Z.L.Wさん
今回お話を伺ったのはZ.L.Wさん(20代)
今まで経験したり見た映画や漫画で、作品それ自体よりそれを生み出した人の技術に感動を覚えたものはありますか?(クラムボンさんからの質問)
物心ついてからで考えると、一番最初にアニメを見たのって4、5歳の時で、ミッキーって名前じゃない頃のミッキーミニーのアニメ。私はそれを中国語で見てるんだけど、それが白黒なんよ。手書きで白黒でこんな面白いんだって、その時の私にはすごく新鮮だった。多分その時にはカラーの前は白黒だったっていうのは頭ではわかっていて、こんな古い物が動いてるんだって不思議な感じになった。私らの時代ってウルトラマンとかピカチュウも全然あるけど、私はそれがめっちゃ心に残ってる。これが一番初め。
その次がアバター。多分初めて3Dっていうやつが出てきて、本当に3Dだって。あとはジェラシックパークとかって恐竜役の人CGで映すんだけど、あれは普通の演者がいて、その人の頭とか手足に部分的にセンサーをつけて、それを映像にした時に恐竜になってるだけなんよ。だから実際の撮影現場って人間と人間で、それを加工して映画にしたら人間と恐竜になってるわけで、しかもすごくリアル。これもびっくりした。
それを考えてやろうとした人にまずびっくりした。爆発とかって昔からあるし、別に普通だと思うんよ。物理的現象だしほっといても爆発するしそれは映像に残るけど、これって誰かがわざわざ考えて技術にして起こさないと絶対に成り立たないから、これは面白いなと思った。
今はどういう生活をされていますか?
今年の4月から会社で働き始めた。職場が取材管理部っていう部署で、機械の部品とか素材を調達する部署。入った時期がコロナ禍真っ只中で、しかも半導体不足だったりガソリンの価格が高騰したりって大変な時代に入ってしまったなっていう気持ちが半分と、逆に若い内に馬車馬のように働いた方が頭の回転も良くなって今後のキャリアにとって良いかなって思う気持ちが半分。そんなこと言いながら毎日働いてる。別に待遇が良いからサービス残業とかも無いし、お金もそれなりにもらってるから、これが働くってことなんだろうなって思いながら噛み締めてる。
ーお休みの日は何をされていますか?
私の会社は年に3回10日間くらいの長期休暇があって、その時は長めの旅行とか長めの休暇でしかできないことをしたい。逆に普通の土日の休みは美容の日もあるけど、社会人になって家でゴロゴロする幸せを知った。大学生までは毎日遊びなりバイトなり動いていて、家でゆっくりしなくてもよくない?って思っていたし、家でゆっくりすることの幸せと外で誰かと何かをしている幸せが一緒だった。でも今はたまに休みたいと思うことが増えた。
その辺りは仕事を始めたからな。デスクワークだけど多分めちゃめちゃ集中してるから、土日は本当に頭脳が休んでいる感じがある。大学生で遊んでいる時とかバイトしている時は何も考えず本能で動いてたし、誘われて面白そうって思ったら体力がどうなるかとかは基本考えずに移動さえ間に合ったら行ってた。何でもご縁だから誘われたら行っておこうって思ってたし、会費がかかるものも一回くらいは絶対行っておこうって思ってた。
でも遊びに行くとか誰かと時を過ごすって命かけてるなって思うんよ。こうやってインタビューを受けて喋ってるのにも私の数時間を使っているわけで、それに値するかどうかみたいな考えが大学4年生ぐらいの時から芽生え始めた。それまではちょっとめんどくさいなとか、この前この人ちょっと嫌やったなっていう人でもちょくちょく会いに行ってた。
それは大学3年生の時に長く付き合ってた彼氏と別れてから思うようになった。大学って仕事もしてないし、一緒に付き合ってたりしたらほぼ毎日一緒にいるんよ。もし付き合ってなかったとしたらそれは自分の時間になるはずで、それこそ飲みに行ったり勉強したり色々できたと思うんだけど、それを彼氏と過ごしたわけよ。その彼氏との時間って別に何もしてないから、結局別れて残ったのって彼といた時間なだけで自分の中には何も残ってないのよ。別に付き合ってたこと自体無意味だったかって言われたら無意味ではないと思うけど、一緒に過ごした時間全てに価値があるかって言われたら無いなっていうこと別れた時に実感したよね。
だから昔と比べたらお誘いを断ることも増えた。基本オープンな性格で初めて会った人とかとも全然喋れるから、男女関係なくまたどっか行こうとか絶対誘われるんだけどそれを断ることも増えた。
ー断る断らないはどう判断されるのですか?
