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北谷馨の質問知恵袋 「非公開会社から公開会社への移行」の論点に関する質問

商業登記法の記述式において、「会社の形態に変化が生じた場合」は要注意であり、その中でも「非公開会社から公開会社への移行」は特に重要です。

まず、そもそも「非公開会社から公開会社に移行したことに気づくこと」
が大事です。

これは、3パターンあります(前提として、従来は非公開会社だったとする)。

① 単一株式発行会社で、譲渡制限の定めが廃止された。
② 種類株式発行会社で、ある種類について譲渡制限の定めが廃止された。
③ 種類株式発行会社で、譲渡制限のない種類が新たに追加された。

特に注意が必要なのは③のパターンです。③は「譲渡制限」「廃止」という言葉が出てこないので、見落としがちです。
「種類が追加されたら、非公開→公開を疑う」という習慣を身につけておきましょう。
 
次に、「非公開会社から公開会社に移行する際に、注意すべきこと」の検討が必要です。
以下の4つは意識できるようにしておきましょう。

・役員(取締役・監査役・会計参与)が退任する。
・取締役会の設置義務が生じる(派生的に、監査役の設置も問題になる)
・4倍ルールが問題になる。
・取締役等選解任権付種類株式が発行できなくなる。

例えば、発行可能株式総数が10万株、発行済株式総数が1万株の単一株式発行会社が、株式の譲渡制限に関する定めの廃止をしても、そのままでは登記ができません。4倍ルールを満たす発行可能株式総数の変更(又は発行済株式総数の変更)の登記を併せて申請する必要があります(「登記情報644号」p22)。
 
「知っているはずの知識」でも、見落とし無く検討するためには、練習が必要です。商業登記の記述式は、常に「検討すべきことを検討できているか」という点を意識して勉強をするようにしましょう。


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