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飽きても生きる


[熱しやすく冷めやすい]とは、私の為の言葉であり、私は自分の事を熱しやすく冷めやすい界の頂点にいる女だと思っている。

これは遺伝なのか、それとも星座のせいなのか。何かのせいにしたいところだが、ただ単に私がそういう性質で生まれてきたのだろう。

常に自分の中で夢中になるものがあった。
恋愛、アイドル、映画、漫画、韓国ドラマなどなど。

好きな人ができるとそれしか考えられなくなる恋愛至上主義者だった。
この恋は永遠だ!真実の愛だ!といつも本気で思うのだ。この人が最後の男だと。

しかし私は熱しやすく冷めやすい界の頂点。しっかりと冷める。完全に冷める。

今までの統計上、私は4年以上同じ人を愛せない事が分かっている。

飽き性の割に4年くらいは好きでいられるのだ、もはや飽き性じゃないだろ、っと思っているのだが冷めた時の私が酷い。あんなに好きだった人を気持ち悪いと思ってしまうのだから。
キモい、触るな、同じ空気を吸うな。縁切り寺にまで行く女だ、豹変ぶりがすごい。思い出の物は即ゴミ箱へ、連絡先も即消去。

激しいのだ。

自分の事を一途じゃないと認めるのは悲しかったが、冷めた途端「あなた誰でしたっけ?」となってしまうので認めざるを得ない。


20代の頃韓国ドラマにのめり込んでいた。
その影響で韓国語を勉強し、韓国旅行に行きまくり、韓国人の夫と出会い結婚し、韓国に住んでいる。

人生で1番熱した案件だ。

でもしっかり冷めているし飽きている。
結婚生活に飽きていると言ったら色んな人に怒られそうだが、飽きたからと言って逃げ出したりしていないのだから褒めてほしい(怒られろ)

人生で1度は外国で暮らしたいという夢も叶ったが、もう気が済んだので日本に帰らせて神様!と思っているし
今まで好きになったアイドルは沢山いるし(推し変常習者)
漫画にハマった時はフィギュア屋に通い詰めたし(その後全て売る)
今の家に引っ越して来た時はモノトーンにハマって黒グレーの家具家電で揃えたけど完全に飽きて今はカラフルが気分だ(買い替えられないので我慢している)
(本心は家自体にも飽きているので引っ越したい)


子供の頃からの自分の中での流行の波を思うとここ最近はあの時ほど熱するものがないように思う。
老いたのだろうか。

人生に、人間に、地球に、生きる事に飽きたと言ったらこれまた人として怒られるかもしれないけれど、そう思ってしまった自分の心に寄り添いここにこっそりと記しておく。

全部に飽きた。面白くない。全部面倒くさい。本当に本当に、自分を生きる事が面倒くさい。


何故飽きているのか考えた時、ただ私が飽き性だからなのではなく(まぁそれもあるだろうが)きっと毎日平凡だからなのではないかと思う。

結婚して、韓国に移住して、子供を産んで育てている。

国際結婚や海外生活には飽きたし、子育ては飽きる以前に私には上手にできないんだと早々に限界を感じた。
でもこれらからは逃げ出すわけにはいかない。責任がある。

この日々の生活をなるべく穏やかに過ごすことに神経を使うので、何かに熱中する体力がないのだと思う。

それでもそれなりに好きな事はある。

相変わらず好きなアイドルはいるし、ドラマや映画も好きなものに出会えば何度も繰り返して観るし、毎日ひたすらホットケーキを焼いて食べていた事もある(しっかり飽きて今はホットケーキが食べられない)

でも、あの頃のような熱さはもうない。
エネルギー不足なのだ。

平凡で、穏やかで、好きな事が全くないわけではない。
それの何が不満なんだ、平凡に生きてる事に飽きるだなんて罰当たりてーのか?と自分で思う。

でも時々顔を出すのだ、熱しやすく冷めやすい細胞が。
お前はもっと激しい女だろ?ともう1人の私が囁く。

きっともうあんな風には生きられないから過去の自分が眩しく感じるのかもしれない。
熱した時のがむしゃらな感じと冷めた時の潔さが好きだった。


熱しすぎる事もなく、飽きたものを手放さずに生きる事を覚えた。
生きる事にも飽きたが生きていく、もしかしたらまた昔のように凄い熱で何かに夢中になれるかもしれないと淡い期待を持ちながら。

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