「GIRL'S LEGEND U」
トレーニングの失敗率とガチャの排出率の3%は≠
初めてその姿を見たのは果たして一体いつだったろうか。JR高田馬場駅から徒歩でそこそこの位置にそれはある。「大地のうどん」の人気メニューごぼう天だ。「ふぅン…ごぼうねぇ…」と、思われる方もいるかもしれないがこれがまた非常に大きく食べ応えのある一品になっている。ぼくが身を置いていた界隈ではこのうどん屋、もといこのごぼう天を食べるというか写真を撮ってSNSにあげることがある種のステータスになっていた時期がありその頃は例に漏れずぼくも足繁く通っていた。今回のお話はぼくが久し振りにこの「大地のうどん」で食事をした時の話をしたいと思う。
はじめてのデートがシニア級の12月ってマジ?
本日令和3年3月26日金曜日、ぼくの起床時間がほぼ毎朝AM5:00に固定されてから約1ヶ月ほど経った今日は月に2回ほど取れたり取れなかったりする有給を取得していた日だった。朝から異動する職場の方々への贈り物を選んだり「夜更かし気味」や、「なまけ癖」に悩まされながら過ごしていた。そんな諸々がひと段落した頃にふと、銀行に用事があることを思い出し身支度を始めた。その銀行は少し特殊でぼくの知る限り秋葉原に一号店と二号店、そして池袋に一店と三店舗しか存在しない変わった銀行なのだ。ぼくの最寄駅からは少し遠いが背に腹は変えられないし、なにより時間はたっぷりある。移動中に星3因子でも出れば儲けものだ。そんなこんなで秋葉原に向かい無事85,650円を手にすることが出来たのである。その間何度か根性不足に悩まされたのはまた別の話だ。
得意率ってやつをもう1度突きつけてやりたい。
いい感じに膨れた財布を持ちながら目的もなくブラブラしていると、朝から何も食べていないことに気がついてしまった。気が付いたからには何かを食べたくなりその結果として冒頭の「大地のうどん」に行きたくなったのである。秋葉原からは少しかかるが幸いなことにiPhone12の充電はまだまだあるし、フレンドの皇帝も借りることができる。これで黄金の不沈艦でも作ろうと決めて、電車に乗り込んだ。程なくして高田馬場駅に到着、途中でとあるビルの5階に寄りこんな状況ではあるけれど少しずつ以前の景色に戻ってきている事にほんのすこし嬉しさを感じながら「大地のうどん」に向かった。
「あれ?さっき貰ったマニーとSPがないんだけど?」
「大地のうどん」に少し迷いながらも到着し早速店内に入る。元気いっぱいな店員さんの声に懐かしさを感じながら券売機の前へ。ここで野菜天ぶっかけと定番のカツ丼セットで少し悩んだが、「お腹空いてるしいいや」と軽い気持ちでカツ丼セットとごぼう天をチョイス。850円と170円で1,020円。安すぎやしないか…と不安になりながらもコップに水を入れてカウンター席に着いた。ほどなくしてカツ丼セットとごぼう天が運ばれてきて、懐かしさのあまり写真を撮り、SNSに投稿し、食事を始めた。食べやすさを重視して砕いてもらったごぼう天を一口、衣のサクサクとした食感とごぼうのしっかりとした歯応え、まさにタッグトレーニング。夢中でごぼう天を食べ進め半分ほど食べたところでふと気が付いた。「あれ…もしかしてお腹いっぱいじゃね?」以前なら逃げのスピードでこなしていたメニューがちっとも進まない。おかしい。何かがおかしい。水で口内をリセットしながら思案する。なぜ、どうして。確実に脳内は掛かってしまっていた。一息つければいいんですが。亀のような速度で箸をすすめながら考えてみる。「大地のうどん」に足繁く通っていた時は約2年前から1年前、まだまだ胃袋が現役時代だった時の話だ。高い肉の脂に苦しみ、魚の脂を愛するようになった今のぼくにはこのメニューは適正が、圧倒的に、合っていなかったのである。以前なら軽く平らげることが出来たはずのごぼう天、うどん、カツ丼があまりにも高い壁となって目の前に君臨していた。「自分の胃袋の管理もロクにできない奴が誰かの夢をサポートすることなんて出来るのかよ」。ぼくの中で誰かが言った。チューリップが咲いていた頃、誰かに小さなほころびを与えてしまった記憶が鮮明に蘇る。もう諦めてしまおうか…絶望の淵に立ちいっそ身を投げてしまおう…そんなふうに考えていたその時
「Don't stop! No,don't stop 'til finish‼︎」
確かに聴こえた。力強い唄声が。
諦めるにはまだ早い。勝つためならなんだってやってやる。逃げの姿勢から追い込みの姿勢へ。ラストでスパートをかけていくことに決め、水分補給を行いながらここからの展開を考えていく。うどんはスープを吸うと突破がおそらく困難になる。流すように進めていけば時間はさほどかからないと考えまずはうどんを食べていく。モチモチツルツルの麺は確実にこのレースの1番人気だろう。万人に愛されるその姿はまさにレジェンド。だからこそ今の自分でも突破は容易であった。空になったうどんの器を後方に置き去りにしながら先頭の景色を眺める。カツ丼とごぼう天がこのレースを作っている。安易な策では潰される。考える。考える。考える。
始めよう ここから最高 STORY
その時、ふと閃いた!このアイディアはごぼう天を突破するカギになるかもしれない!邪道かもしれない。不恰好かもしれない。それでもごぼう天を抜く為にはこの方法しかなかった。ぼくは残った半分ほどのごぼう天をうどんのスープに浸した。いや、沈めた。この方法によりごぼう天の天からごぼうを文字通り抜く。ごぼうをガリガリと食べ進めながら解けていった衣をスープと一緒に流し込む!口の中に残ったごぼうごと衣とスープで一気に追い抜いていく。ごぼうをごぼう抜きするまでにそう時間は必要なかった。そして先頭に立つのは手付かずのカツ丼。まさに異次元の逃亡者。足が止まりそうになる。だけど
キミと走り競いゴール目指し遥か響け届けMUSIC!
ずっとずっとずっとずっと想い夢がきっと叶うなら
カツを食べその下に眠るライスを掬う!カツの責任や重圧に負けそうなライスをただ掬う!こんなところで諦めない。ついてく、ついてく、カツについてく!
あの日キミに感じた何かを信じて
一息にカツ丼を胃に押し込みそのまま水で流し込む。苦しい、おそらくスタミナはもう切れている。ここからは根性の戦い。思い出される「根性が不足しているようです」の一言。何度もそんな一言で片付けられてきた。認めたくない。認められない。
足りないものなんてあるはずない、夢に向かってがむしゃらに、はちゃめちゃに、だけど全力で走ってるみんなにそんなものがあるわけがない!!!
春も夏も秋も冬も超え 願い焦がれ走れ
Ah 勝利へ
DNUファイナルズ決勝戦後〜
実感はなかった。気が付いた時には空になった器が3つ並ぶだけだった。こうしてぼくの久しぶりの「大地のうどん」での夕食はぼくの優勝で幕を閉じたのだった。勝利の余韻と尋常ならざる満腹感を抱きながらふと閃いた!さきほどの銀行で手に入れたお金を使えばウマ娘たちにもっと満足のいくサポート環境を用意できるかも知れない!早る気持ちを抑えながらコンビニに向かうトレーナーであった。
fin