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見えていないもの #1
テスト期間も近づき、いろんな「現実」が私を襲ってきた。私は2月中旬からガーナへ渡航が決まっている身でありながら、その国の下調べはおろか、言語もろくに出来ないまま旅立とうとしていた。事は、マラリアの予防薬を購入していない事実が発覚してから起こった。いや、その前段階からすでに事は起こっていた。マラリアの予防薬を手に入れる機会を失ったことを、父に泣きながら電話をすると、優先順位をまず決めること、やりたいことはやるべきことをした後にすること、というあたりまえのことを教えてもらった。私はなぜ今まで気付かなかったのかと、自分自身を責めた。
しかし、2024年を振り返ると気づく機会は何度もあった。周りの英語の上達に悔しさを噛み締めて眺める日々、教授から手を付けすぎだと教えていただいたとき。ある授業で、「人は見たいものを見たいように見る」という言葉を学んだ記憶が思い出された。私はきっと、「やるべきこと」から目を逸らしてきたんだ。人は、自分の図星を刺されると普通の人は頭にくる。けれども私は、人から図星を刺されることに慣れてしまっていた。その短所も仕方ないと、自分は能力がない人間だと、受け入れることが普通だと思うようになっていた。なぜなら、そうやって見たふりをしたほうが楽だから。