四人称視点1
冬の寒さに起こされた
喉が乾燥しきって痛い
空気が凍りついて顔がチクチクする。
そんなことを思いながら渋々重たい体を起こした
室内気温は4℃ 日はまだ昇ったばかりのようだ
頭がパッキリとしない中目線を落とすと
上下薄手のTシャツと半ズボンを身にまとう自分の体が見えた
なんでこんなクソ寒い中小学生みたいな格好して今まで平気に寝れてたんだ、と
朝からそんなツッコミを入れてしまったわけだが、
足元にあった厚手の毛布が見えた途端
その疑問はすぐに解消した
にしても布団から出た時の気温のギャップ。
こいつのせいで冬の時期は起きるのがとても億劫になる
視界のピントがぼやけたまま色々考えていると、ふと脳内に違和感を感じた。
あれっ
え、何だか、映像が見える、え
それも映画館の前方に座って
大きなスクリーンに映る映像をじっと見つめているような感覚。
尚且つ、スクリーンに映る者の姿は
妙に見慣れたものだった。
けれど、その映像はやけにはっきりとは映っていない
理解が追いつかず、抱える違和感について考えていると
いつの間にか視界のピントがあっていたことに気づいた。
その瞬間、脳内のスクリーン映像もはっきりとした
映像には、
ベッドの上に座る上下薄手の半袖半ズボンを着た青年が
猫背でうつむいていた。
俺は咄嗟に顔を上げた。
映像の青年もこちらを見るように顔を上げた。
その青年の顔は、正しく俺だった。
気づけば俺は
急ぐ暇もなく洗面所まで駆け込んでいた。