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2023年映画ベスト①

クリスマスから年末年始にかけて大忙しでした2023。
正直今日が大晦日だなんて信じられない。明日から2024年になって、すぐに誕生日が来て(あぁまた歳を取るのね•••)あっという間すぎる。いい加減年相応の顔立ちと言動を手に入れたいものだ。

今年は去年よりも邦画を映画館で観ることが多かったのと、それでも鑑賞記録はあまり伸ばせなかった。自宅鑑賞も含めて100作品ほどしか観れておらず、今年の半ばくらいに「映画を年間〇〇本観ない奴は映画好きじゃねぇ!」とか発言していた某なんたらおじさんに映画好き認定はされなさそうだ。何作品観ていようが映画が好きって気持ちがあるなら十分なのよ!そんな私の2023年映画ベストを鑑賞日順に振り返っていく。


バビロン(鑑賞日:2月13日)

前に映画備忘録としてこの作品はnoteで触れたんだけど、多分今バビロンを観てもこの時の感動を思い出せるなぁと。映画を描いた映画が大好きでとても愛を感じる。かなり下品な描写も多いんだけど、それ含めてかなり好きだった。

映画がこの世界に誕生したのが1895年とされており、約130年が経つ。無声映画からトーキーに移行したり、モノクロからカラーになったり様々な変化をしてきた映画界。その中に入りたいという夢だったり、歴史を目撃したいという欲だったり、この”映画”という存在は全てを吸収し大きくなっていった。バビロンを観ていると映画がものすごく巨大な怪物に見えてしまう。無論、私自身も映画に惹かれている怪物の栄養のひとつであり、それ以上でもそれ以下でもないのだが。

キャッチコピーでもある「夢を掴む覚悟はあるか」。この言葉が意味するものはチャゼル監督の映画界に対する狼煙のような作品だということであり、個人的にまた映画を描く映画が誕生した際はバビロンと比べて判断してしまいそうになるほど、この作品の虜になってしまった。サントラも最高すぎてよく聴いている。家で観てたらエンドロールでスタンディングオベーションしてたな、と一緒に鑑賞した友人に話したが、それを叶えるためにも家での鑑賞を試みたい。


ザ・ホエール(鑑賞日:4月9日)

後半ずーーーーっと泣いてた。私こんなに涙出るんだ•••って自分にびっくりしてしまうほど。映画館出たら泣きすぎてコンタクトがズレて激痛だったし、こんなことはリメンバー・ミー以来です。あれは泣きすぎてコンタクト取れた。
もともと舞台向けの脚本だったこともあり、基本家の中だけのシーンが2時間弱続くんだけど、私が単にアホなのか没頭していたのか知らんけど、それに気づいたのは映画観て数日経ってからだった。書いてて思ったけどやっぱ単にアホなだけだと思う。

過食でかなりの肥満体型、心不全により死期が迫ったチャーリーの1週間を描く作品で、離れた家族との再生を試みていくんだけど、彼の住んでる家はアパートの2階なので歩くたびに床が抜けるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまった。でもこれは製作陣の意図がちゃんとあるみたいで、1階だったら歩行器を使って外に出ることも可能だけど2階なら階段しか手段がなく、外出はかなり困難。とにかく彼を孤立させるという意図のもと部屋を2階にしたらしい。

この「ホエール」というタイトル、チャーリーの体が鯨みたいに大きいよって意味でつけられたんだと思っていたんだけど、鑑賞後は映画の中に度々出てくる白鯨のお話と自分を重ねているように感じた。物語の中に出てくる以前自分の片足を奪った白鯨を許さず追いかける船長と、まだ子供だった娘を置いて恋愛に走ったチャーリー。娘のエリーからしたらずっと消えない傷で父を許すことはできず船長と同じように追いかけ、死に際の父に「私は価値のない人間なのか」と何度も問いていた。

似たような経験をしたことがあるからなのか号泣していたわけだけど、自分の価値は他人に委ねるのではなく自分で決めるのよ、とエリーに伝えたい。そして、心の隙間を食べ物で埋めていたチャーリーのように、私たちも食べ物じゃなくとも何かで埋めている。窓から見える天気はずっと雨か曇りだったのに、最後は晴れたように、この映画の中に出てくる全ての人の今後がこんな澄んだ空だったらいいのに、と思う。


怪物(鑑賞日:6月12日)

あまり前情報を入れずに映画観たい派なんだけど、各映画レビューサイトや映画コミュニティの方々が口を揃えて「やばい」と言っており、もともと観る予定ではありましたがかなり構えて映画館に行った。
読書仲間の母は原作本を読んでかなり衝撃を受けており、映画もやばいので観てー!と言ったらもう上映終わってた悲しすぎる。サブスクかレンタルで早く出て欲しいなぁ。母にも観てもらいたいし、私ももう一回観たい。

