミンに奪われ決勝点を献上してしまう痛恨のミス。
28節レスター戦に出場した以降は負傷もありベンチ入りの機会すら訪れぬままシーズン終了となった。
193センチと長身であるが、そこまで競り合いが強いという訳でもなく、それでいて足下も特別巧いという程でもないが下手ではない、良く云えば万能型、悪く言うと器用貧乏のような選手、個人的には出場した時のパフォーマンスはそこまで悪い印象も無いのだが、出場試合での平均獲得勝ち点は0.65でミングスが0.97なのと比較すると著しく低く、10節から出場した試合8連敗でシーズン終了という不名誉な記録も残してしまった。
決して能力は低くないと思うので、来シーズンは名誉挽回する活躍を見せて欲しいが、終盤のディーンスミスからの信頼度の低さを見るとそれもあまり期待出来なそうだ。
エズリ・コンサ
評価:A
ディーン・スミス監督の古巣ブレントフォードから推定1200万ポンドの移籍金で今夏加入した年代別イングランド代表センターバック。
開幕戦はベンチスタートで、EFLカップのクルー戦でヴィラデビュー。序盤はベンチを温める機会が多く、8節ノリッジ戦で途中出場を果たしプレミアデビュー。エンゲルスの負傷で12節ウルヴス戦で先発の機会が訪れると、その後はエンゲルス復帰後もレギュラーを死守。
シーズン終盤は右サイドバックを務めるなど、リーグ戦25試合(24先発)出場した。
今シーズン一番印象的だったプレイは、24節ワトフォード戦だろう。
1対1で迎えた後半アディショナルタイム、自陣からのFKをレイナがロングボールを入れると、ホースが競り、こぼれ球を拾ったミングスから流れてきたボールを右足で流し込んだ逆転ゴールのシーン(手前のミングスに当たった為、公式記録はミングスのゴール)
183センチとプレミアのセンターバックとしては小柄な部類であり、競り合いの強さには欠点があるも、ある程度の器用さとスピードを兼ね備えた現代的なDFで、期待を上回る活躍を見せてくれたのでA評価とした。22歳とまだ若くこれからの成長が楽しみだ。
コートニー・ホース
評価:B
昨シーズンの冬にウルヴスからレンタルで加入し、今期から完全移籍で所属する長身センターバック。
開幕から暫くはベンチ外が続き、序列はセンターバック4,5番手であり、彼の出番が訪れたのはミングスが負傷中の17節シェフィールドU戦で先発出場、これが彼自身のプレミアリーグ初出場でもあった。
21節から3バックを採用したこともあり、その試合から34節まで29節のレスター戦以外スタメンで起用され、リーグ戦18試合出場した。
彼の特徴は191センチの長身を生かした空中戦の強さであり、空中戦勝利数100回はチームトップ。
1試合平均の空中戦勝利数5.6回はリーグ4位(10試合以上出場した選手)の好成績を残した。
しかし、空中戦こそ強さを誇るも、足下の技術の低さは致命的であり、見ているとかなり危なっかしいプレイが目立つのは大きなマイナスだ。
シーズン中盤以降ディーン・スミスから重宝されたものの、危険なプレイが多く、失点が止まらなかったチームを建て直すとまでは行かず、バックアッパーだったことも加味すれば及第点のB評価が妥当なところだろう。
MF
ドウグラス・ルイス
評価:A | GOOD |
今夏マンチェスターCから加入した。ブラジル年代別代表の主力であり、加入直前に行われたトゥーロン国際大会の優勝にも貢献。
ネットの某有名サッカーツイッタラーからも「モノが違う」と言わしめた逸材であり、大きな期待を背に加入した。
開幕戦途中出場で早速デビューすると、翌2節ボーンマス戦には中盤の底でスタメンで起用された。
序盤はベンチスタートの試合もあったが、8節以降は全試合に出場し、36試合(28先発)出場した。
なかなか評価の難しい選手であり、開幕当初は技術こそあるも軽いプレイが目立ち、2節ボーンマス戦では自陣ゴール前で不用意なスルーから失点、他の試合でも、カウンターで交わされたら数的不利な場面で飛び込んで交わされるなど、なぜこんなに重宝されるのか不思議な出来であり、たまに出るミドルシュートくらいしか期待出来ない選手だった。
シーズンが進むに連れてプレミアの水に慣れ、成長すると、力強さが身に付き徐々に頼もしい選手へと成長、中断明け以降は完全な中心選手となり、ラスト4試合の大逆転残留に大きく貢献したことは疑いの余地は無い。
