見出し画像

7.中国電力の非化石電源比率


 国内六位の電力販売量である29.66億kWh(2024年5月実績値)の中国電力が公表する電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を観てみよう。
 2022年、中国電力は非化石電源比率の目標は未達成と評価されている。                    

 経済産業省の制定する「電力の小売営業に関する指針(2024年4月)」に基づき、算定・公表された結果である。

7.1 電源構成

図9 2023年度における中国電力の電源構成と非化石証書の使用状況

 ただし、中国電力は、”ぐっとずっと。再エネ・グリーンプラン”、”再エネ特約”などの再エネ100%メニューを一部販売しており、その販売には「非化石証書(再エネ指定あり)」の購入は必須である。
 
以下では、再エネ100%以外のメニューについて、電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を示している。

 水力(3万kW以上)は4%で、水力(3万kW未満)太陽光、風力、バイオマスについては、いずれも1%未満で合計1%である。

 FIT電気の11%は、調達費用の一部は再生可能エネルギー賦課金により賄われている。「非化石証書」を使用していない部分は、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気である。

 卸電力取引所の22%は、水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなどが調達された中に含まれている。

 その他の8%は、他社から調達している電気で発電所が特定できないもの等が含まれている。

 一方、石炭37%、LNG他14%、石油3%であり、自前の火力発電の合計は54%である。再稼働に至らない原子力は0%である。 

 以上から、中国電力の扱う電力の実質的な非化石電源比率は、4%+1%+11%=16%に過ぎない。卸電力取引所からの調達分とその他の合計30%の中にも、再エネと原子力が含まれているが、その割合は明確でない。

7.2 非化石証書の使用状況

 東北電力の「非化石証書(再エネ指定あり)」の使用は8%で、これに加えて「非化石証書(再エネ指定なし)」を9%使用している。
 「非化石証書(再エネ指定あり)」とは、大型水力や卒FITを対象とし、「非化石証書(再エネ指定なし)」とは、原子力発電による電気である。

 合計すると、中国電力の「非化石証書」の使用率は17%である。実質的な非化石電源比率は16%に過ぎないため、「非化石証書」の購入により再生可能エネルギー電力の割合を1%向上させている。 

7.3 2023年度のCO2排出係数

 電気事業者の自主的な取り組みとして温暖化ガス排出量の削減目標は、「2030年に温暖化ガス排出係数を0.37kgCO2/kWh以下」である。

 中国電力は、CO2排出係数(調整後排出係数)の2023年度実績は0.511kgCO2/kWhで、現時点ではCO2削減目標をクリアしていない。

 ただし、調整後CO2排出係数とは、固定価格買取制度(FIT)に基づき国から配分された環境価値(余剰非化石価値相当量)や調達した非化石証書の環境価値等による調整を反映した後のCO2排出係数である。

 次に、国内七位の電力販売量である17.18億kWh(2024年5月実績値)の北陸電力が公表している電源構成、非化石証書の使用状況、CO2排出係数を観てみよう。                     (つづく)


 


いいなと思ったら応援しよう!