私が楽しいと思っているかどうか。私は多分普通に喋ってるだけで楽しいように見えるタイプで、ノリが良いって見えてると思う。私が楽しんでないこともあるけど周りからは楽しいみたいな感じに見えてることが結構ある。それは客観的に自分を見てもそう思うし、自分もそれを心掛けているところがある。でも私が楽しんでないこともあるから、そういう時の次回の誘いは断る。
一人の時間にこれをした方が良いなとか、先のことを思ってやらないといけないなって気持ちはあった。でも普通に彼氏好きだし、やらないといけないなと思っても先伸ばしにできることって多分急ぎで必要なことで無いんよ。勉強とかって先延ばしにして将来したらいいやっていう気持ちが芽生えてしまうものだと思ってて、私は芽生えてそうなった。でもちょうど就活前に別れて集中できたし良かった。
ー就職先はどう選ばれたんですか?
別に特にやりたいことはなかったけど、多分どの業界に行ってもバリバリできるっていう自信はあった。で、就職活動をすごい一大イベントとして捉えている人をダサいと思っていて、スマートにしようと思ってた。だから選考に絶対必要なインターン以外は一つも行ってない。で、面接官とか社員さん誰からもこの子面白いなって思ってもらえるような人になりたいと大学入る時から思ってた。大学3回生とか4回生になってなんかサークルしようとか資格取らないとじゃなくて、大学入る時からそれが一番低コストの就活だと気付いて、それをゆるゆるやっていくことが一番近道だと信じて疑わなかった。それをそのまま続けて就活も成功したって感じ。
だから今の会社もすごい行きたいって選んだわけではなくて、とりあえず地位と名声とお金がもらえて転勤がアホみたいに無いところで探して、受けた中から選んだって感じ。
ー具体的にはどういうことをされましたか?
チョコレート検定。チョコは好きなんだけど、これがなかったらただのチョコ好きなんよ。でも自分の持ってるTOEICとか英検とかと対比させて、この子は趣味でも極めるんだみたいなイメージを与えようと思った。それで色々調べたらチョコレート検定っていうのがあって、興味もあったわけよ。香とか味は詳しいけど作り方とか歴史ってそんなに知らないなと思って勉強したら受かった。面接の時もウケたし自分の知識にもなったし良かった。これってそういう考えが無かったら絶対受けてないし、まさにかな。
今まではどういう人生でしたか?
中学受験した。普通は小学校3年生か4年生くらいから塾入るんだけど、私は一回り遅めの小学校5年生から入ったんよ。でも勝ち気な性格もあって一年でみんなに追いついて、それで色々京都にある学校を調べたんだけど、当時は女子校とか女子の特進クラスレベルの学校ってすごい少なくて、男子校がいっぱいだった。だからあとは偏差値と家の近さで選んだ。
ーなぜ塾に行かれたんですか?
