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大量離職時代に思うこと
大量離職時代
米国ではGrate Resignation(大量離職)が話題となりました。2021年4月から9月の間、米国内で2,400万人以上の従業員が仕事を辞め、過去最高の記録を叩き出したと言われています。
雑誌、Harvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)によると、パンデミックによってもたらされた多くの死と深刻な病気は、人々の仕事に対する考え方に変化をもたらし、そうした心境の変化が大量離職につながった一つの要因であったと指摘しています。特に、長時間労働などによるストレスフルな労働者、女性、若い年齢層を中心に価値観が変化した可能性があったことを指摘しています。
良い労働環境を求め、転居や転職が行われたケースも多かった一方、コロナ禍における環境の変化によって退職を余儀なくされたケースも少なからずあったようです。
わが国は、大量離職時代と言われるまでには至っていませんが、団塊の世代が一斉退職し、人手不足が深刻な状況になりつつあります。
ブラックな働き方をしていた人にとっては、コロナ禍をきっかけとしてこれまでの価値観が変化し、バーンアウト、いわゆる燃え尽き症候群的な要素、つまり情緒的消耗感のようなものが覚醒し、離職や転職に至ったケースが存在していたかもしれません。
また、ウクライナ、パレスチナ問題、米中貿易摩擦の再燃など、安定、安寧であった世界が混沌とし始めた情勢を眺めつつ、VUCAと呼ばれる時代への変化が、少なからず心の中に影響した可能性も否定できません。
大切なのは、世界が平和を取り戻し、安定して成長できる社会を実現することであり、人々が抱えるストレスをできるだけ軽減し、社会の中で幸せに暮らせる実感をいかに持つことができるのか、これが、今求められることのように思います。
人生100年時代へ
Gratton, Lynda(グラットン,リンダ)、Scott, Andrew(スコット,アンドリュー)の著書「LIFE SHIFT」は、先進国の2007年生まれの2人に1人が103歳まで生きるようになり人生100年時代が到来するとし、100年間生きることを前提とした人生設計が必要であると訴えています。
数年前、世間で新たに湧き上がった「人生100年時代」という言葉を耳にする度に、人生は、学び、働き、静かな老後を迎えるいわゆる型にはまった生き方で良いのか、身を粉にして朝から晩まで働く人生が果たして幸せなのか、考えさせられました。
100歳まで生きるとは、どういうことなのでしょうか。将来の年金はどうなるのでしょうか。何歳まで働くことができるのでしょうか。
現実的に、個人事業主である私は、今ある資産をベースに考えてみることにしました。
資産のシミュレーションを行うにあたり、最悪のケースを想定し、収入はゼロを前提と考えました。食費、光熱水費等の支出はこれまでの実績に基づく平均値と仮定し、節税対策として個人型確定拠出年金(iDeco)の積立て、60歳以降のiDecoの受給、そして75歳以降の繰り下げ年金受給を想定しました。また、その他の支出として、月々の国民年金、国民健康保険、住民税を考慮しました。
統計法に定められる統計調査のうち、総務大臣が指定する特に重要なものは基幹統計といいます。基幹統計は、53(総務省ホームページ、2024年2月時点)あり、その中に家計調査があります。家計の支出がよくわからない場合は、家計調査から、世帯構成別の平均的な食費、電気代、ガス代、上下水道代などを知ることができます。
また、将来、受け取ることができる年金受給はいくらなのでしょうか。これは、「ねんきんネット(日本年金機構)」というホームページがあり、65歳以降や、75歳以降の繰下げ年金受給額を選択した場合、年金受給額が月額いくらになるのかシミュレーションすることができます。シミュレーション通りの年金が、将来、本当に受給されるのか、甚だ疑問に思うところはありますが、とりあえず国を信用することとします。
人生100年時代、統計指標などを参考にすると、今後100歳までの収入はどれくらいなのか、ゼロの場合はどうなるのか、数字を変えながら、今の資産、働き方で、生涯生きていくことができるのか、Excelを使って大まかに計算し、確認することができるのです。
貯蓄を切り崩すこと
100歳まで生きるとは、どういうことなのか。最悪なケースでは、今ある資産を切り崩して生きていくことを想定しておかなければなりません。そのときに考えておく必要があるのは、今の資産は、将来、相対的に目減りするということです。
わが国では、昨年頃から賃上げムードが高まっています。今後、物価高騰に見合った賃上げが実現するのか。ゼロ金利政策を脱却した今、持続的かつ安定した物価上昇と金利のある世界が実現するのか、関心をもって見守っているところです。
2024年7月11日には、日経平均株価が4万2,000円台に突入し、バブル期の最高値3万8,957円を超え、史上最高値を更新しました。国内がインフレ基調に転じる中、この水準を今後大幅に突き抜けられるのか、大変見物です。
米国、欧州のように、日本でも物価上昇が長期的に続くこととなれば、現在保有している資金の価値は相対的に目減りすることになります。
資金を銀行に預けておけば、金利上昇とともに利子が付きますが、現在の金利はたかが0.2%程度です。それに対し、野菜の高騰は留まる気配がなく、キャベツは1玉500円、ラーメンは一杯1,000円が当たり前となった時代に、嫌気を感じています。
こうした時代の変化に対応し、今やるべきことは、物価上昇とともに貯蓄を増やす対策を積極的に考えておくということです。
国は、時代の変化を先取りし、新NISAという税制優遇制度を創設しました。これに便乗するかのように、私は2024年1月初旬、約210万円を5銘柄に投資するとともに、毎月10万円の積み立て投資を始めました。その後、1年が経過し、新NISA の資産は約20万円増(+6.0 %)となりました。
しかし、これは一過性の事象に過ぎません。一喜一憂することなく、100年スパンで自分の資産形成をどうするのか、しっかり考えておく必要があります。
不確実性が高い事象
将来における不確実性が高い事象について、どこまで考えておけばよいのでしょうか。これは大変難しい問題です。先ほども述べましたが、将来の年金受給額は「ねんきんネット(日本年金機構)」というホームページを使って試算することができます。しかし、将来もし、財政状況が悪化し、試算通りの金額が受給できないことになれば、一体誰が責任を取ってくれるのでしょうか?責任を取ってくれる人など、誰もいないでしょう。
年金受給額は将来目減りする、年金制度は破綻するなど、様々な憶測が飛び交っています。経済学者の中にも様々な意見があるように、学者でさえ将来のことはよくわかりません。ベーシックインカムなどが導入され、年金制度が根本的に変わる可能性も否定できません。
いずれにせよ、今は、将来起こり得るあらゆる事象を頭の片隅に置きつつ、新たな可能性と楽しみを見つけながら生きていくことが重要なのではないかと思います。