2/29 狂いの果てにあるもの

暫くnote更新がなくてごめんなさい。伊藤三時です。

まず2/14夜あたりから体調がおかしくなり、37〜38度の発熱を起こしました。暫くそれが続いてしまい、note更新の方は忘れてたというか、出来ない状態にありました。申し訳ありません。

内科でコロナとインフルエンザの検査を受けて陰性と判断され、その後咳が酷いことから肺炎を疑われ、レントゲンを撮りそれも異常がなく、結果として気管支炎と、それに伴い咳喘息を患ったと診断されました。それが確か17日あたりのことです。この時自分は、周りにうつらない病気であったことでホッとしたことと、抗生物質やらの薬を貰ったにもかかわらず、これで熱が下がらなければ皆の足を引っ張ることになる不安感でいっぱいでした。
病院からの帰宅後、今回の舞台『あなたが目撃者』演出である福士真未さんから連絡がありました。

私はその当時、稽古でとても足を引っ張っていました。私のために何度も何度も同じシーンを繰り返して、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。演技とは正解のない技術です。だからこそだったとは思うのですが、袋小路に迷い込んだような思いで胸がいっぱいで、帰りの電車で涙を必死に堪え、家に着いた途端泣き崩れる、そんな日々だったことをよく覚えています。

福士さんからの連絡は、熱が下がっていれば別班の稽古を見にこないかと、そういった内容でした。
連絡を受けた私は、解熱剤で無理矢理熱を下げ、咳止めを飲み呼吸を止めて這ってでもその稽古に行ってやろうと思い、実際そうしました。

別班の稽古を見て、他の役者さん達ともお話が出来て、得るものが沢山ありました。もちろんまだ体調面での不安感はありました。実際、お医者さんにも、最悪喉を潰すことになるから出来れば演劇に出るのはよしてくれと言われていました。

それでも良かった。皆の期待を背負った公演が成功するなら。

話が逸れますが、私は一回失声症を患ったことがあります。声が出なくなったことがある私に、喉を潰すなんてことは、怖くありませんでした。

自分の声など、この舞台が終わったら神にくれてやる。
悪魔に魂を売ってでも、この公演は成功させてやる。

そう思っていたら不思議と日に日に熱も下がって、声も出るようになりました。
咳も本番の時は殆ど出ることはなく、無事に公演は終わりました。

本番での私の演技は実に狂気的に思えたと、そう言ってくれた人が何人かいます。実際、演じたキャラクターそのものが概念というか、人間から逸脱する何かだったのでそれは大いにあると思います。ただ、こうも思うのです。

自分のレパートリーにない役になり、その人生を生きる覚悟を決めることは難しい。そしてその覚悟を決めなければ、完全な役は生きられない。
その覚悟を決めさせてくれたのが、周りの人たちであり、突発的な病であり、役に含有されていた、狂いの果ての聖なる祈りであると。

もし私が、無意識のうちに神やら悪魔やらに何かを捧げていたのなら、それも良いかもしれません。
一瞬でも何かを生きるために使われた祈りや、生まれた綻びなど、安いものです。

改めて、『あなたが目撃者』ご来場の皆様、推し花をくださった皆様、陰ながら応援してくださった皆様に心より感謝申し上げます。

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