小学校の勉強って何でこんなに同じこと何回も言うんだろうって面白くないなって思って物足りなくなって、公文教室に通ったんよね。そしたらそこの先生から『あなためっちゃ賢いし中学受験するべき』って言われて、それで受験するためにって感じ。
でも勉強に関しては中学に入ってから優秀じゃなくなったな。難しくなったというより面倒くさくなった。小学校の時は楽しかったけど楽しくなくなった。暗記が急にできなくなったけど、日本史とか世界史とか好きなものはめっちゃ成績良かったから差が生まれたって感じかな。公文は先取り教育だったから先取りで勉強してた部分は多分すごい成績良かったけど、それ以外はだめだった。
中学受験することになって途中で公文は辞めたんだけど、多分公文をゴリゴリしていた方が賢かったなって途中で気付いて、中学生の私なりに選択ミスったって思った。私の場合何が悪かったかって言ったら、評定平均はすごい悪いけど模試の成績はすごく良かったのよ。だから余計勉強もしなくなるよなって。
小学校五年生で公文と塾の両立が辛いと思って公文は辞めたんだけど、辞めなかったらどうなってたんだろうって気持ちが今でもある。数学とか5年先くらいをしてて、小学校5年生で高校一年生くらいの勉強をしてた。多分作業を通して頭に慣れさせるっていう方法なんだと思うけど、今思ったら中学受験独特の算数の問題とか、それをしたとしても中学高校の成績上がらないなっていう内容だったなって。何でそれに時間をかけてしまったんだろうって思った。それだったら同じ時間を公文バリバリやって大学レベルとかまで進んだ方が自分は優秀な人になってたんだろうって思ったし、多分そっちの方が楽だった。
中国語とかもそうなんだけど、生まれて初めて喋った言葉が中国語だったから今もネイティブ並に中国語話せるけど、勉強したことはないんよ。勝手に喋れて勝手に興味を持って語彙力蓄積されてって感じだから、勉強の方法を知らないんよ。公文もまじで楽しいって感じでやってて、公文はグレードごとにプリントがたくさんあって、それが何割以上正解できたら次のグレードに上がって行くって感じだった。それが合ってたんだろうなって思う。慣れていくって感じで、計算とかもこういう風にしたらいいんだってあんまり理解できないことが無かった。これを中学受験せずに続けていたら私最強やってめっちゃ思ってた。
ー初めて話したのが中国語だったんですか?
両親が外国人で、共通語が中国語。二人とも中国語と日本語を話す。お父さんは大学の先生だからもちろん英語も話すんだけど、家の中では中国語っていうのがルールで、お父さんの出張の時に一緒にいろいろなところに行ってたらしい。日本も住んでたけど、中国、台湾、香港とかも物心つく前もついた後も住んでた。一番長いのは日本だけど、住んでた国は?って訊かれたら他の国も住んでたっていう認識かな。
ー色々な国に住んでいた経験がご自身に影響しているなって感じることはありますか?
結構オープンな性格なのはそれが影響してると思う。日本人は初対面とか結構クローズで、私は結構オープンだと思う。でも本心的なものを見せていないオープンだから、周りから見たらめっちゃオープンだけど私の中では別にオープンではないって時は結構ある。見せていない割合が割とあるけど、その部分を相手に悟らしづらいしばれたことない。それは中学からかな。
それまでは割と静かめで趣味は勉強みたいな人で、本読むのがめちゃめちゃ好きだった。小学校で3万ページくらい読んだらしくて、小説も読んでたし推理小説系も読んでたし、哲学を噛み砕いてわかりやすくしたのとか偉人伝とかめっちゃ読んでた。本にハマったのは小学校二年生くらいの時で、担任の先生から『ルドルフとイッパイアッテナ』っていう厚さ3センチくらいの本をお勧めされた。3センチって言っても小学生用の本だから実際236ページくらいだったと思うんだけど、めっちゃ苦手意識があったんよ。表紙も可愛くない猫が二匹くらいいて、本屋に行ったらそれが名作みたいなところに置いてあって読んでみたらすごい面白くてそこから読書にハマったの覚えてる。
ー中学生の時にオープンの度合いを調整し始めたのですか?
