旅するポムポムプリン
父と私の中で最近流行している遊びがある。
マクドナルドのハッピーセットで貰ったポムポムプリンのおもちゃを、相手の生活圏内にバレないように仕込む、という遊びだ。
あるときは夜中にこっそり寝室に忍び込み枕元に置いてみたり、またあるときは洗濯物のカゴの中に見えないように入れてみたり。試行錯誤しながら、気付かれないようにポムポムプリンを仕込んでいた。
いつこのポムポムプリンが我が家に来たのか。サンリオのハッピーセットが販売されていたとき、シナモンが好きな私が狂ったように注文していたときだと思う。
ブラインド仕様になっていて中身がわからない状態のおもちゃは、キティとポムポムプリンしか出ずに結局シナモンとは会えなかった。
そんなこんなで始まったこの遊びだが、先日ついに自宅を飛び出した。
職場にいつもお弁当を持っていく。夏は暑いから傷むのが不安なのでコンビニで済ませていたら、その時期は肌荒れが尋常じゃなかった。たまに食べるのは美味しいけど毎日は体に悪い、ということでお弁当を作るようになったのだが、そのお弁当バックの中にヤツがいたのだ。
驚きのあまり休憩室で「え!?」と言ってしまった私。仲のいい社員さんが「どうしました?」と見に来てくれたのだが、ポムポムプリンが入ってましたなんて言ったところで、頭にハテナが浮かぶに決まっている。(手に持っていたのでバレた)
そしてこの前、職場の仲のいい人たちと水族館に出かけた。運転係など分担された中で、私は旅のしおり係とお菓子係を兼任していた。そのお菓子のレジ袋の中にまたもやヤツが出現したのだ。
1回目を知っている社員さんが袋を開けてすぐ「また入ってるよ!」と言ったので、何事かと覗くと黄色いおもちゃが。すぐに父に連絡すると「糸ちゃんと水族館行きたかったんじゃない?」と返ってきた。あくまでプリンの意思らしい。
私は仕返しをすべく、妹と旅行に出かける父のスーツケースに夜な夜なプリンを仕込んだ。開けて荷解きをしたら驚くに違いない。ワクワクしていたのだが、翌朝起きると食卓になぜかプリンがいた。なんで気付くんだ。
「なんで連れていかなかったの?」と聞くと「糸ちゃんが1人で寂しいと思ってそばにいたいんだって」と返ってきた。プリンは一緒に山梨に行きたかったに違いないのに。
今のところ父が圧倒的に優勢だ。防ぐには次の作戦を考えるべきか、私が持ち物チェックを怠らないか。プリンは今日もお互いの部屋を行き来している。
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