「キャプテン・ブラッド」シリーズの成り立ち
『海賊ブラッド』本編にあたるCaptain Blood: His Odysseyが書籍として刊行されたのは1922年の事ですが、それに先行して前年の1921年に原型となる読みきりシリーズが存在しました。
原型バージョンにはアラベラ嬢は登場せず、当然の事ながらブラッドの旗艦は「アラベラ号」ではなく「Colleen(アイルランド語で「お嬢ちゃん」)号」と名づけられます。
このシリーズが好評で加筆修正して長編化された訳ですが、加筆された一方で長編としてのテンポが悪くなる為に割愛されたエピソードもあり、それは後に書き改められて短編集に収録される運びとなりました。
それがBlood-MoneyとSanta Maria。
他にも、恐らくは一旦プロットを立てたものの割愛したエピソードとして、ジェフリーズ判事とポレクスフェン氏の後日談The Remedyも別の短編集に収録されています。
作中時系列順に並べると、
本編第1章~3章(反逆罪で流刑になるまで)
The Remedy(ジェフリーズ判事の後日談)
本編第4章~12章(流刑からトルトゥーガ島にたどり着くまで)
The Chronicles of Captain Blood収録短編
The Blank Shot及びThe Treasure Ship(キャプテン・イースタリングとの因縁によって、ブラッドが海賊稼業に入らざるを得なくなる顛末)
本編第13章~17章(マラカイボ襲撃まで)
The Chronicles of Captain Blood収録短編
The War Indemnity
Blood Money(カユザックの後日談)
The Gold at Santa Maria(サンタ・マリア襲撃)
The Fortunes of Captain Blood収録短編
The Dragon’s Jaw
The Pretender
The Demonstration
The Deliverance
Sacrilege
The Eloping Hidalga
The Chronicles of Captain Blood収録短編
The Love Story of Jeremy Pitt(キンドル版・kobo版・パブー版に収録)
The Expiation of Madame de Coulevain
The Gratitude of Monsieur de Coulevain
Gallows Key(キャプテン・イースタリングとの決着)
本編第18章~31章(本編完結まで)
The Chronicles of Captain Blood収録短編
The King’s Messanger(文中に記された年月日は本編最終章より後。ただし内容的には後日談ではない)
追記:海賊ブラッド短編集
「The Blank Shot カリブの砲声」「The Treasure Ship 宝物船サンタ・バルバラ号」「Gallows Key 絞首台礁島」及び「Sacrilege 枢機卿の身代金」は『海賊ブラッド短編集』としてアップしました。
残りの短編については、本編の売れ行きが悪すぎる & 続スカラムーシュの翻訳を断念したのと同じ理由で今のところは棚上げにしています。
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