小学校の時、除け者にされてたんよ。私の中ではいじめられているっていう認識はなかったし除け者にされているとも思ってなかったけど、『中国人だから帰り道一緒に下校しない』みたいな。その時中国と日本がめっちゃ仲悪い時で、親も話してたし私もニュースとかでわかってたんよ。ただそれを言われて悲しいとかは別になくて、「何で中国人だから一緒に帰らないんだろう?」って、そういう概念が無かったから不思議に思ったんよ。それで家に帰ってママに言ったら、ママも『アホだな、ほっておき』みたいな感じだった。
だから私もほっておいたけど、結構下校以外でもそういうことが増えてきて、で、忘れたけど何か物理的な嫌がらせがあったんよ。それを私が仲良い友達に言ったらその子がその子のお母さんに言って、そのお母さんが先生に言ったんよ。その時その先生がめちゃめちゃ味方になってくれて、いじめもなくなった。その先生がルドルフとイッパイアッテナを勧めてくれた先生だけど、その私をいじめた子を引っ張ってきて謝りなさいって。私はその時そこまでしなくていいだろって思ってたけど、初めて人が人に頭下げるのを見た。その時この先生って口は乱暴だけどめちゃめちゃ考えてるんだなって思った。
それで、『今は中国人が日本を楽しいと思わないかもしれない、この先も今日みたいなことが起こるかもしれない。でも別におかしいことじゃないし、みんな人間だから』みたいなことを言われて、『むしろ中国語とか英語を使って将来日本との架け橋になって欲しい』って言われた。今思ったら、たかが小学生の低学年のいじめの話が終わった時にこれをちゃんと話す人って偉いなって。
その後もちょくちょく嫌がらせとか、SNSとか中高で始めたら右翼の人とかいっぱいいたけど、私は将来架け橋になる人なんだなって思いながら生きてきた。辛いなとか思うことはなくて、なんか面白いなって、なんか喚いてるなって感じ。
私大学でチャッカマンって言われてたんだけど、普通は炎上とかしたら消しに行くけど、私はもっと燃やしに行って、なんならマイムマイム踊ってる人って後輩に言われた。それはうまく表現してるなって思ってて、燃え上がれば燃え上がるほど面白いと思う。
ーなぜ初めいじめがあった時に不思議だなと思ったのだと思いますか?
親が怒るとかそういう人ではなかったからだと思う。アホだなって笑う感じで、あの時代中国と台湾も仲悪かったけど両親が中国人と台湾人で結婚してるっていう事実もわかっていて、多分小さい頃聡かった。親も別に仲良いし、そういうのって意味ないんだなって思ってた。国籍って区別するためにあるもので差別するためにあるものじゃないってその時から思っていたから、何言ってるんだろこの人って感じだった。
ー英語はなぜ話せるのですか?
ちっちゃい頃、お風呂に濡れたらアルファベットが消えるみたいなのが貼ってあった。それに、香港とかにいると全ての雑誌とかアニメが中国語だけど英語字幕みたいにごちゃごちゃで、それを見て育ったからハードルが低かった。リスニングはまあまあできて喋ることに関して困ったことないなって思ったけど、文法はわかってなかったから中学の英語の点数は悪かった。文法とか本当にわからないまま高校も卒業したんだけど、浪人の時とスコットランドにちょっと留学してた時に急に文法が分かるようになった。
ー浪人されたのはいつですか?
ギャップイヤー的なことで、高校と大学の間。まず高2の夏にスコットランドのサマープログラムみたいなのに行って、高校は卒業した。高3でみんな大学受験するからして、受かったところもあったけど興味ないなって思ったし、親が生きている間は近くに住んでおきたいなとも思ってたし1年間浪人することにして、その間にスコットランドの大学の語学コースみたいなところに行ってた。
大学は賢いところに行かないといけないなっていう思いは漠然とあったけど、行きたい大学はそんなになくて、親も『なんで大学行くの?』って感じだった。ママは途中で私を妊娠してるから修士課程単位取得満期退学みたいな感じだけど、パパは博士コースまで行って今も大学残ってるのに。
教育においてはママの方が強くて、私が子供を育てるっていうのはママが一番強かった。大学なんで行くの?って言われて、その時お金には興味あったから経済学部にっていう話をしたら、『それなら専門学校でよくない?』って言われた。それでこの親やばいなって思いながら、じゃあなんでみんな大学に行くんだろうみたいなことを考えた。
で、色々考えたら一般教養っていう科目があると。その科目には結構各大学のカラーが滲み出ていて、色々な交流も含めてちゃんと勉強していい大人になりたい的なことを言ったらOKが出た。まあそれは無理難題ってわけではなくて、親も多分大学受験はさせる方向で、ただみんなが行くからっていう理由はだめってことだった。
あとは絶対国立って言われてた。中学校は私立の大学の付属校に行ってたんだけど、入る時も大学は絶対国立って言われてて、その時からその呪縛は始まってる。私も多分どっかの国立行くんかなくらいに思ってて、結局国立の夜間部に入った。経済学部で入って経営学科だけど、ゼミの所属はデータサイエンス。これも色々あったけど、私の人生全部結果オーライで普通に良かったなって思う。
ー留学中思われたことは?
