村上春樹の魅力がわかりません。魅力を教えてください。また他にどんな文学作品が好きですか?の回答。

Quoraにそんな質問があり、回答しようとしたけど結局やめてここに書く。

村上春樹は大好きです。

他におもしろいなぁーと思う作家と本は、モームの人間の絆、サーカスの息子、を書いたアーヴィング、サリンジャーのフラニーとゾーイ、カズオイシグロの日の名残、ドストエフスキーのカラマーゾフ、罪と罰、愛のゆくえを書いたリチャードブローディガン、サガンもおもしろいなー、読書は楽しいなぁ、と思います。小学生の読み物も好きで、モモやはてしない物語、ルドルフとイッパイアッテナなんかが頭に浮かびます。日本人作家では梨木香歩、小川未明、田辺聖子、宮沢賢治なんかも好きです。さもありなんという感じでしょうか。

まぁ仕方ないです。村上春樹から小説に入ったようなものなので、村上春樹が話題にする小説がどうしても気になりますし、そもそも少し飛んでる話が好きなんですね。

村上春樹の何が好きか、考えてみるのですがなかなか難しく、どう言葉にしてもすり抜けていく感じがしてうまくいきません。でも好きなものは好きなので、言葉にしてみます。

まずは、村上春樹の比喩や会話表現に対して、読みやすい、と自分は感じています。何かのインタビューで以下のようなことを言っていたと思います。

文章をうまく書くコツが2つある。

1つは会話で、「お前おれの話聞いてんのか?」ときかれて「つんぼじゃねぇや」と答える。

「ああ聞いてるよ」とかかない。

それから、もうひとつは比喩。

「私にとって眠れない夜は、太った郵便配達夫よりめずらしい」

まれだと書くんではなくこう書く。

この時点で、嫌いな人は拒否反応があるのかもしれません。でも全く逆に、それだからこそ飽きることなくフムフムと読める人もいるのです。村上春樹の小説は読み飛ばせない、個人的にはそう思います。ですが、これは笑いのつぼみたいなもので、合わなければなんにも面白くない、むしろ狙いすぎてイタイ感じになる、と言われても納得です。

次に、書き方としてゴールが決まっていない感じがひしひしと伝わってくる。まるでライブを見てるように、一つのエピソードが別のエピソードを連れてくる、そして誰もどこに行き着くかわからない、そんなわくわくがあると思います。これも、逆に言えば何がなんだかわからない、必然性がわからない、という感想になったりするのかと思います。

そして最大の魅力は、ある人が感じた不思議をありのままフィクションにした時に出てくるえもいわれぬもやもや感、わからない感じ、でも何かありそうな気がする、人工的でない、勢いに任せた筆の動きのような、そんな感覚を覚えられるのが至福です。そのために読んでいて、毎回それを裏切らない、信頼があります。

全ては読む人の経験の中で判断されるとして、より多くの人が経験しているものにリーチできることは、大衆に読まれるために必要なことのようにも思います。それが例えば、料理やパスタ、離婚、離別、セックス、死であり、そういうものを材料や媒介に使うことで、より深いところにある見えないものを捕まえようとしている人のように、個人的には思います。

この投稿をしなかったのは、なんてことを言っても、走ることが嫌いな人、ほとんど走ってない人に、ジョギングやマラソン大会の魅力を話しても伝わらないし、説明しなきゃわからないことは、説明したってわからない、そういうタイプの物事ってあるよなーと思ったからで、まぁ好きなものは大切に自分の中にとっておこう、と思いました。

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