数字的には3ゴール2アシストを記録、3ゴールの内2ゴールはミドルシュートであり、ミドルシュートは彼の大きな武器だ。ポジション柄、仕方ない面もあるがイエローカード8枚はグリーリッシュと並びチーム最多、守備面は成長したとは云っても、改善の必要がまだまだありそうだ。
それでも開幕当初のパフォーマンスからの大きな成長、終盤のチームへの貢献を評価して、A評価は文句は文句ないだろう。
マーヴェラス・ナカンバ
評価:B-
開幕直前にベルギーのクラブ・ブルッヘから加入したジンバブエ代表ボランチ
EFLカップクルー戦でデビュー、リーグ戦は5節ウェストハム戦でスタメン出場してプレミア初出場を記録
その後もスタメンで出場する機会が続くも、シーズン終盤はベンチスタートが増え、シーズン29試合(先発19試合)出場した。
タックル数55回はチーム2位、インターセプト数39回はチーム3位とスタッツに表れているように守備に特化したボランチ。
178センチという決して大柄ではないサイズだが、初挑戦の屈強なプレミアの選手にも当たり負けしない力強さを見せつけた。
しかし29試合出場しなが得点アシスト共に0というかなり寂しい数字を残したことから分かるように、攻撃面での貢献度は限りなく0に近く、フリーでシュートを打っても明後日の方向に行くし、パスも簡単なパスしか基本選択しない。
総合的に見た時に、攻撃面での貢献度の低さ、肝心な終盤はベンチスタートが多かった点も加味し、少し物足りなく感じたのでB-という評価にした。
コーナー・フーリハン
評価:A | GOOD |
加入4シーズン目を迎えた、アイルランド代表ミッドフィルダー
Hourihaneという名前の発音が難しいことでも話題になり、本人曰く「ホウラハン」らしいが、日本のヴィラファンの間でもいまだにカタカナ表記に揺らぎがあり、ここではAVFC JAPANのフーリハン表記で統一する。
イングランドの下部リーグを中心に活躍してきた苦労人は、開幕戦こそスタメンで出場してプレミアデビューを果たすも、その後は新加入のルイスやナカンバをディーン・スミスが優先的に起用した為、序盤はベンチスタートの機会も少なくなかった。そんな中でも出場した試合では活躍を見せ、リーグ戦27試合(18先発)出場、チーム2位の5アシストを記録した。
持ち味はなんと云ってもその精度抜群の左足、彼が居ると居ないとではセットプレイの期待度が天と地ほどの差があり、その左足に助けられた場面は1度や2度ではない
そんな中でも珠玉の活躍を見せたのが、13節ホームヴィラパークで行われたニューカッスル戦、前半32分エリアギリギリ外の位置でFKを獲得すると、壁の外から巻いてきた完璧なシュートで先制、更に直後の36分にはエリア左からのFKのチャンスで、キーパーとDFの間に絶妙はクロスでエルガジの追加点をアシスト、フーリハンの活躍のみで勝ち点3を獲得した試合でした。
若干出場試合数が少ないのを考えて、もう少し評価を下げようかとも思ったが、それ以上に出場試合での活躍を評価してA評価とした。
ジョン・マッギン
評価:B-
昨シーズンのチーム年間MVPを獲得した、スコットランド代表のマッギン
初挑戦となるプレミアリーグでも開幕戦で早速強豪トッテナム相手に先制点を決める強烈なインパクトを残すと、6節のアーセナル戦でも先制点を決めるなど、開幕7試合で3ゴールとその能力はプレミアでも間違いなく通用することを証明しました。
開幕から17試合スタメンフル出場を続けるも、18節サウサンプトン戦で足首を負傷して離脱。
中断明けのシェフィールドU戦で復帰し、シーズン28試合(27先発)出場、3ゴール3アシストを記録した。
左足のキックは高精度でありながらパワーも抜群、運動量も豊富で中盤からの突破や二列目からゴール前に飛び出す形でチャンスも多く作り出した。
守備での貢献度も高く、178センチというサイズながらタックル数53回はチーム3位、タックル成功率は66%で、タックル数チームトップのギルベールが58%、チーム2位のナカンバが51%という数字と比較しても高い数字ということが分かるだろう。
このように能力の高さはピカイチで疑いようはないのだが、B-という評価を付けたのはケガ明けからのパフォーマンスの低さだ。
