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12.エネットの非化石電源比率


 国内十一位の電力販売量6.74億kWh(2024年5月実績値)のエネットが公表している電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を観てみよう。
 2022年、エネットは非化石電源比率の目標は達成と評価されている。                    

 経済産業省の制定する「電力の小売営業に関する指針(2024年4月)」に基づき、算定・公表された結果である。

12.1 電源構成

図18 2022年度のエネットの電源構成と非化石証書の使用状況

 ただし、エネットは再エネメニューとして、EnneGreen RE100、EneGreen  Basicなどを一部の顧客に販売しており、EnneGreen販売分(1,942GWh)を除いた全販売電力量(16,755GWh)電源構成を示す。再エネ100%メニューの販売には「非化石証書(再エネ指定あり)」の購入は必須である。
 
以下では、再エネ100%以外のメニューについて、電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を示している。

 水力(3万kW未満)の3%、水力(3万kW以上)の1%、バイオマスの1%未満には、非化石証書を使用していないため、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われている。 

 FIT電気の5%は、FIT制度で買い取りした電気で、調達費用の一部は再生可能エネルギー賦課金により賄われており、「非化石証書」を使用する必要がある。エネットが販売するFIT電気は非化石証書を使用していないため、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気である。 

 卸電力取引所(JEPX)の17%は、他社から調達している電気の一部で水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなどが含まれる。

 その他の20%は、他社から調達している電気の一部で発電所が特定できないもの等が含まれます。

 一方、石炭11%、LNG他43%、石油1%であり、火力発電の合計は55%である。

 以上から、エネットの扱う電力の実質的な非化石電源比率は、5%弱+5%=10%弱である。卸電力取引所から調達分とその他の合計37%の中にも、再エネと原子力が含まれているようであるが、その割合は明確でない。 

12.2 非化石証書の使用状況

 エネットの「非化石証書(再エネ指定あり)」の使用は3%で、これに加えて「非化石証書(再エネ指定なし)」は3%である。
 「非化石証書(再エネ指定あり)」とは大型水力や卒FITを対象とし、「非化石証書(再エネ指定なし)」とは原子力発電による電気である。

 エネットの扱う実質的な非化石電源比率は10%弱であるが、「非化石証書」の合計使用は6%に留まる。一方で、FIT電気と自社の再エネ(水力、バイオマス)には非化石証書を使用していないと明記しており、卸電力取引所やその他の外部からの購入電力に使用しているのか?不明である。 

12.3 2023年度のCO2排出係数

 電気事業者の自主的な取り組みである温暖化ガス排出量の削減目標は、「2030年に温暖化ガス排出係数を0.37kgCO2/kWh以下」である。

 エネットの本電源構成に対応する2022年度のCO2排出係数(調整後排出係数)は0.367kgCO2/kWh現時点ではCO2削減目標をクリアしている。火力発電比率が55%高く、「非化石証書」の購入も6%と低いにも関わらずCO2排出係数が低く抑えられている理由は不明である。

 ただし、調整後CO2排出係数とは、固定価格買取制度(FIT)に基づき国から配分された環境価値(余剰非化石価値相当量)や調達した非化石証書の環境価値等による調整を反映した後のCO2排出係数である。

 次に、国内十二位の電力販売量である5.59億kWh(2024年5月実績値)の沖縄電力が公表している電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を観てみよう。                     (つづく)


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