プロジェクト・マネージャーということ2

プロジェクト・マネージャーに必要なこと

プロジェクト・マネージャー(以下PM)に必要な、総合的な力というと何があるか。PMBOKでは以下の3つを定義している。

頭脳:プロジェクトマネジメントの知識
行動:リーダーシップ
価値:ビジネスや業界、組織に関する知識

頭脳、知識はあって当然の部分。それに加えて、リーダーシップによりチームを動かすこと、さらにそれがどの方向に進むことが最も価値が高いかを判断する、ビジネスの知識。これらがバランスよく必要となる。

頭脳:プロジェクトマネジメントの知識

プロジェクトマネジメントで必要な知識は多岐にわたり具体的なツールなどもあるが、ここでは、特に必要不可欠な要素の例をあげる。それはよくあるQCDであるが、この中で品質だけが相対的なものになる。品質に関して何をもって管理していくのがよいかというと、プロジェクトの成功要因が何かというメジャーと、現状そこに至るまでの差を表す課題となる。したがって以下のものが重要事項ということになる。

スケジュール
コスト
品質:プロジェクトの重要成功要因
品質:発生している課題

戦略的マネジメント・スキルおよびビジネス・マネジメント・スキル

PMにはプロジェクトを回せるだけでなく、それが正しい方向に向かっているかといった、プログラム・マネジメント、ポートフォリオ・マネジメントの観点も持ち合わせる必要がある。もちろん第一のミッションはプロジェクトの成功となるが、その結果が組織やビジネスにとって無意味であればやった意味がない。そこで必要な力は以下のようなことだ。

今のプロジェクトがビジネス上どのように重要かを説明できる
スポンサー、チーム、専門家と協力してよりよい実行戦略を立てる
プロジェクトがビジネスを最大化するよう戦略を立てる

プロジェクトの成果は組織に帰る。そのため、現在の組織で行われている作業について、専門家やマネージャーと十分共有し理解する必要が生じる。その理解の範囲は以下のような分野になる。

戦略、ミッション、目標
製品やサービス
定常業務
市場の状況
競合の情報

リーダシップ

プロジェクトは人が動かす。チームメンバーが最大限に能力を発揮することの重要性は言うまでもない。そのためには、適切な管理に加え、交渉をする、いやなことがあってもとらわれすぎない、問題を解決する力、本質を見極める力などが必要となる。リーダーに必要なものとして、PMBOKでは以下のことを挙げている。

明確なビジョン
楽観的
協力的、協調的
他社を尊重する
誠実で勇気がある
他社の功績、結果について素直

またぶつかりあうときのために、

政治的洞察力をたかめ
信頼を構築しておき
人脈を作っておく

そしてぶつかった際には、

懸念を拭い去る
細かく分析して落としどころをさぐる
長期的視点を持つ

またコミュニケーションをとる際は

必要な時間をとる(90%はコミュニケーション)
期待をコントロールする
フィードバックを快く受ける
建設的にフィードバックする

PMBOKではさらに続く。

正しい優先順位をつけ
優先順位は常に見直し必要に応じて変更し
膨大な情報から必要な情報を取捨選択し
中だけ、外だけの視点にならずバランスをとり
クリティカル・シンキングを行い必要な変更は断行
サービス指向でユーモアがあり、、

とあたかもスーパーマンのような人になってきたが、すべてを実施しなくとも8割がたをカバーしていくくらいの意気込みを、PMとしては持ちたいものである。

PMは最終的に物事を成し遂げることがミッションとなり、そのために必要なことが上に列挙されている。メンバーの感情に配慮し持続可能な形で業務を遂行していくことは、PM一人が何もかもやるということではなく、チームとして必要な人が育ち、やるべき人が実施している状態、という形になることが多い。

権威ということ

権威とは、人を動かす力のことだ。このちからの源泉はどこにあるのか。いろいろなケースがある。面白いところでは

後ろ盾:これはイメージのことを指している
情報:情報を独り占めすれば権威になるともいえる
愛想のよい態度:人たらしといったところか
罪悪感:6年生なんだから、とかお兄ちゃんなんだからという感じ

などがある。PMはいろいろなタイプの権威を行使してメンバーを動かす。

リーダーシップとマネジメント

リーダーシップとマネジメントは同じものではない。行ってみれば

学校の先生 = マネジメント
クラスの人気者 = リーダー

といったところだ。前者は立場を利用し、高圧的に、ルールにのっとり、正しいことを求める。後者は、関係からくる力であり、変化し、信頼があり、長い付き合いになる。

リーダーシップのスタイル

スタイルには以下のようなものがある

自由放任型:信頼をつかって動かす
業務達成型:目標が正義
サーバント・リーダー:後ろから応援するタイプ
変革型:理想や夢を語る。モチベートするタイプ
カリスマ的:オーラタイプ
相互型:ノルマ、理想、オーラを組み合わせる

これらを、PMやメンバーのキャラ、組織の特徴、環境などの組み合わせで適宜使いわける、もしくはそれらにより変化を余儀なくされるという部分もある。

統合の実施

何を統合するのか。それは組織の目標とプロジェクトの統合、およびプロセスとプロジェクトの統合だ。そのためには、組織の戦略目標などを理解し、それらがプロジェクトの成果と合致するよう統合を行う必要がある。また、チームと協力しあって、プロセス、知識と要員を統合してプロジェクトを進めていく。統合については、プロジェクト統合マネジメント という知識エリアで詳しく記載されている。PMは、知識、ビジネス環境、プロジェクト(プロセス)を統合して考えることが必要となる。調和をとるともいえるこの行為によって、全体として正しいことをしている状態が作り出される。


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