見出し画像

会社法の決議機関・決議要件を覚えるコツ

みなさん、こんにちは。伊藤塾講師の髙橋智宏です。今回は、会社法における決議機関と決議要件の覚え方についてお話していきます。


決議機関・決議要件の丸暗記はキツイ

下記の記事でお話しているとおり、会社法は多くの受験生が苦手意識を抱える科目です。

そして、会社法の中でも記憶すべき項目として、至る所で出てくるのが決議機関(e.g.株主総会決議、取締役会決議、取締役の決定)と決議要件(e.g.株主総会における普通決議、特別決議、特殊決議)です。これを丸暗記で押さえようとすると、知識が忘れて抜けやすいのに加え、知識の混同が生じやすいため、四苦八苦している方も多く見られます。

しかし、決議機関・決議要件(以下「決議要件等」といいます)を覚えるのにもコツがあり、そのコツを踏まえて押さえることで、会社法の学習がグッと楽になります。

それでは、決議要件等を覚えるコツを紹介していきます。

ここでは、株式会社における株主総会(株主の同意)、取締役(会)に関するものを重点的に説明します(一部教材の抜粋を使用)。また、内容面の説明も触れていますが、その制度趣旨の解説は、記憶の定着を促進する目的で示しているものであることを前提にお読みください。

【コツ①】株主への重要度を考える

会社法における決議の重要度のイメージ

株式会社に出資しているのは株主であるため、株式会社の実質的な所有者(オーナー)は株主だといえます。そこで、その株主にとって重要度の高い(株主への影響度が大きい)事項ほど、決議要件等が厳格となる方向で制度設計がされています。下記の表は、会社法における決議の重要度のイメージを表したものです。

取締役の決定・取締役会決議は経営陣の判断だけで決議することを意味するため、決議要件等としては緩い方向の部類となります。そして、より株主にとって重要度が高い事項は実質的所有者である株主の判断を仰ぐことになるわけですが、その株主総会で決議すべき事項の中でも、その重要度に応じて必要となる決議要件が異なります。

具体例~剰余金の配当における現物配当~

【コツ②】表で整理して押さえる

上記の通り、決議要件等を覚えるのに四苦八苦する大きな要因として、似たような決議事項において、知識が混同しやすいことが挙げられます。

そのため、似たような決議事項に関しては、テキストに記載してあるの表を積極的に活用して、整理して押さえるようにしましょう。

具体例Ⅰ~株式の併合・株式の分割・株式の無償割当て・自己株式の消却~

具体例Ⅱ~資本金・準備金の額の減少~

【コツ③】共通の決議要件等の決議をグループ化する

会社法では、異なる制度においても、”局面が似ているもの”に関しては、同様の決議要件等が定められているので、共通の決議要件等の決議はまとめて押さえる(グループ化する)とよいです。

具体例Ⅰ~「定款に別段の定めがない限り、株主総会の特別決議(取締役会設置会社では取締役会決議)」を要するもの~

具体例Ⅱ~支配株主の異動を伴う割当ての特則~

最後に

以上、会社法の決議要件等を覚えるコツについて説明してきました。もちろん、最終的には暗記する作業が必要な箇所もありますが、上記のコツを普段から意識することで、会社法の学習は大分楽になると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

いいなと思ったら応援しよう!