私に合ってるな、お洒落、大好き。石文化が好きで、ロンドンみたいに都会過ぎなくていいけど、歴史ある街が好き。エディンバラは京都の海外版みたいな感じで、オールドストリートとニューストリートが共存してる。京都の町屋も潰してなくて普通にそこに佇んでるじゃん。そういうところが好きだよね。あとはウイスキーに対する憧れとか、イギリスのバーとかそういうのが好きなの。映画でも文化でもそれが結構まだ残ってるなって思う。なんか昔メアリーっていう女王がいて結構ひどい殺され方をしたんだけど、そういうドロドロも好き。
ー色々なことを面白いと思える?
そうかも。雑学とかめっちゃ好きだし。
ー嫌いなことはありますか?
虫。あとは私の行きつけの店に連れて行った時にその態度はないなっていう態度を取る人とか、人の顔を立てられない人。偏見がある人も好きじゃない。私はあまり偏見はないと思ってて、だからキャバ嬢の友達とかド金髪の友達とかいる。
ただこれは表向きの部分もあって、例えば風俗に対して表向きには職業の一つだよねって言ってるけど、私は絶対したくないと思ってる。これは多分偏見無いとは言えないかなって。多分ちょっと下賤な仕事っていう偏見があるから私はしたくないと思うねん。基本何でもしてみたいなって思うけど、風俗に対してはそう思うってことは心の中で自分自身が気づいてない偏見とかがあるんだろうなって。
おじさんとエッチするとかはお金つまれても無理。イケメンか心許した人じゃないと無理。惨めになると思う。多分これかな、それでしかお金稼げないんだって。この世の中、特に日本って死ぬほどバイトあると思うんだけど、風俗をするって選択をするってことは楽して稼ぎたいって思う結果で、それで体を使うっていうのが惨めだなって思う。私はどうしてもお金を稼がないといけない事情があるならキャバクラをする。風俗って性で、キャバクラも枕営業とかあると思うけどそれをしないっていう選択もできるじゃん。女子ってことを売るのは何も思わないけど、性を売るのは嫌だ。
ただ、その風俗嬢に矜恃があって、私はこういう人としかエッチしないっていうのがあるなら面白いって思うし、マイナスのイメージは何も思わないと思う。でもお金つまれたら誰とでもするってことじゃん、それが無理なんよな。
ー風俗という仕事をする人はなぜするのだと思いますか?
自分にプライドがないんじゃない。他の仕事だったらもっとこういうことができるなとかいう自信が無いんだなって思う。私だったら何の仕事でも成功できると思ってるし、実際夜職のバイトをしてたこともあって、短期間だったけどそれなりに売れてたからさ。そういう子はまず自信が無いし、自分のこと好きじゃないんだなとは思う。私は自分好きだけど、そうじゃないから自分の体をそうやって扱えるんだろうなって。
ーその自信はいつからあるのですか?
昔から持ってる。何言われても私中国語ネイティブだしって思ってた。『俺京大だし』とか言われても、お前日本語とちょっとの英語だろって。それは小さい頃からあった。だから老若男女喋れない人がいない。話術ってわけではないけど、周りがこの人気難しいとかうざいって言ってるおじちゃんとかおばあちゃんとかも全然仲良くなれるし、可愛がってもらえる。
そういうのって奪われないものなんよ、私の内部にある特徴だから。人が私の中国語の能力奪おうとか無理で、だからめっちゃ自信ある。お金があるってもしかしたら騙されるかもしれないし、顔とかも事故してぐちゃぐちゃになるかもしれないし、手足もなくなるかもしれない。でも中国語とかは認知症とかにならない限り無くならないし、知は力だなって思う。
ー今後したいことはありますか?
