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イトシマメグル #12

伊都国からイトシマへ、流れゆく歴史の中で

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暖かくなって、桜や菜の花がきれいに咲く春がやってきた。
糸島に来て一年。今となっては趣味となった遺跡めぐり。当時の人たちの生活にさまざまな想いをめぐらせ、この自然の恩恵を受けながら生活していた人たちのことを想像する・・・
糸島の歴史に触れてきたことで、これまで僕の中にあったけど、気づいていなかった自分の中の新たな好奇心に気づくことができた。

三雲南小路

糸島には、本当に地域の歴史を伝える場所がたくさんあり、いつも新しい出会いをくれる。
今日は、伊都国の始祖王とその妃の墓ともいわれている三雲南小路遺跡に。
いつかは行ってみたいと思っていた場所。弥生時代の墳墓としては北部九州最大の規模で、伊都国の繁栄を今に伝える。
かつて、ここで王と王妃が長い眠りについた。巨大な墳墓が築かれ、鏡や勾玉などに囲まれていたそうだ。当時の面影を残すものはなく、今は、ひっそりと説明板が立っているだけ。それがかえって弥生時代の人たちの暮らしへの想像をかきたてる。
この場所で何千年も前に暮らしていた人たちのことを考えると、今自分がこの地で暮らしていることにもなにか意味があるような気がしてくる。

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春の心地よい風に誘われて、歴史に興味を持つきっかけとなったあの場所を久しぶりに訪れることにした。

桜2021-28

井原一号墳。人生で最初に出会った古墳だ。
長さ43mの前方後円墳。季節も巡り、あの時とはまた違う風景の中に佇んでいる。木々や花々の彩りは変われども、1,700年前からここにあった古墳は、一年ぐらいでは何も変わっていない。そこがなんだか安心する。
その古墳をじっと見上げ、これまで糸島をめぐって出会ってきた、いろいろな風景や物に想いを巡らせる。

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弥生時代の人が彫った木彫りの犬。
この木彫りの犬に出会ったのも、ここを訪れたあとに寄った伊都国歴史博物館だったな。あの日、ここに来ていなければ、歴史なんかに興味を持つこともなかったし、自分や自分の暮らす地域のことに向き合うこともなかったかと思うと、なんだか感慨深いものがある。

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お気に入りの平原遺跡。歴史博物館で遺跡の模型を見て、どうしても本物を見たくて訪れた場所。この場所で遥か昔の弥生時代、太陽の登る位置を見て稲作が行われていた。いまでも同じ場所から太陽が昇り、人々を照らし続けている。二千年前の伊都国の繁栄は、現在の糸島にも大きな影響を与えていると思うし、これからもこの地の発展につながっていくだろう。

山あいの静かな空気と穏やかな時間の流れは、心を癒してくれる。人々が集まり暮らす豊かな糸島は、ずっとずっと昔の人々から脈々と受け継がれてきたものだ。

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地域の歴史、そこで暮らす人たち、そして自分に向き合うきっかけを与えてくれた糸島。
いつまでこの地で暮らすことができるかはわからないけれど、僕も、昔の人たちが残してくれた「歴史」を引き継げるような生きかたをしたいな。

そう思うとこれからの糸島での生活がまた楽しみになってきた。

~イトシマメグル 完~

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DJ 栗田善太郎


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