日常は遥かに大きくて
月が青白く感じる日は、
初めて飼った猫を思い出す。
すると、お腹のあたりにぽっかりと穴が現れ、
触れた感触が体に甦る。
猫が世界から突然いなくなった日、
わたしの日常を死が初めてノックした。
わたしは、4つで、
猫も同じくらいの年だった。
毛の短い真っ白な猫で、青い目、きれいな雄猫だった。
母はいつも「本当にお利口ね」と猫に言っていた。
それは、多くの飼い主がペットに向かって言うセリフのひとつで。
賢さというものを当時のわたしには未だ分かってなかったけど、
彼の利口さとは何