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阪神淡路大震災・私の記録(1)発災と朝のコンビニ
早朝
轟く地鳴りに目が覚めた。外は眩しいくらいに明るい。
布団から飛び出していた末っ子を布団の中に入れ四つん這いになってかぶさったのと揺れ出したのは同時くらいだった気がする。
ドンと下から突き上げられたと思った瞬間、激しく揺れ始めた。
ウルトラマンに出てくる怪獣に家ごと持ちあげられて振り回されてるように感じた。揺れが収まった時には、外は真っ暗になっていた。
階下でパリンと何かが割れる音がした。
目覚めてからどのくらいの時間が経ったんやろ、揺れ始めるまでも揺れが収まるまでも体感は数分だったけど実際には秒単位の出来事やろか。
隣室で寝ていた上の子達を見に行く。上の子の頭から10cmほどの所に台から落ちたブラウン管テレビが転がっていたが、怪我はなかった。
良かったー、無事やった。
動くのは夜が明けてからと身を寄せ合って布団に入ったが、眠れたかどうかは覚えてない。
夜明け
揺れている時は布団に潜り込んでいた夫が階下の様子を見に行った。
割れたのは姿見だけだったようで程なくして「降りてきて大丈夫」と声がかかった。
後から聞いたところによると、建物や家具、置いてあるものの被害は方向(南北とか東西)に大きく左右されたそうだ。そのため道を隔てて向こう側は崩れているがこちら側は無事とか、隣同士でも被害の大きさが違った。
テレビをつけると、三ノ宮が映っていた。
ガラスは割れ、ビルは歪み、傾き、あの賑わっていた通りは見る影もなかった。
そのガラスや崩れた壁などが散乱している通りの縁石に、毛布にくるまった人達が無表情で並んで座っていた。
「三ノ宮の人ら大変やなぁ~」と市内西部の知人と電話で話したくらいに
この時点ではまだ情報が乏しく大地震とは分からなかった。
朝の街
電池とか買っといた方がええやろからと、コンビニに向った。
コンビニは停電で自動ドアは手動になり、照明の消えた店内に倒れた棚と商品が散乱しているのがぼんやりと見えた。スタッフと数人が店の前にいた。
買いたい物を伝えるとスタッフが懐中電灯を片手に店内に入り、商品を探し棚に貼られた値札を見て出てくる。それを電卓で計算するシステムで営業していた。バーコードは読めず、レジは開かないから釣銭がない。現金で釣銭の要らない人にしか売れないと言う。釣銭の無いことにいら立つ人もいたが、紙幣を出して「釣り要らんから…」と言う人、居合わせた人同士で両替する人もいた。値段をメモしたスタッフの左手は黒くなっていた。
近所のスーパーと言うには小さいよろづ屋のような店にも行った。
そこは店内に人ひとりが通れるように通路が作られていたが、何人もが行列して入るため一方通行で後戻りできず手が届いたものを買う感じだった。
市場近くのコープも店頭にパン箱を並べて食料品を売っていること、小中学校が休校になったことを聞いた。近所の家が壊れそうだとか火が出ているとかの話もあり、いったん帰ることにした。
家に帰ると、出る前には生きていたライフラインが全て停まっていた。
*現金・小銭を持っておこう。
停電になったら、キャッシュレスの支払いは殆どできない。
スマホは生きていても読み取り機が作動していない。
自動販売機も電気がなければ動かない、一部で非常用電源が装備されているのがあるらしいけど近くにあるとは限らない。買えるのは有人の店。
人のいる店が不自由な中で工夫して売ってくれてんのやから、ありがたいことと思わんとあかん。お店の人も本心は家帰りたいとか、家族や誰やが心配とかあるやろに売ってくれてんのやから、文句言うたらばちがあたるで。
封筒でもビニール袋でも何でもいいから、小銭を入れてバッグの底の方にでも入れてとこな。
*水を汲んでおこう。
水が出ている間に大きな鍋の幾つかに水を汲んでおいたのが、とても役に立った。大鍋がなければビニール袋に汲んで口を結ぼう。少しでも水を確保しとこ。
給水車はすぐにはこれない、予定通りにもこれない。