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料理、摩訶不思議アドベンチャー

外出自粛×休職中という、このところの状況を受けて母は言った。

「小学校からさかのぼってあなた今一番家にいるわね…」

そこでふと考えた。料理をしてみようと。つるの恩返し、いや、ちるの恩返しだ。
下記に記すのはお母さまのご飯をありがたく食べ続けていたアラサーが、人生で初めて料理に手を染めた感想である。

これを数年後、目をつぶっても三食作れるようになった私に捧げます。

料理、摩訶不思議アドベンチャー

・立ってるだけで100点

初手に大変申し訳ないのだが、ただ台所に1時間以上立ち続けているのがつらい。足と肩への負担がすごい。しかも切ったり洗ったりフライパン持ったり鍋持ったり、本当にえらい。世界中の台所に立っているすべての生きとし生けるものたち、まず台所に立っているだけで100点である。

・味付けそれは不可逆

今まで仕事のミスはたくさんしてきた。でも仕事のミスは色々な形でリカバリーできた。しかもたまになかったこととして片付けられた。しかし、この鍋の中はどうだ。入れすぎた醬油は元に戻すことはできない。お酢もできない。ごま油もできない。肉じゃがをカレーにするなんてイリュージョン私にはできない。ただそこに味の濃い何かが確かに残るだけである。

昔『カルテット』というドラマがやっていて、とても好きだったのだけど、1話で高橋一生が言っていた。

「なんで唐揚げにレモンしたの?」「カリカリ度が減るよね」「レモンするってことはさ、不可逆(元の状態に戻せない)なんだよ」

・フライパンの上の真理

料理は不可逆であるという真理を覗いてしまった私に母は言った。
「味見しながらやればいいじゃない」
その通りだわ。しかしその後、味見しながら作るという行為がさらなる真理の扉を開いてしまう。
―—フライパンの上の出来立てが一番おいしいじゃん。
お皿に盛ったらだめじゃん!!!!そのまま!!!食べねば!!!!!!
その時冷蔵庫の中、缶ビールの幻影が見えてそっと瞼を閉じた。


その他、スーパーマーケットを訪れる度に感じる「にわとりに心からの感謝を」「キノコという奇跡」「かにかま最高」「野菜高い(野菜を畑からもいで生きてきた私は恵まれてたんだわ)」等、記述していきたいことは多々あれど、特に心が震えた台所での3点をここに書き記す。

今日も明日も台所に立つすべての人類、えらい!

ちる

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