復帰直後は明らかにオーバーウェイトであり、元々のキレの良さを知っているだけに、パフォーマンス酷さが目立った。終盤のラスト4試合はフル出場したものの、彼の活躍で2勝2分けの成績を残したというよりは、チームメイトに助けられたという印象が強く、怪我は不可抗力とは云えシーズン前半のパフォーマンスとの落差が大き過ぎたのでこの評価とした。
ダニー・ドリンクウォーター
評価:D | WORST |
ミラクル・レスターでの活躍で知られるドリンクウォーターは、冬の移籍でチェルシーから期限付き移籍で加入
ほぼ半年まともに試合に出ていなかったこともあり、試合勘の心配もあったが、加入直後の22節マンチェスターC戦で早くもスタメン起用されると、試合勘を取り戻させようと思ったのか3試合連続でスタメン出場を果たし、1試合の欠場を挟み26節トッテナム戦でもスタメンで出場するも、それが今シーズンラストの出場機会となった。
デビュー戦となったシティ戦ではボール奪取に関しては少し「おっ!」と思うプレイもあったにはあったが、エリア内で交わされて先制点を献上したり、エリア内でトラップした隙にボールを奪われ追加点を与えるなど散々なパフォーマンスだった。
極めつけには、チーム練習でホタに頭突きをかますトラブルまで起こす始末、生粋の問題児っぷりをだけが記憶に残るシーズンとなった。
今シーズンのワースト補強なのは勿論、ここ数年で見てもワースト間違いなしの補強だろう。
ジャック・グリーリッシュ
評価:S | MVP |
近年毎シーズン引き抜きの噂がありながらも、クラブに残り続けた我らが主将ジャック・グリーリッシュ
某人気サッカー好きアイドル(メッセ取ってます)から推し選手1位に選ばれるという意外な形でも名前が世間に知れ渡った。
今シーズンも開幕からスタメン出場を続け、ふくらはぎの負傷で途中交代した10節マンチェスターC戦と、その負傷で離脱した2試合を除く、リーグ戦すべてにスタメンフル出場を果たした。
36試合出場、8ゴール6アシストは共にチームトップの数字だ。
開幕当初は4-3-3の中盤のポジションでの出場が多く、そのポジションではボールを持ち過ぎるがあまり逆に奪われてピンチを迎えるシーンも少なくなく、開幕戦ではその形からケインに決勝点を奪われてしまうなど、決して高パフォーマンスと言える出来では無かった。
シーズン途中から1列前の左ウィングで起用されると、そこから一気に持ち味を爆発させる活躍を見せつけた。
被ファウル数の多さがリーグトップなのは有名で、1試合辺りの被ファウル数4.6回というの、2位のクリスタルパレスのザハが3.2回という数字から見ても圧倒的な数字というのがお分かり頂けるだろう。
今シーズンの8ゴールというのは2部時代を含めてもキャリアハイであり、どのゴールが今シーズンのハイライトかと云うのはとても難しく、単純なゴールの凄さで云えば、14節ユナイテッド戦の左サイドからのカットインからのゴール右隅を狙いすました、デヘアも見送るしか出来なかったゴールだろうか、共に負け試合ではあるが16節レスター戦、18節サウサンプトン戦のゴールも素晴らしいゴールだったので、ぜひ機会があれば見て頂きたい。
しかしこれだけ書いてきたが、一番のハイライトはやっぱり最終節ウェストハム戦のゴールだろう
残留を賭けた大一番での先制ゴール、あの勝負強さが今シーズンのグリーリッシュのベストプレイだ。
基本的に良いところばかり書いてきましたが、左ウィングに移るまでのシーズン前半はイマイチだったし、
中断明け直後は(何か中断中にあったのかな?)キレが悪くて、ボールを持ち過ぎる悪い面も出てて、最終節前まではシーズン通して見たらA評価にしようかと思ってたのですが、
チームを残留に導いたあのゴールで文句なしのS評価MVPとした。
アンワル・エル・ガジ
評価:B-
昨シーズン期限付きで加入し、今シーズンから完全移籍となった、オランダ代表歴を持つアタッカー。
シーズン通して主力として起用され、34試合(先発26試合)出場、4ゴール4アシストを記録した。
テクニックがあり、ドリブル技術は高く、そのプレイはプレミアでもある程度通用し、4ゴールはチーム4位、4アシストはチーム3位と云う成績を残したが、終盤エバートン戦での詰めるだけという決定機を外したシーンに代表されるよに、決定機でのミス7回はチームワーストであり、もっと決定力はあれば...と思うシーンはかなり多く散見された。