今やってる仕事が海外から部品を集める仕事だから、架け橋って言えば架け橋なんだよね。夢ってわけではないけど、多分そうなるんだろうなっていう漠然とした願いは叶ってるんだよ。大学の時も国際交流サークルみたいなの立ち上げて、今も110人くらいのメンバーがいて、半分外国人。こういう規模のサークルってあんまりないと思うし、それがまだ続いてる。これも世界を繋げてるっていう面があって、それは大学生の時から叶えてるから夢だとは思っていない。
なんかお金欲しいとはずっと思ってるんよ。でも別に総資産何億欲しいとか、年収何万欲しいとかではない。どうせ私お金稼げるんだろうなって思いながら生きてきたし、実際就職したのもそういう企業で、多分この先もそうなんだろうなって思ってる。
大学の時って目標がなくても就活しないといけないじゃん。基本的に大学院に行くか就活するかで、それって私が決めなくても周りがそうだから道標みたいなところがあるじゃん。でも社会人になってからはその会社で昇進しようって思い以外に、例えば自分で会社立てたいなとかはあまりないなって思ってたんよ。
そしたらバーで出会った製薬会社の社長の人と話してる時に、『会社入ってからそこで将来何するの?』って訊かれて、ハッてなったのめっちゃ覚えてる。その人は連絡先とか知らないけど大学時代の時から知ってて、そのバーで会った時はめちゃめちゃ喋るんよ。この会社入って何がしたいんだろうってそこで気付かされて、まず上には行きたいし、何年目にはこの階級にいたいなっていう具体的な目標を自分の中で決めた。結構人の言葉からヒントをもらったり気付きを得ることが多いなと自分で思うし、私はその一言だけで色々考えるきっかけになった。
あとは漠然と自分で飲食店のオーナーになりたいなっていうのと、会社作りたいなっていう思いはある。社長になりたいなっていうのは小学校の時からあって、飲食店のオーナーっていうのは大学時代に飲んでる時に思った。店長は毎日出ないといけないからオーナーがいいなって。従業員を大切にするオーナーになりたい。
ーよく行かれるバーの良さは何ですか?
幸い知り合いの紹介で私は20歳の時にバーっていうのを知ることができた。大学があった地域は和食屋さんとかスポーツバーとかオーセンティックバーもあるんだけど、オーナー同士店長同士がみんな仲良くて、一つのお店に通い詰めてたら紹介でみんなと仲良くなった。みんな自分の営業が終わったらどっか飲みに行ってるって感じで、そういうのめっちゃ良いなと思ったし、自分の店みたいなの欲しいなって思った。
自分はどういう人だと思いますか?
常に場を把握したいし、チェスのコマにはなりたくはなくて、観戦者とかチアマンが良い。プレイヤーは自分の価値を考えてると思うし、俯瞰できてないなって。自分の中に客観視してる人がいて、そっちがチアマンで自分はプレイヤーって感じで、自分の中に二人いるよね。客観視してる自分がいるから、仕事とかの交渉でも大体私の望む方向に行くんよ。これを言ったらこうなるなっていうのがあって、操っているわけでは無いけど大体思い通りになるよね。
私が幼稚園くらいの頃に、ママに『何事も多面体なんよ。立方体って存在してるだけで6面あるけど基本的に人は1面しか見てない』って言われて、それが今の考え方、俯瞰して全部把握したいっていうのに繋がってる。大学の時とか、ママと朝4時までいろいろ話してパパが早く寝なさいって怒ってる日とかあって、対話を大事にしてる母親なんだなって思う。
恋愛相談とかされてる時に、この子はこうやって自分の気持ちを正当化しようとしてるけどそれに気づいてないんだな、可愛いなって思うことはあって、それは立方体の話だと思う。そういう人は自分を俯瞰しよと思っていないんだと思うし、それってわざわざしようと思わないとしないことで、その認識がなかったらしないと思う。私にその認識をくれたのは立方体の話かなって。
俯瞰するっていうのと人に対してのオープン度合いを調整するっていうのは関係あると思う。私が怒りを見せるとか愚痴を言うとか甘えるとかはある程度心を開いてる人。他は世間一般と比べたら甘えてるとか怒ってるとか態度に見えるかもしれないけど、私の中では全然で、何も開示しようとしてない。
ー自分を俯瞰することで良かった事は?