同じ時系列だけどそれぞれの視点で3部作のようにして物語は進む。
最近息子の湊の様子がおかしくて学校でいじめられてるのでは•••?と不審に思っていたらまさかの担任からだった!と学校に対して怒る母視点の序章、その担任目線の2章、そして子供目線の最終章。最初はこの担任最悪じゃん!と思っていたものの、実はそんな人じゃなくて、えぇ•••?と困惑しつつ最終章でまさかの展開になりかなりの衝撃を受けた。

言わなくても伝わるなんてことはないと常日頃思っているけど(そんなことを言いつつ出来てないこともしばしば!)、相手は絶対反対するだろうとかの固まった考えはよくない。湊ママはよく「湊がいつか好きな子ができて家庭を持って〜〜」など言ってるけど、そういうんじゃないっていうの伝えたら絶対肯定してくれると思うんだけどなぁ。って、観てる側は思うけどやっぱり無理かもって湊は思っちゃうんだろうな。

脚本の坂元裕二さんはドラマや映画でのセリフのパンチラインが凄まじいのだけど、今回もかなり印象的なセリフを残しそれが湊や依の背中を押していた。
坂元さんが以前車を運転していた際、青信号になっても進まないトラックにクラクションを鳴らしたら、トラックは車椅子の方が横断歩道を渡るのを待っており、その罪悪感がずっと頭から離れなかった、と話しているものを見た。人間誰しも誰かにとっての怪物になりうる。そのエピソードとこの映画を重ねて考えた際、なるほど•••と思うほど、その状況に影響されたのかなと考えた。
私がSNSで「怪物やばい」と言いまくってたら、鑑賞した友人らが私に連絡をくれたりして、中には連絡すら久々の人もいたしめちゃくちゃ嬉しかったな。やばいよね!わかる!しか言えなかったんだけど。


スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(鑑賞日:6月29日)

スパイダーマン大好き人間として有名な私だけど(?)最初にアニメ版が出た2018年の時は正直全然期待していなかった。私の好きなピーターは実写でしかないし•••とかなり後ろ向きな形で映画館に行ったら、なにこれめちゃ面白いじゃん!となり、今回はその続編。

「運命を受け入れろ」「運命が集結する」など、スパイダーマンにとって運命はパワーワードになっていた。実際、悲しい運命を背負うヒーローなわけで、家族や大切な人が自分のせいで亡くなってしまうというのはスパイダーマンとしてのもはや宿命なのかもしれない。
そんな中で今回は「運命なんてブッつぶせ」なんだからもう期待値しかないじゃん!今までの歴代スパイダーマンたちが築いてきた運命に立ち向かう姿、たまらん。そして私自身も大きな勇気をもらった。

たまにアニメであることを忘れちゃうくらい自然なのと、あ!そういえばこれアニメだった!とふと思い出させられるくらいド派手演出にずっとスクリーンに釘付けになってた。今後の展開も気になるし、どうせアニメじゃ〜〜んという最初にあった固定概念は捨てました!めっちゃ好きです!!!


マルセル(鑑賞日:7月1日)

公開前から予告とかで観てめちゃくちゃ期待値高かった。こういう作風大好きなの。A24大好き人間として有名な私だけど(?)この映画は中でも特に好きかなぁ。

小さい貝のマルセルはおばあちゃんと一軒家に2人暮らし。貝は大人数で群れて行動するんだけど、以前家に住んでいたカップルの男の人が喧嘩して出ていった時のスーツケースに家族みんな詰められて離れてしまう。唯一残ったおばあちゃんと、カップルの次に越してきた映像作家のディーンと3人で暮らし始め、ディーンに協力してもらい離れてしまった家族を探すために映像を作る。

とにかくマルセルが可愛すぎる。見た目はもちろん声も超可愛い。私の家にも小さい貝たち暮らしてないかなぁってすごいワクワクした。
ストップモーションの作品でもあり、どこかドキュメンタリー風でもある。A24の公式オンラインショップにマルセル人形が売っていてめちゃくちゃ欲しいんだけど、円高になったら買おうかなと密かに狙っている。私もマルセルとお出かけしてストップモーション撮りたいよ!

マルセルのおばあちゃんのコニーにすごく胸を打たれた。マルセルが後ろ向きな時もそっと背中を押すような、とにかく孫思い。でも時折認知症みたいな言動があったり、足腰が悪くなって歩行器を使い始めたり、できることが少なくなっていく。人間と同じように老いがある描写もあり、時間の経過をものすごく切なく感じた。おばあちゃんっ子のマルセルがコニーを心配しているのがすごく愛おしかったし、可愛いなぁという感情だけでなく2人(2貝?)の時間がとても温かくて泣きそうになった。

観終わった後はこの世の汚いもの全てからマルセルファミリーを守りたいと思うくらい、母性が溢れた。今後私が何か挫けそうになった時や辛い時にこの映画を再生しようと思う。


5作品で4000文字って誰が読みたいんよ❗️自分でも読む気失せるんだけど❗️後編に続きます•••。


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