北谷馨の質問知恵袋 「民法900条4号ただし書」に関する質問
今回は、「民法900条4号ただし書」に関する質問です。
非常に基本的なところではありますが、意外と誤解されている方が多いようです。
相続分の判断で誤ってしまうと、記述式で大きな失点に繋がりかねないので、この機会に確認しておきましょう。
民法900条4号ただし書では、
「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)の相続分の2分の1とする」
と規定されています。
この規定は、「兄弟姉妹」が相続人となる場合です。
質問の事例の場合、被相続人Aから見てCDEは「子」であり、「兄弟姉妹」ではありませんから、900条4号ただし書の適用はありません。
また、CDは「嫡出子」であり、Eは「非嫡出子」であるところ、かつては、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定がありましたが、最高裁の違憲決定(最大決平成25年9月4日)を受けて、平成25年の民法改正により現在は平等となっています。
よって、相続分は「B6分の3・C6分の1・D6分の1・E6分の1」となります。
次に、民法900条4号ただし書が適用される事例も見ておきましょう。
「Aは、Bと婚姻をし、Bとの間にC及びDが生まれた。Aには、ほかにFとの間に生まれた子Eがいる。ABが死亡した後、Cが死亡した(Cには他に親族はいないものとする)」
この場合、Cの相続人及び相続分はどうなるでしょうか。
Cには配偶者・子・直系尊属がいないため、兄弟姉妹であるDEが相続人となります。そして、Cから見てDは「父母の双方(AB)を同じくする兄弟姉妹」であり、Eは「父母の一方のみ(A)を同じくする兄弟姉妹」となります。
よって、Eの相続分はDの相続分の2分の1になるので、「D3分の2・E3分の1」となります。