王様体質なところがあるので、守備をサボり気味なのが、かなり大きなマイナスであることも見過ごせなく、彼の守備のサボりから失点したシーンというのは少なくない。
攻撃でのプラスよりも、守備でのマイナスの方が大きく感じ、スター選手でも守備にハードワークが求められる昨今のサッカーにおいて、彼の今年のプレイは大きくは評価出来ない、この評価が妥当だろう。
トレゼゲ
評価:A
容姿が元フランス代表トレゼゲに似ているということから、トレゼゲというニックネームを持つ、今夏新加入したエジプト代表。
開幕戦でスタメン出場すると、その後もシーズン通して一定以上試合に出場を続けて、リーグ戦34試合(先発20試合)出場、6ゴール1アシストの記録を残した。
シーズン序盤は消極的なプレイが目立ち、トラップミスなんかも結構見受けられ、イマイチ期待外れかなと思ったのですが、エル・ガジと違うのは守備のハードワーク出来るという点。
上手い下手はとりあえず置いといても、守備をサボらないという点だけで、安心して起用出来るのは大きい。
チーム2位の6ゴールを記録したように、謎に得点力が高いのも彼の持ち味だ。
その6ゴールが、いい場面でのゴールが多いというのも高く評価したい。
負けはしたものの王者リヴァプールを終盤まで追い詰めたプレミア初ゴールや、負けられないシーズン終盤の35節クリスタルパレス戦の2ゴール、37節アーセナル戦での決勝点。
EFLカップ準決勝レスター戦2ndレグ、チームを決勝に導く後半アディショナルでの決勝点と、ここぞでの勝負強さがを何度も見せてくれた。
ホタ
評価:C | BAD |
今夏ライバル、バーミンガムから加入したスペイン人選手。
左利きでカットインからパスを好むプレイスタイルで「チャンピオンシップのDシルバ」と呼ばれていたとか。
ブレントフォード時代にはディーン・スミスの下でプレイしていたこともあり、監督の秘蔵っ子として期待された。
開幕戦に途中出場でデビューすると、初スタメンとなった3節エバートン戦では決勝点となるゴールをアシストするなど、序盤はそこそこ活躍するシーンがあったものの、負傷で離脱した時期や、グリーリッシュが1列前でプレイすることになりウイングのポジション争いが激化したこともあり、リーグ戦10試合(先発4試合)の出場に留まった。
この記事を書くにあたって、序盤の試合を見直したら思ったより活躍しててちょっとビックリしたくらい、後半戦は影が薄く存在感がなく、最後の出場となった33節リヴァプール戦では、負けてる中での途中出場という立場ながら、イマイチ気迫を感じなプレイで、守備もチンタラ走ってたり、これで見切りをつけられたようにも思える出来だった。
FW
ウェズレイ
評価:C
クラブレコードの2300万ポンドだとか2500万ポンドだとか云われる移籍金でクラブ・ブルッヘから加入した、今夏補強の目玉のブラジル人ストライカー
開幕戦からCFとして先発起用されると、3節エバートン戦で決勝点となる初ゴールを記録。
5-1と大勝したノリッジ戦では、決めればハットトリックとなるPKのチャンスを外してしまうも2ゴール1アシストの活躍。
21節バーンリー戦ではゴールを決めるも、十字靭帯断裂の大怪我を負ってしまいシーズン終了。
リーグ戦21試合出場5ゴール1アシストの記録を残した。
191センチという恵まれた体格を持ち合わせるが、イマイチポストプレイが上手くないというのが欠点で、押し込まれる展開が多かったヴィラの中で前線でFWが身体を張って時間を作れるかどうかというのは大事な役割だと思うのだが、その面では全く活躍出来なかったのは大きなマイナスだ。
初挑戦のプレミアで、1人でロングボールを収めてくれというのも、なかなか大変な注文だとは思うが、ただ競り負けるだけでなく、負けると毎回あからさまに「ファウルだろ」みたいなリアクションをして、判定に不服な姿を見せるのも印象が悪く、ゴール以外の貢献度がかなり低い。
まだ23歳と若く、サマッタやデイヴィスらヴィラの他のFWと比べてもシュートシーンから感じる得点感覚みたいなものは才能を感じるので、来シーズン以降メンタル面で成長出来ればもっと活躍できるのではないだろうか。