メリットしかない。物分かり良いなって言われるし、ことの結末が大体分かる。ただ、これは私は悪いこととは思ってないけど、誰かとご飯に行った時にそれさえ俯瞰してる自分がいる。全然楽しいんだけど、私って今楽しいんだなって俯瞰してる自分がいて、ワオってなる。仲良い人とみんなで遊園地に行った時とか、楽しいなって噛み締めながら何でこの世界でこの6人で知り合ってここに来たんだろうっていう思考がブワーってなる時がある。でもそれは別にデメリットではないし、面白いなって思ってる。
人間は死ぬまで孤独だと思ってて、結婚しても赤の他人だと思うし、籍を入れたとしても赤の他人で、生まれてくるもの一人だし死ぬのも一人だと思ってる。籍を入れたり子供を作るっていうのは感情としてあるし成り立つと思ってるけど、個人と個人だと思ってる。たまに結婚したら旦那さんをお小遣い制にするとかあるけど意味わからない。結局結婚しても個人と個人だし、ある程度の尊重って必要だと思うし、どっちかが舐めてる夫婦とか意味わからない。
子供は欲しいって思う。遺伝子残したいし、絶対可愛くて優秀だから。自分が好きになる人って、見た目がタイプとか話が合うとか色々あると思うけど、良いとこ取りの子供が生まれるんよ。それと、お母さんがしてくれたみたいに子育てしてみたいっていう気持ちもある。
ただ、何でみんな籍入れるんだろうって思うことはあった。籍入れなくても同棲して一緒にご飯食べて一緒に土日過ごしてってできるのに、何で人間はその紙切れにサインしたがるんだろうって思う。別に苗字一緒になりたいなとかもないし、親は外人だから苗字は選択制で別姓だし、別に一緒になりたいとかいう思いもない。そういうのにロマンチスト抱いてる人の気持ちはわからない。親って苗字に合う名前つけてくれるんだし、それを変えるのは嫌だなって思う。
最近思ったけど本当に好きな人とかに対してってイライラしないんよね。人って生活習慣とかあって、昔はちょっとした差異が寂しいなって思いがあった。私はパン派だけどあなたはご飯派なのねとか。それが明確に変わったのは元彼と別れた時で、昔ほど何かを共有しないといけないみたいな気持ちがなくなった。
本当に男として好きになった人には私の大好物の最後の一口をあげられる。あとはその人の前では弱いところ曝け出してもオーケーになる。そうじゃない仲良い人の前で泣いたりはするし愚痴もいうけど、慰めてって感じで甘えることはしないと思う。泣くっていう行為は止められないけど、そういう私をよしよししてっていう態度は取らない。自分から何かして欲しいって求めることは基本的にはないけど、恋愛感情のある男の子には思うかな。
愛情は男女問わず親とかにも共通するもので、ファミリーって感じが強い。今何してるんだろうなって思う人には愛情がある。人間的に好きな人には、お腹空いてなかったら良いなとか、楽しく過ごせてたらそれでオーケーだし私も幸せって感じ。私の中で知り合い未満と友達以上で明確に別れてる気がするし、友達以上恋人未満っていうのはあんまりわからない。
今なぜ生きていますか?
多分大きい目標と小さい目標がいっぱいあってさ、小さい目標は立てるものじゃなくてただ単に自分の望み。来週旅行行きたいなとか来週の旅行が楽しみだなっていうものの連続が人生だと思うんよ。その小さい目標を達成するまでの一週間とか過ごさないといけなくて、頑張るじゃん。その頑張るが生きる意味だと思う。だから、夢を叶え続けることが生きる意味だと思う。
その頑張るって毎日英単語を覚えるとかではなくて、普通に生きて会社に行って風呂入って部屋を綺麗に片付けるとか、その積み重ねが大きい目標を叶えることやん。ちっちゃいハードルが目の前にあって、それをずっと走ってるんよ。毎日ピョコピョコしてる。ハードルは低いし、大きいハードルはしんどいから無いのよ。幸い割と小さいことで幸せだと思えるからさ、いつも会う犬が振り向いてくれたとか通勤の途中にある家の朝顔が毎日大きくなってるなとか。今日その家の子はその成長した朝顔を見て喜ぶんだろうなとか。
パパの幸せの程度がめっちゃ低くて、夕日が綺麗とかで写真撮ってライン送ってくるからさ、血を受け継いだなって。でもそれが幸せなんだと思う。