本漆と合成うるし
本漆と合成うるしの違いについてです。
私が使っているのは本漆になりますが、
最近、金継ぎキットという名前でお求め易い価格で販売されているものは、合成のうるしのことが多いです。
その合成うるしは、漆ではありません。
成分の記載を詳しく書かれていないことが多く、
お店のカテゴリ的にはペンキなどのコーナーへ置かれていることがあるのではないでしょうか。
メーカーさんによって違うかと思いますが、
合成うるしを食器に使用しないでくださいとの記載もある商品もあります。
メーカーさんの記載では、合成うるしは2〜3時間で乾くみたいなので、
1日で終わる金継ぎワークショップなどは合成うるしを使っていることも多いかと思います。
反面、本漆は漆の木から取れる樹液なので自然素材。
抗菌作用があるので、お椀、お弁当箱やお重などにも塗られており、
食器を修理するのにも適しているかと思います。
工程は、しっかり固めるのに1工程に1日掛かり、
より多くの手間と、本漆での金継ぎの依頼する場合は、
合成うるしを使用される方よりも高い修理代金が必要になってきます。
ひびのラインは蒔絵の技術と近く、合成うるしでは出せない様な繊細な線や模様は本漆ならではじゃないかなと思っています。
やはり、本漆を扱っているものとしてこだわりはありますが、
合成うるしを全部悪者にしたい訳じゃなく、用途にもよるかなと思います。
合成漆で修理した器にごはんを盛り付けるのは、安全性に問題があるかと思いますが、
食器として使わず飾るものなどに使用するのは良いと思いますし、
ご自分で修復する場合、漆を扱うのはかぶれや扱いの面で扱いが難しいこともあるので、
漆を初めて扱う方の入門としても良いかと思います。
金継ぎをしたいなと思った時、食器を選ぶ場面で、
本漆にするか、合成うるしにするか、
しっかりそれぞれの特徴を確認・納得した上で、
選択していただけましたら嬉しく思います。
とは言え本音は、合成うるしをしっかりと分けてもらえる様な決まりがあればと思うこのごろです…。
お時間と手間賃をいただくことにはなりますが、
合成うるしを使ってみてやっぱり物足りない方、
体に優しい素材が良いという方、
本漆での器の修理をしてみたいなと思ったら、ぜひお問い合わせください。
過去に金継ぎした器などの写真を載せています。
金継ぎにご興味のある方はどうぞご覧ください。
本漆の他に、地元の素材にこだわった作品を作っています。