今シーズンは期待度には応えられない出来だったのでC評価とした。
ムブワナ・サマッタ
評価:B
ウェズレイの大怪我を受け、シーズン途中ベルギーのヘンクから加入
プレミアリーグ初のタンザニア人プレイヤーであり、代表では主将を務め、母国では絶大な人気を誇るり、デビュー戦では母国のスターを見ようと多くの群衆がパブリックビューイングに集まった。
デビュー戦となった25節ボーンマス戦でゴールを決めると、その後も最終節まで全試合となる14試合(先発11試合)出場を果たした。
上背は183センチとそこまで長身でないながらも、加入直後はウェズレイと比較するとまずまずポストプレイが出来て、裏へ抜け出すスピードもあり、悪くない活躍をみせた。
しかし中断明け以降、コンディションが低下、競り合いでも完敗が続き、ゴールも結局デビュー戦以降ノーゴールとなり、シーズン終盤は不本意なプレイが続いた。
シーズン途中加入という難しい時期での加入であり、成績だけ見るとあまり評価は出来ないのだが、チーム状況も悪くそれに引っ張られた感も否めず、一応ウェズレイの代わりを勤め上げたということで、及第点のB評価とした。
ケイナン・デイヴィス
評価:B
下部組織出身、年代別イングランド代表歴もある若手フォワード。
ウェズレイが絶対的なレギュラーであり、シーズン前半は少ないプレイ時間の途中出場のみで、特にインパクトも残せず、さらに負傷もありシーズン中盤はベンチ外の時間も多くなった。
ターニングポイントとなったのは中断明けのシェフィールドU戦で、この試合で今季リーグ戦初スタメン起用されると、その後も一定以上の出場時間を与えられ、最終節まで全試合に出場した。
191センチの恵まれた体格を生かし、終盤は前線で身体を張るプレイで、逆転残留に貢献した。
惜しむべきは決定力の低さ、そこまで決定的な場面が多かった訳ではないが今シーズンはリーグ戦ノーゴールに終わり、課題を突き付けられた。
そして、ウェズレイの負傷で出番が得られそうなタイミングに、デイヴィス自身も負傷離脱していたと云う運の無さも、持ってない星に生まれた感が否めない。
それでもシーズン開幕前からディーン・スミス監督の評価は高く、ポテンシャルは疑いの余地がなく、ここ数シーズンはブレイクまでには至らなかったものの、終盤のプレイは来シーズン以降の飛躍を期待させるプレイだった、来シーズンは早い時期にプレミア初ゴールを期待したい。
あとがき
最初から最後まで読んでくださったかたも、すっ飛ばしてここまでたどり着いたかたも、この読みにくい自己満足の長文を呼んで頂きありがとうございました。
記事中にも書きましたが、例年以上に長いシーズンだったので、振り返ってみるとこんなこともあったのかと忘れて居たことも結構あって、いい機会になりました。
選手の評価を付けるという行為が、やってみると思った以上に難しく、ウェズレイとホタが同じCかよ??とか、それなのにサマッタとKDはBなのかよとか、ツッコミどころは多数あるかと思いますが、ツッコミながら楽しんで頂けたら幸いです。
3年振りのプレミアリーグは本当に大変なシーズンでしたが、1度チャンピオンシップを経験したことで、過去に残留争いをしていた時よりも、絶対にまたあの場には戻りたくないと、より一層プレミアに残留したいという気持ちが強く、残留の喜びは格別な物でした。
ディーン・スミスの采配が後手後手で遅いとか、文句を云いたいところはあるのですが、長くなりそうですし、残留できたので終わり良ければ総て良しとして、最後に残留決定後の歓喜のロッカールームの映像と共に終わりたいと思います。
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いかがだったでしょうか??
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次回はボーンマス編!!
お楽しみに🦁
ライター紹介
ゆーた(@foot_yuta)
打倒BIG4筆頭で強かったオニール時代のアストン・ヴィラに惚れ込むも、チャンピオンシップを追いかける羽目になってしまった悲しきヴィラファン。
昇格して、DAZNで毎試合贔屓の試合が観れるなんでもないことが幸せ。
僕の昼食がちょっとだけ華やかになります